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平成23年度のお題
『びしょったねえ』【3月1日号】
今月のお題「びしょったねえ」は、「だらしない・無精」という意味のおらほうの言葉です。
3月。冬の寒さでなまけがちになり、「びしょったねえ」部屋を片付けたいと思っている方も多いのではないでしょうか。
- コンビニへ パジャマで草履 びしょったねえ
(岩鼻町 近藤 政男) - びしょったねえ ジーパン今の 流行とか
(上佐野町 長井 惠) - 初出社 びしょったねえ子の 黒スーツ
(矢島町 永井 善治) - びしょったねえ しかる我が子は われ似かな
(並榎町 荻原 英幸) - 自然体 勘違いして びしょったねえ
(倉賀野町 田村 佐和子) - 鏡見て びしょったねえな あれ僕だ
(上中居町 善如寺 英夫) - 家庭では びしょったねえのが 外ダンデー
(吉井町吉井川 小林 道雄)
(敬称略)
お便り紹介
「お昼まで 休日パジャマで びしょったねえ」休みの日は唯一寝坊ができるので、幸福感がありますね。(本郷町の角田サカ江さん)
「びしょったなさ きらう母親 おもいだし」両親が元気なころ、父の出かける支度を見て、「びしょったない」とたしなめていた母の言葉を思い出しました。(江木町の長井智光さん)
『いぶい』【2月1日号】
今月のお題「いぶい」は、「煙い・煙たい」という意味のおらほうの言葉です。
今回は、小正月にしめ飾りなどを集めて火をたく「どんど焼き」のほか、「かまど」「いろり」「たき火」・・・思い出にまつわる作品が数多く寄せられました。
- あーいぶい 焼き芋かきだす 落ち葉たき
(箕郷町矢原 萩原 芳江) - 愚痴る俺 妻と子供の いぶい顔
(和田多中町 黒澤 繁) - どんど焼き いぶい中から 鯣釣る
(上中居町 善如寺 英夫) - 給料日 夫も私も いぶい顔
(下豊岡町 岡田 直江) - さんま焼く いぶいけむりに 旨味添う
(吉井町黒熊 三木 なを) - タバコ吸う 夫に見せる いぶい顔
(並榎町 和田 美紀) - 夕ご飯 家中いぶらせ ただ一品
(浜尻町 湯浅 茂子)
(敬称略)
お便り紹介
「幼児期の いぶい竈が 懐かしい」小さいころは、土間の煙突のない竈でごはんを炊いていました。いぶくてイヤでしたが今では懐かしい思い出です。(下佐野町の松田恵子さん)
「いぶくない 家に住むのが 夢だった」昔の暖房はいろりが全て。すき間風が吹くといぶくて涙が出たことを思い出しました。(福島町の島村千代治さん)
『○○きしゃ』【1月1日号】
今月のお題「○○きしゃ」は、「しか」という意味のおらほうの言葉です。
平成11年のうさぎ年に始まったこのコーナー。干支も二回り目となりました。本年も「これっきしゃねぇ」という応募作品をお待ちしています。
- 万歩計 疲れた割に これきしゃ
(和田多中町 黒澤 繁) - これっきしゃ 食べてないのに 痩せらんない
(下里見町 渡辺 朝子) - ふるさとの 汽車の本数 これきしゃか
(岩鼻町 門倉 まさる) - 高い竿 買ったが釣果は これっきしゃ
(あら町 赤羽 正幸) - 忘年会 これきしゃ出来ない かくし芸
(上並榎町 西澤 和子) - 一個きしゃ 買わぬダルマの 品定め
(下佐野町 川崎 英雄) - これきしゃを こんなにと思う 生き上手
(下滝町 天田 勝元)
(敬称略)
お便り紹介
「お年玉 心こめても これきしゃ」82歳の私は、孫、ひ孫と届け先が増えて、お年玉の捻出にも一苦労です。(吉井町黒熊の三木なをさん)
「同窓会 三人きしゃじゃ しょうがねえ」大正15年生まれの私。60人いた同級生も集まれるのは3人だけになりました。(吉井町吉井川の小林道雄さん)
