ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 分類でさがす > 市政 > 広報 > 広報高崎 > 平成19年度のお題

本文

平成19年度のお題

ページID:0006051 更新日:2023年12月18日更新 印刷ページ表示

『おっつぁれる』【3月1日号】

  • 穴あいた Gパン縫って おっつぁれた
    (八幡町 須田 美千代)
  • わりいこと おっつぁれるめぇに よすべいや
    (下里見町 赤尾 秀一)
  • たのもしや おっつぁれて母 父に惚れ
    (井出町 斎藤 正子)
  • おっつぁれる 結露に画いた 顔が泣き
    (中室田町 中島 光子)
  • おっつぁれて 母の涙に 又涙
    (南新波町 船藤 陽子)
  • べろんべろん 父ちゃん今夜も おっつぁれる
    (弓町 鈴木 マサ)
  • 女房の ハゲをみつけて おっつぁれた
    (台町 飯塚 和子)

(敬称略)

「おっつぁれる」は、「怒られる」という意味です。受動的使用に限定され、能動的に「怒る」ときに「おっつぁる」とは言いません。「おっちゃれる」と発音する人もいます。
「オーカ、ふざけてベーイッと、まーたオッツァレルで」というように使われます。
と、ここで気づいたのですが、「オッツァレル」とカタカナで書くと、何やらイタリアンな香りが漂いますね。

お便り紹介

「おっつぁれるばかりの嫁が姑看取る」四十五年間共に暮らした姑が「あんたがうちの嫁で良かった」といってくれた言葉が、今も心に焼き付いています。(日高町・岡田さん)

『めっける』【2月1日号】

  • 臍繰りを めっけて隠し 又忘れ
    (八幡町 梅村 ヨシ子)
  • 年金を 払った領収 めっかんねー
    (菊地町 小沢 朝男)
  • かるた取り めっけるのろさに 年感じ
    (上小塙町 静野 豊子)
  • 少林山 めっけるダルマ 目と目合い
    (中室田町 清水 正幸)
  • めっけ得 夫のへそくり 折半に
    (井野町 竹内 朝子)
  • 嫁探し 一人でいいのに めっからず
    (萩原町 土田 千恵子)
  • 試合止め 打球めっける 草野球
    (八幡原町 原田 晴弥)

(敬称略)

「めっける」は「あちこち探したけど、めっかんねえや」のように使われるのが標準的です。辞書には「めっける=みつけるの訛り」とあり「みつける=(1)みいだす・発見する(2)見慣れている」と出ています。
しかし、おらほうでは「よーくメッケタんきゃあ?」「うん、メッケタけどなかったん」のように「探す」という意味で使われています。この「探す」という意味での用法、上州人以外にはなかなか理解し難いようですね。
ちなみに今回の投句から、「めっける」物の代表格は「頭の上の眼鏡」と「配偶者のへそくり」ということが判明しました。

『よいじゃあねぇ』(その2)【1月1日号】

  • 新首相 捻れ国会 よいじゃあねぇ
    (下滝町 天田 勝元)
  • 多機能を シニアが使うの よいじゃあねぇ
    (箕郷町西明屋 川浦 和美)
  • 孫がくりゃ よいじゃあねぇが 恵比須顔
    (乗附町 高橋 亜紗子)
  • お正月 お年玉だって よいじゃあねぇ
    (中室田町 中島 光子)
  • メキシコの 遺跡登りは よいじゃあねぇ
    (下里見町 田中 史江)
  • 川柳も 自分で捻ると よいじゃあねぇ
    (保渡田町 原沢 進一)
  • 伊勢参り お土産選びも よいじゃねぇ
    (倉賀野町 山崎 清)

(敬称略)

明けましておめでとうございます。

「よいじゃあねえ」のパート2です。過去最多、百八十一の投句から、近年の「よいじゃあねえ」ことの姿が浮かび上がりました。
まずはガソリンに代表される値上げ。家計に響いて「よいじゃあねえ」。「福田総理はよいじゃあねえ」という句も多数ありました。意外にも「子どもの嫁・婿探し」というのも相当あり、晩婚化の世相がうかがえます。
なにより多かったのは「孫の世話」。孫に会えるうれしさばかりではなかったのですね。
今後、孫の世話をお願いするときは、認識を改めます。

