本文
梅花皮写兎螺鈿鞍
高崎市にある指定文化財 市指定
梅花写兎螺鈿鞍 左:正面 右:側面
前輪(まえわ)、後輪(しずわ)の外側に海・磯の区分がある海有鞍(うみありぐら)形式で、鞍橋(くらぼね)の素地が厚く、前輪中央部の幅が広く、「中世後期軍用鞍」に近い形状をみせています。
両輪の外側は、素地に漆で象牙の細片を張り付け、漆錆(うるしさび)で埋めた後、漆で塗りこめ、最後に研ぎ出すという工程による、「梅花皮写(かいらぎうつし)※1・2」のそうしょくとしています。
中央には厚貝(あつがい)※3による螺鈿(らでん)と金蒔(きんまき)の輪郭線による兎の文様を表しています。両輪の内側にも同様の技法で兎の文様が描かれています。螺鈿による兎文の部分は、梅花皮写の地よりもかなり盛り上がっており、技法的にも稚拙な面がうかがえます。製作当初は梅花皮写のみであった装飾に、後世、兎文の部分を補ったものと推測されます。
※1梅花皮(かいらぎ):梅花皮はインド洋などに生息する特殊なエイの皮に漆を塗って研ぎ出したもので、表面の凸部は白く、凹部は黒く残り、あたかも梅の花が咲いたように見えることからこの名が付いています。
※2梅花皮写(かいらぎうつし):象牙と漆を用いて梅花皮を模した物です。
※3厚貝(あつがい):螺鈿に用いられたアワビ貝のことです。
文化財情報
- 指定種別:高崎市指定重要文化財
- 名称:梅花皮写兎螺鈿鞍(かいらぎうつしうさぎらでんくら)
- 指定年月日:平成12年9月28日