『たのまい・たのまいのー』【12月1日号】
今月のお題「たのまい・たのまいのー」は、「頼むよ」という意味のおらほうの言葉です。
今回寄せられた句には、「頼むよ」よりも軽い意味の「よろしく」にあたる使い方が数多くありました。お年寄りにとっては、ちょっとした挨拶言葉にもなっているようです。
- たのまいのー ちったぁ美人に 撮ってくれ
(箕郷町善地 生方 美津子) - たのまいの も少し痩せて おかあちゃん
(倉賀野町 高田 喜久雄) - うちの孫 いい娘が居たら たのまいのー
(吉井町吉井川 小林 道雄) - ダルマに眼 又たのまいと 手を合わす
(倉賀野町 田村 佐和子) - たのまいの 助け合いつつ よき老後
(江木町 茂木 富男) - たのまいのー 頭さすられ 猫留守居
(中尾町 黒崎 サチ子) - たのまいと 言える人いる ありがたさ
(下滝町 天田 勝元)
(敬称略)
お便り紹介
「たのまいのー 明日も遊んで やっとくれ」祖父は孫の友達に向かっても「たのまいのー」と声をかけています。(高浜町の新野幸子さん)
「たのまいは 老後を生き抜く おまじない」年を取ると自分でできないことも増えてきます。周りの手助けをありがたく受けたいと思いますね。(中尾町の林篤子さん)
『おてんたら』【11月1日号】
今月のお題「おてんたら」は、「お世辞、おべんちゃら」にあたるおらほうの言葉です。
今回は、なるほどと感心するようなおてんたらの使い方が、数多く寄せられました。ちょっとしたおてんたらは、人づきあいの潤滑油にもなりますよね。
- ババきれい おてんたらでも いい気分
(上小塙町 静野 豊子) - おてんたら たまには使い 部下育て
(大八木町 櫻井 益代) - 口の中 そっと舌出す おてんたら
(柳川町 比家田 イク) - 記念日を 忘れて妻に おてんたら
(並榎町 追川 光家) - 同窓会 互いに若いと おてんたら
(小八木町 吉田 斗み江) - おてんたら 言えるあなたが うらやまし
(倉賀野町 高田 喜久雄) - ペットにも おてんたら言う セールスマン
(新町 谷岡 伶子)
(敬称略)
お便り紹介
「心地よく 目尻も下がる おてんたら」私はカラオケファン。周囲からおてんたらでも「上手だね」と言われると、歌う喜びを感じます。(和田多中町の黒澤繁さん)
「おてんたら まぐれですよと 言い訳し」地元の長寿会ではグラウンドゴルフが盛ん。私も夫婦で参加しています。なかなか成績は上がりませんが、おてんたらや冗談を言いながら楽しんでいます。(吉井町吉井川の小林道雄さん)
『はらっぴり』【10月1日号】
今月のお題「はらっぴり」は、「お腹を下している、お腹の調子が悪い」にあたるおらほうの言葉です。
とうもろこしやすいか、ぼたもちなど、大好物を食べ過ぎてお腹の調子が悪くなってしまった体験談の句が、数多く寄せられました。
- 遠足に 行けずベソかく はらっぴり
(上大類町 新井 宏) - 雷と ゴロゴロ競う はらっぴり
(下豊岡町 岡田 直江) - まいったね 次が出番で はらっぴり
(高浜町 植杉 隆雄) - アイス好き 覚悟の上の はらっぴり
(中泉町 横山 博之) - 緊張の 見合いの席で はらっぴり
(下滝町 天田 勝元) - はらっぴり 葛湯で母の 愛を知り
(八幡町 須田 美千代) - 飲み過ぎて 財布の中も はらっぴり
(成田町 滑川 利江)
(敬称略)
お便り紹介
「分かってる もろこし食べて はらっぴり」大好きなもろこし。1本でやめればよいのに、つい食べ過ぎて・・・。(並榎町の追川和夫さん)