『よいじゃあねぇ』(その1)【12月1日号】

  • 上州の カカアに勝つのは よいじゃあねぇ
    (楽間町 秋山 清)
  • 団塊世代 幾つになっても よいじゃあねぇ
    (下中居町 尾登 キヨ美)
  • クリスマス サンタの買い出し よいじゃあねぇ
    (八幡町 須田 美千代)
  • 日本丸 舵を取るのも よいじゃあねぇ
    (上里見町 多胡 勝代)
  • 年金を 受けるも渡すも よいじゃあねぇ
    (新町 田村 美男)
  • よいじゃあねぇ NOVAに行っても しゃべれねぇ
    (剣崎町 中山 健)
  • 爺好きと 言われる為に よいじゃあねぇ
    (南新波町 船藤 陽子)

(敬称略)

「よいじゃあねぇ」は上州人なら誰もが耳にしたことがあり、口にしたことがある言葉ではないでしょうか。
「まーず、よいじゃあねぇけど、孫の喜ぶ顔見たさにイヤとは言えねぇや」。かわいい孫からせがまれて、断れないおじいちゃん、おばあちゃんもきっと多いはず。
「容易じゃない」を上州弁的に縮めると「よいじゃあねぇ」。案ずるなの「あんじゃねぇ」と同じですね。
あまりのもメジャーな『おらほうの言葉』だったせいか、今回は過去最多の八百八十一句もの投句がありました。
秀作も多かったため、今回号と来年一月一日号の二回に分けて掲載します。
ここで僭越ながら、編集者から一句「選ぶのも これほど多いと よいじゃあねぇ」。今年最後のおらほうで、これほどの盛り上がり。来年もこうありたいねぇ。
「よいじゃあねぇ」パート2もお楽しみに。

『はしはし』【11月1日号】

  • なんとなく はしはししない 月曜日
    (下滝町 天田 勝元)
  • はしはしと しない息子は 又ふられ
    (新町 小黒 涼子)
  • はしはしと 答えいい子と 褒められる
    (岩鼻町 門倉 まさる)
  • はしはしと もたもたでも 仲はいい
    (箕郷町西明屋 川浦 和美)
  • 腰重く はしはし出来ぬ 相撲界
    (新町 清水 紀子)
  • 寝起きの子 はしはし進まぬ 朝ごはん
    (上大類町 松本 節子)
  • 社保庁に はしはし解決 期待する
    (萩原町 土田 千恵子)

(敬称略)

「マーズ、やつァ、ハシハシしねェんで、ズデだィなー」と言われたら「まったく、あの人はテキパキと動けなくて、役に立たない」という意味です。こういう評価はされたくないものです。
「はしはし」は「素早く、行動的に、テキパキと」した様子を表現するのに使います。「すばしこい→はしこい→ハシッケェ→ハシハシ(?)」と変化と転訛をしてきたのでしょうか。
しかし「ハシッケェ」は動作が素早いという感じですが「ハシハシ」には、能力の高い・低いも含まれているようないないような・・・。ハシハシしない文章ですみません。

『いける』【10月1日号】

  • 同窓会 いけた初恋 掘り起こし
    (下滝町 天田 勝元)
  • 愛犬も 食物いける 防災日
    (下豊岡町 金子 澄子)
  • 蝉死んで おがんでいける 孫二人
    (上小塙町 静野 豊子)
  • 年度末 掘り返す道 いける道
    (新町 清水 紀子)
  • 庭の隅 こっそりいける 恋の傷
    (金古町 丸山 ふみお)
  • 兜虫 いけて子の夏 終わりけり
    (倉渕町川浦 三原 靖子)
  • 生ごみを いけて花咲く おらの庭
    (聖石町 毛呂 英子)

(敬称略)

