平成15年度のお題

「ののひろ(ののひる)」(4月1日号)

  • おふくろの  味はののひろ  酢みそあえ(寺尾町  島崎梅子)
  • ののひろと  みそ少々の  手酌酒(上佐野町  長井恵)
  • 天空を  つかめど侘びし  ののひるの花(上中居町  吉成浜子)
  • ののひるの 胡麻よごしだよ  お茶にすべ(貝沢町  井田不二江)

春のあぜ道や土手で見つけることができるノビルは、ユリ科ネギ属の植物で、「ののひろ」「ののひる」と呼ばれています。土に埋まっている白い玉の部分は地下茎で、みそなどを付けて食べることができます。雨が降った後には、子どもでも引き抜くことができるので、学校帰りに摘み、酒のつまみと称して親から小遣いをせしめたものです。六月ごろに小さな白い花を咲かせます。

「はがむ」(5月1日号)

  • はがむ子が  今日は花嫁  高島田(山名町  黒澤輝美)
  • 週末の  父親見て泣く  はがみ児(江木町  柳澤英子)
  • はがむ孫  障子の穴から  目が笑う(浜尻町  湯浅茂子)
  • 世は変わり  人前キスも  はがむなし(佐野窪町  須川定良)

「人見知りをするようになった子どもが、はがんで母親の足下に隠れる」「子どもがはがんでるんじゃないんだから、見合いの返事ぐらいは自分でしたら」などのように、「はがむ」は、はにかむ、恥ずかしがるの意味で使われます。子どもに対して使うことが多いようです。

「ちょっぽ・ちょぼ」(6月1日号)

  • そば好きも  飲み過ぎあとは  ひとちょっぽ(和田町  片岡登志雄)
  • 町に嫁ぎ  田舎まるだし  大ちょぼ(住吉町  小林玲子)
  • ひとちょぼが  食い過ぎ八分の  分かれ道(井野町  竹内朝子)
  • 老いてなお  あとひとちょっぽ  椀を出す(倉賀野町  山崎  清)

「うどんをひとちょっぽっつ取って、器をきれいにしてくんない」などのように、「ちょっぽ」「ちょぼ」は、うどんなどのめん類を、おわんで食べやすいように小分けにしたときのひとかたまりを表すときに使われます。ちなみに「ちょぼ」は、白魚を売買するときの単位として使われた言葉で、白魚21匹のひと盛りを「ひとちょぼ」と呼んだそうです。「ちょぼ」と同じ意味の言葉で、主に吉井町や富岡市方面で使われる言葉に「ぼっち」があります。

「きびしょ」(7月1日号)

  • きびしょって  どこにあるのと  孫が聞き(下佐野町  山崎和代)
  • ひび入りの  きびしょ艶ややか  捨て難く(新保町  井草芳子)
  • 健康の  朝茶一杯  このきびしょ(日高町  岡田幸)
  • 頑固爺い  逆手きびしょの  茶は呑まぬ(佐野窪町  須川定良)

「きびしょ」は、湯飲みに茶を入れるときに使う急須のことです。広辞苑によると、中国の「急焼」の発音が転じたとなっています。「急焼」は、かつて中国で茶を入れるときに使われた道具で、きびしょよりも底が深く、直接火にかける土瓶のようなものです。一般的なきびしょは、上から見ると注ぎ口の左側に取っ手が付いていますが、左利きの人のために、右側に取っ手が付いているものもあります。

「てっこはっこ」(8月1日号)

  • てっこはっこ  掘って遊びし  お社の森(飯塚町  塚越トキエ)
  • 生きるため  すり鉢上手  てっこはっこ(寺尾町  真舘久)
  • シャラの花  落ちて悶える  てっこはっこ(上中居町  吉成浜子)
  • 借金で  てっこはっこの  日々送り(岩押町  佐藤祐司)

「てっこはっこ」は、ウスバカゲロウの幼虫のことで、あり地獄ともいいます。縁の下などの砂地に幼虫が作るすり鉢状の巣を表すときにも使われます。「てこばこ」「へっこばっこ」など地域によって呼び方が少しずつ違います。インターネットで検索してみると、新潟県では「ぼこぼこ」、千葉県では「ためっこじょおろ」など、全国でさまざまな呼び名が付いているようです。

「おおいい」(9月1日号)

  • 財布中  おおいい物は  診察券(飯塚町  中村豊雄)
  • 給料日  今日のおかずは  おおいいね(稲荷町  松本秀子)
  • おおいいと  見せて上げ底  腹が立ち(萩原町  土田千恵子)
  • 町角に  不況知らずの  おおいいごみ(佐野窪町  須川定良)

「今年の夏は雨の日がおおいいんね。洗濯物がたまるわ、野菜が高くなるわで困るんよ」などのように、「おおいい」は、数量が多い意味で使われます。標準語の「多い」の語尾に「い」が付いた言葉です。会話をする上で、「多い」と使い方は同じで、特に使い分けはしていないようです。話し言葉では頻繁に耳にする言葉です。なお、反対語の「少ない」の語尾に余分な「い」は付きません。