「西瓜・瓜 どんなに食べてか はらっぴり」猛暑が続くと冷やした果物がおいしいもの。でも、年を取ってあまり食べられなくなり、すぐお腹をこわしてしまいます。(上里見町の浜名徳子さん)
『ばんばらい』【9月1日号】
今月のお題「ばんばらい」は、「打ち上げ会・締めくくりのうたげ」にあたるおらほうの言葉です。市内では、町内会などの打ち上げ会でも使われています。
今回は、祭りなどのばんばらいの一場面を詠んだ句が多く寄せられました。
- 大ジョッキ 並ぶ笑顔の ばんばらい
(上大類町 新井 京子) - 節電で 扇子羽ばたく ばんばらい
(倉賀野町 田村 勲) - ばんばらい 動かぬ奴こそ よくはしゃぐ
(下滝町 天田 勝元) - ばんばらい いつのまにやら 反省会
(下佐野町 川崎 英雄) - 何よりも 人の和結ぶ ばんばらい
(江木町 茂木 富男) - ばんばらい みな平等に 年をとり
(岩鼻町 門倉 まさる) - ばんばらい おまつりよりも もりあがり
(吉井町中島 早川 けさ子)
(敬称略)
お便り紹介
「登頂し 自分に褒美 ばんばらい」自分では無理かと思い、心配しながらも登ることができた山。うれしかった気持ちを詠みました。(並榎町の追川光家さん)
一人静かにばんばらい気分を楽しむのもオツなものですよね。
『はー・はあ』(その1)【8月1日号】
今月のお題「はー・はあ」は、「もう」にあたるおらほうの言葉です。
「はーけえるべえ」「はーやめべえ」「はー行くべえ」といった群馬県人ならではの言い方や、季節柄すぐに伸びる夏草へのぼやきを詠んだ句が多く寄せられました。
- 朝寝坊 何する間なく はあお昼
(萩原町 土田 千恵子) - はー食べたん 夫の食事の 早いこと
(井野町 竹内 朝子) - 三日前 覚えた漢字 はー忘れ
(和田多中町 黒澤 繁) - はあよした 何度言ったか 二日酔
(大八木町 櫻井 益代) - はあけえる 何回言ったら けえるかな
(棟高町 岸 トヨ子) - はあダメだ 爺の口癖 聞き飽きた
(上中居町 枝窪 俊夫) - はあよすべえ 夕立ち迫る 野良仕事
(倉賀野町 山崎 清)
(敬称略)
お便り紹介
「夏の草取り はーいい加減で 止めんべえ」農家の夏の草むしりは大変な重労働。取っても取っても後から生えてきます。兄弟で、汗を拭きながら手作業していたことが思い出されます。(金古町の安遠テイ子さん)
『おこじゅはん・こじゅはん』【7月1日号】
今月のお題「おこじゅはん・こじゅはん」は、農作業の合間に食べる物で、今の「おやつ」にあたるおらほうの言葉です。
田植えなどの忙しさや、大人数で食べた「おこじゅはん」の味を懐かしく思う句が多く寄せられました。
- おこじゅはん たんぼのあぜに 笑い声
(江木町 茂木 暘子) - 朝採りの トマトが野良の おこじゅはん
(岩鼻町 近藤 政男) - こじゅはんに タイミングよく 顔を出し
(山名町 石井 歌子) - こじゅはんを 食べる輪の中 小さな手
(倉賀野町 山崎 清) - おこじゅはん 蛙も一緒に 腰おろす
(倉賀野町 田村 佐和子) - 田植え終え こじゅはん囲む 三世代
(新町 清水 紀子) - 孫背負い 姑が運んだ おこじゅはん
(上室田町 内田 静枝)
(敬称略)
お便り紹介
「田植え時 腰を伸ばせた おこじゅはん」大勢で3反を一気に植えた昭和40年代。休憩を取れたのはおこじゅはんのときだけでした。(中尾町の黒崎サチ子さん)
「さつま芋 おやじ大好き おこじゅはん」亡き父は、さつま芋などのおこじゅはんをたくさん食べ、夕食が食べられない日もありました。主食よりもおいしく感じるものですよね。(剣崎町の桜井保男さん)
『ほんなげる』(その1)【6月1日号】