広辞苑で「いける(生ける・活ける)」を引くと、「埋けるとも書く」と載っています。ということは共通語か?とも思われますが、現在、標準的には「埋める」が主流として使われているのであって、主に「埋ける」の意で使われるのは、これはもう、上州弁といっていいでしょう。縁日ですくってきた金魚が死んでしまったとき、祖母に「裏ィいけといてやれ」と言われたのを思い出します。
「いける」が促音化して「いっける」になると、不思議なことに言葉の向きが上方へと変わり「(高いところに)乗っける」という意味になります。「いける」と「いっける」。垂直方向に下と上。方言の中の面白い偶然です。

『なから・なっから』(その2)【9月1日号】

  • おばあちゃん 「なから」って「チョー」の ことだいね
    (八幡町 須田 美千代)
  • 長梅雨が 明ければなっから 暑い夏
    (箕郷町西明屋 川浦 和美)
  • 政権に なっから強い 風が吹き
    (聖石町 小林 千美)
  • とりにがし なっからでかいと 釣り仲間
    (箕郷町生原 平本 愛子)
  • 古希過ぎて なっから疲れ 盆踊り
    (寺尾町 真館 久)
  • 今年また なから良かった 夏祭り
    (倉賀野町 山崎 清)
  • 帰省娘 なっから積み込む 米・野菜
    (飯塚町 中村 豊雄)

(敬称略)

「おめえ、外車買ったんだと。ナッカラしたんじゃねん?」というふうに、「なから」は「かなり・だいぶ」といった意味で使われます。
一句目にあるように、若者は「チョー」、関西人は「めちゃ」、上州人なら「なっから」。消えゆく方言が多い中、現役として活躍するおらほうの言葉です。
たった今、友人から届いたEメールに「明日もなっから暑くなりそうですね」とありました。文章を書くとき、普通、方言は出てこないもの。自然と文字に落としてしまうあたり「なっから」は上州人のソウルに染み込んでいる言葉なのですね。

『エビガニ』【8月1日号】

  • エビガニを 一度は食べて みたかった
    (下滝町 天田 勝元)
  • エビガニの 電池切れたと パパに言う
    (八幡町 梅村 ヨシ子)
  • ぼろぼろの シャツとエビガニ 暑い夏
    (岩鼻町 門倉 まさる)
  • 好奇心 えびがに持てぬ 子等悲鳴
    (山名町 黒澤 輝美)
  • 強がりの エビガニ鋏 振りかざし
    (佐野窪町 須川 定良)
  • エビガニ捕り 子より父さん のめり込み
    (萩原町 土田 千恵子)
  • エビガニを 取った小川は 高速道
    (飯塚町 中村 豊雄)

(敬称略)

「エビガニ」は「ザリガニ」のことです。その圧倒的な分布から、一般的にはアメリカザリガニを指すことが多いようです。地方によっては「マッカチン」とも呼ばれます。
ちなみにエビガニは、カニではなくエビの範疇に入るそうですので念のため。

『○○だいねー』【7月1日号】

  • あっついねー 外はすっかり 夏だいねー
    (中豊岡町 萩原 聖子)
  • 朝ごはん 食べずに学校 だめだいね
    (金井淵町 宮田 はるよ)
  • 挨拶が ちゃんと出来て いい子だいねー
    (上小塙町 静野 豊子)
  • そうだいねー 相槌打ち打ち 長しゃべり
    (下大類町 辻 賀子)
  • 住み良いね いい街だいね 高崎は
    (上佐野町 小山 順子)
  • きき上手 そうだいねー ばかり言い
    (新町 吉江 きみ江)
  • 上州きゃー そうだいねーと 意気投合
    (岩鼻町 門倉 まさる)

(敬称略)

お便り紹介

「だいねー」は、「だよねー」の上州弁です。共通語との違いが微差であり、語尾に付く助動詞としてはあまりにも有名な「だんべー」があることから、あまり目立たない存在ですが、その使用頻度はかなりのものです。ニュアンスとしては弱い断定や相槌として使われます。

「『~だいね』から『~じゃないですか』の様変わり(井野町・竹内さん)」

「私って川柳得意じゃないですか」のような現代若者言葉は、丁寧なようで押しつけがましい言い方とされます。「あたしゃ、川柳得意なんだいね」。こちらは自慢話もサラッと聞けてしまいますね。