「かまんどく」(10月1日号)

  • 転んだ子  かまんどくのも  親の愛(上佐野町  小山英雄)
  • 子沢山  かまんでおいて  みな良い子(八幡町  梅村ヨシ子)
  • 妻の愚痴  毎度のことと  かまんどく(上佐野町  長井恵)
  • 風呂たきは  かまんどくほど  良く燃える(井野町  竹内朝子)

「せんべいを焼いてんじゃないんだから、サンマを焼くときは、くるくるひっくり返さないで、かまんどきゃーいいんだよ」「子どものけんかは、かまんどけば仲直りするもんだ、親が首を突っ込むからややこしくなるんだ」のように「かまんどく」は、構わないで放っておくことの意味で使われます。

「へった」(11月1日号)

  • 福だるま  へった重くて  起き上がり(上佐野町  江原京子)
  • 寝坊助の  へったくすぐる  ママの技(萩原町  土田千恵子)
  • 誕生日  へった踏ん張る  力餅(寺尾町  真館久)
  • 物好きな  へったさす蚊の  心意気(上中居町  吉浜成子)

「へった」は、爪先からかかとまで足の裏全体のことを表す言葉です。また、福だるまを製造するときに、底の部分に使う重りのことや底の部分そのものを表すときにも使われます。福だるまが七転び八起きの動きをするのは、「へった」に秘密があったのです。伊勢崎方面でも「へった」は使われますが、「底」という意味合いが強く「足のへった」という使われ方をします。

「いっける」(12月1日号)

  • 頭に本  いっけて畳の  へり歩く(上佐野町  長井恵)
  • ひざの   いっけた孫も  みな育ち(萩原町  土田千恵子)
  • 漬物に  いっける石が  味の素(飯塚町  中村豊雄)
  • 自転車に  彼女いっけて  恋の道(江木町  柳澤英子)

「いっける」は、ものを乗せるという動作を表す言葉です。おらほうの言葉で、動詞の中に促音「っ」が入り変化をするものがあります。「乗せる」が「のっける」や「いっける」に、「寄りかかる」が「よっかかる」や「おっかかる」に変化します。なぜ、「のっける」が「いっける」に、「よっかかる」が「おっかかる」に変化したのかは、今後の研究が待たれます。

「おきりこみ」(1月1日号)

  • たてかえし  うまさ増すかな  おきりこみ(山名町  黒澤輝美)
  • おきりこみ  祖母妻嫁で  味三種(飯塚町  中村豊雄)
  • 食べ飽きた  終戦後の  おきりこみ(井野町  竹内朝子)
  • おきりこみ  母の味には  まだ足りぬ(上小塙町  清水シカ)

「おきりこみ」「おっきりこみ」は、煮込みうどんのことです。家庭によって作り方や味付けはさまざま。冬場に親せきが集まると、大きな鍋に「おきりこみ」を作って、大勢で食べる風習は、つい最近まで、当たり前のようにありました。・・ 有り合わせの野菜などを切り、自家製の手打ちうどんを加えた煮込み料理なので、「おきりこみ」というのかもしれません。

「つみっこ」(2月1日号)

  • いろり端  つみっこ汁で  花が咲き(江木町  柳澤英子)
  • 終戦時  つみっこ麦めし  腹満たし(萩原町  土田千恵子)
  • くず麦の  つみっこ今は  なつかしく(岩鼻町  門倉まさる)
  • おばあちゃん  つみっこうまいと  リクエスト(上小鳥町  相川操)

「つみっこ」は、水団の意味です。「つみっこ」といえば汁ものですが、砂糖としょうゆで煮詰めたおやつもあるそうです。「つみっこ」のおやつは、戦中、戦後の何も売ってないころ「家庭で手軽にできるおやつ」と設楽ろくさん(上中居町)。うどん粉に卵と水を入れてよくこね、手でにぎったくらいの大きさに分けたものを熱湯で約四分ゆでる。湯切りをして、砂糖としょうゆを加えてとろ火で約三分煮詰めるとできあがりとのこと。

「にたかよったか」(3月1日号)

  • 空き瓶の  にたかよったか  分別日(乗附町  高橋アサ子)
  • バス旅行  にたかよったか  歌合戦(上大類町  新井京子)
  • 老若も  にたかよったか  皆茶髪(佐野窪町  須川定良)
  • 酒癖が  にたかよったか  兄弟会(上佐野町  長井恵)
  • 体重計  にたかよったか  針の位置(岩鼻町  門倉まさる)
  • 政権が  にたかよったか  皆迷い(上佐野町  小山英雄)

「にたかよったか」は、同じぐらいであまり差のないことを表すときに使われます。共通語の「似たり寄ったり」の「り」が「か」に変化した言葉です。県内だけでなく、大阪でも使われています。

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