今月のお題「ほんなげる」は、「放り投げる」という意味のおらほうの言葉です。
今回は、小石やかばんといった物や、相手に投げかける言葉など、いろいろなものをほんなげる句が寄せられました。
- ほんなげる 小石で水切り 腕くらべ
(下佐野町 川崎 英雄) - ごみ箱に ものぐさぼうず ほんなげる
(浜川町 小林 初枝) - 宿題を ほんなげテレビに かじりつき
(下豊岡町 福田 裕彦) - ほんなげる 餅奪いあう 上棟式
(八幡町 梅村 ヨシ子) - 孫生まれ 仕事ほんなげ 早帰り
(倉賀野町 田村 佐和子) - ほんなげた 言葉に棘なき 老夫婦
(箕郷町生原 平本 愛子) - ほんなげた 夢が再び 芽吹く春
(八幡町 須田 美千代)
(敬称略)
お便り紹介
「ほんなげる 田植えの苗を 田の代へ」今は機械を使って植える田植え。昔は、牛か馬でかいた田の代へ苗をほんなげ、大勢で植えたことを懐かしく思い出しました。(吉井町池の鈴木もとさん)
「微積分 嫌で数学 ほんなげる」我が高校時代の痛恨事です。数学の楽しさを知ったのは後々のことでした。(上中居町の善如寺英夫さん)
『えんと』(その1)【5月1日号】
今月のお題「えんと」は、「座る」という意味のおらほうの言葉です。小さな子どもやお年寄り、ペットなどがちょこんと座る様子を、温かいまなざしで詠んだ作品が多く寄せられました。
- えんとして 祖母と畑で 土いじり
(棟高町 上吉原 勇夫) - お花見よ 認知の母を えんとさせ
(山名町 黒澤 輝美) - 初めての えんとに家族 大拍手
(片岡町 田端 恒夫) - 孫二人 えんとで取りっこ 爺のひざ
(倉賀野町 田村 佐和子) - えんとした 瞳に写る 父母の顔
(八幡町 須田 美千代) - 口癖で 立つも「えんと」も どっこいしょ
(上佐野町 小山 英雄) - えんとした 写真の孫も もう二十歳
(下滝町 天田 勝元)
(敬称略)
お便り紹介
「えんとして 日陽ぼこする シャイな猫」うちの庭に近所の猫がやって来ます。おとなしい愛犬と日なたぼっこしている光景に、心が癒やされます。(中泉町の横山博之さん)
「えんとして こぼさないように 食べようね」2歳10か月のひ孫が立ったままお菓子を食べているので、「えんとをして食べよう」と言ったら理解できないようでした。今の若い方にはえんとは遠い言葉のようですね。(石原町の根岸静子さん)
『ぶっこぬき』【4月1日号】
今月のお題「ぶっこぬき」は、「そっくりそのまま・うり二つ」という意味のおらほうの言葉です。親子はもちろん孫、ペットまで、春らしい温かみの感じられる作品が寄せられました。
- ぶっこぬき わがたんじょうび つどう顔
(上豊岡町 目黒 愛子) - ぶっこぬき 言われた娘の 不満顔
(檜物町 三木 たみを) - 愛犬が 主人の寝相 ぶっこぬき
(中室田町 石井 君枝) - 親子だね 座る足裏 ぶっこぬき
(並榎町 追川 光家) - 首ならべ 湯船の三代 ぶっこぬき
(日高町 猿渡 道子) - ぶっこぬき 昔の写真と 今の孫
(倉賀野町 田村 勲) - ぶっこぬき 親子見比べ 皆笑顔
(下里見町 富沢 満美子)
(敬称略)
お便り紹介
「そのしぐさ 親子三代 ぶっこぬき」親、子そして孫まで、普段何気なく腕組みをする姿や言葉のちょっとした使い方がそっくりで、ほほえましく見えます。よく似たものだと、思わず苦笑いしてしまいます。(中尾町の関原美香さん)
「ぶっこぬき 母喜んで くれたっけ」昔、親せきのおじさんが「お母さんにぶっこぬきだ」と言ってくれたことがありました。当時、母よりかわいくないとひがんでいた私は、母がコロコロと大喜びしていた姿を意外に思いました。(上室田町の小池紘子さん)