『いどころね』(その2)【6月1日号】

  • いどころね 横顔似たり 爺と孫
    (山名町 黒澤 輝美)
  • いどころね テレビ消され 目がさめる
    (町屋町 桜井 武志)
  • 酔客も 討死したり いどころね
    (上里見町 多胡 勝代)
  • 水戸様の いんろう見ずに いどころね
    (飯塚町 中村 豊雄)
  • いどころね そのまま布団に ころがされ
    (箕郷町生原 平本 愛子)
  • いどころね いい夢なかばで 起こされる
    (倉渕町権田 原田 すず子)
  • いどころね またぐ娘に 蹴る女房
    (八幡町 須田 美千代)

(敬称略)

前回に引き続き「いどころね」の第二弾です。

お便り紹介

高崎を離れて十五年以上経ちますが故郷の言葉は懐かしいです。数年前、進学で上京した弟から電話。「姉ちゃん、『ぶちゃる』って方言なの」。自分が上京したときのことを思い出しました。ものもらいのことを「めっぱ」と言って大笑いされたり、「しびびー」や「どどめ」をうまく説明できなかったり。語尾に特徴がある群馬弁。意識して語尾を「です・ます」に変えるようにして話す癖がつき、帰省すると「東京弁話してる」と言われたりして。ときどき、高崎に残っている妹の「あぁ~ねぇ」という相槌を聞くとなんだかほのぼのします。(東京都・伊藤さん)

『いどころね』(その1)【5月1日号】

  • 極楽は こんなものかと いどころね
    (下滝町 天田 勝元)
  • 風邪ひくよ 亡母の声する いどころね
    (下室田町 岩崎 アキ子)
  • ふゆの夜の たのしみコタツで いどころね
    (倉渕町三ノ倉 上野 栄一)
  • なんとなく いどころねして みみそうじ
    (貝沢町 大塚 節子)
  • いどころね 床につくのは ごぜんさま
    (浜川町 大野 好夫)
  • いどころね 喧嘩の後は 毛布掛け
    (菊地町 小沢 朝男)
  • いどころね 起こさぬように しのび足
    (倉賀野町 小森 はま子)

(敬称略)

「いどころね」は寝るべき場所でないところで思わず寝てしまうことです。
漢字で書くと「居所寝」となります。「いどこ寝」という地域もありますが、いずれも「うたた寝」のことをいいます。
関東で広く使われますが、四国や九州の一部にも分布しています。ちなみに北日本では「着所寝(きどころね)」というようです。
陽だまりやコタツで寝入ってしまい「そんなとこでいどころ寝してりゃー、風邪引いちまうだんべー」と起こされた経験はありませんか。
春本番、いどころ寝が気持ちいい季節です。皆さん風邪などひかないように。
秀作も多いため、今回号と六月一日号の二回に分けて掲載します。「いどころね」パート2、お楽しみに。

『よばる』【4月1日号】

  • なつかしい 前家裏家 よばる風呂
    (上並榎町 中嶋 正雄)
  • 「お茶飲んでけー」 とバアバの よばる声
    (天神町 角田 佳子)
  • まんまだと かあちゃん戸口で よばってる
    (箕郷町生原 平本 愛子)
  • 飯よばれ 見合いの話 勧められ
    (八幡町 須田 美千代)
  • ふきみそが 出来たと友を 茶によばる
    (萩原町 土田 千恵子)
  • よばること よばれることも ぼけぼうし
    (浜川町 大野 わかよ)
  • およばれ着 縫い居し母の 背やさし
    (上里見町 多胡 勝代)

(敬称略)

「よばる」は、「呼ぶ」という意味のほかに「招待する」という意味でも使われます。「よばれる」というふうに受け身の形になると一層その意味合いが強くなります。
もう亡くなったうちのばあさんは、ちょっとした用足しに来た近所の人に、よく「お茶でもよばれてがねえかい」と声をかけていました。
よばれたほうは「じゃ、ちっとんべよばれてぐかの」とあがりこんでは、おしゃべりしていくので、結果的にかなり長時間の用足しになってしまうのです。
でも、こんなコミュニケーションが、実は大切なのかもしれませんね。