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染料植物の道を歩こう

ページID:0004909 更新日:2024年2月15日更新 印刷ページ表示

「染料植物の道」では古代から現代までの染色の歴史と、その時代に主に使われていた染料植物をみることができます。

また、傍らにある案内板により、植物の名前や種類、染色に使用する部位、媒染材とその色見本・色名がわかりやすく説明されています。同じ植物で色見本が3色あるものは、媒染剤の違いによります。

飛鳥・奈良の道

飛鳥・奈良の道写真
飛鳥時代には、大陸から伝わった優れた染色技術によって高度な染色品が作られるようになり、色や冠によって位をあらわす冠位制度が定められたことで、様々な色が求められ染色の発達を促しました。法隆寺や正倉院などに残されている染織品は、今日になってもすばらしい色彩を見せてくれています。この時代の道には、ベニバナ、アカネ、アイ、ムラサキ、クチナシ、キハダ、スギ、ハンノキ、ヤマモモなど30数種の草木が植えられています。

アイ写真
アイ(6月)

ムラサキ写真
ムラサキ(6月)

ベニバナ写真
ベニバナ(7月)

アイの色見本
色名 標色・紺色・水色
藍染には発酵して染めるものと生葉で染める方法がある。

ムラサキの色見本
薄紫色・紫色・深紫色
根に熱湯をかけ手で揉出し椿灰汁で下染し重ね染する。

ベニバナの色見本
紅色・韓紅花色・黄色
花をアルカリ水に浸し紅色素を抽出し、酸を加えて紅色を染める。

平安・鎌倉の道

平安・鎌倉の道写真
大陸文化から離れ、日本独自の文化が築かれた時代です。源氏物語や枕草子などに描かれるように、公家たちは様々な衣装を重ねてその組み合わせを楽しみ、あでやかさを競い合っていました。華麗な襲の色目、合色目・織色などがあります。初期に編纂された「延喜式」には、当時の染料植物や媒染料などが記されていて古代染色を研究する人々の唯一の文献です。
また、合戦絵巻に見られるようなよろいなどにも華麗な色が使われていました。武家社会へと移り変わっていく鎌倉時代にも傾向はつながっていきます。この時代の道には、シラカシ、ニッケイ、ウメ、ヌルデ、クララなど30数種の草木が植えられています。

クララ写真
クララ(6月)

ウメ写真
ウメ(6月)

ハマナス写真
ハマナス(6月)

クララの色見本
菜花色・濃黄色・若草色
7月頃刈りすぐ煮出し黄色を染める。

ウメの色見本
梅染・赤梅・鳩羽鼠
幹材・太い枝を細かくきざんで煮出します。

ハマナスの色見本
唐茶色・鳶色・黒鳶色
地下茎を煮出して鳶色から黒茶色を染める。

室町・江戸の道

室町・江戸の道写真
室町時代になると藍の葉を発酵させて作る「すくも」の製造が始まりわが国独自の技術として加温する藍建が発明され、藍染が1年を通じて染められるようになりました。同じ頃日本に綿が入ると栽培が盛んになり藍が木綿によく染まることから急速に藍染が普及しました。藍染は庶民の色として江戸時代を代表する色になりました。またアジア南部から多くの熱帯植物が渡来し新しい色彩が加わりました。イチイ・ヨヨゴ・モッコク・ナンテン・カシワ・ズミ・クマノミズキ・コブナグサなど30数種の草木があります。

リョウブの写真
リョウブ

コブナグサ写真
コブナグサ

ザクロ写真
ザクロ

リョウブの色見本
赤肌色・橡色・黒鼡色
9・10月頃の枝葉を煮出して染める。

コブナグサの色見本
黄色・金茶色・若草色
花穂の出始めを刈り取り煮染めする。

ザクロの色見本
黄色・錆金茶色・焦茶色
果皮を煮出し染める。

現代の道

 現代の道写真
明治中頃に合成染料が輸入されると、急速に普及し染色といえば合成染料を指すようになりました。その間にあっても植物学者らによって研究が続けられていましたし、戦後伝統工芸が見直されたり近年の自然指向とも相まって関心がはらわれてきています。この道では、明治時代以後新しく開発された染料植物を見ることができます。ビワ・アンズ・ウワミズザクラ・シロヤマブキ・ハコネウツギ・ヤブマオなとの草木30数種の草木があります。

ユスラウメ写真
ユスラウメ(6月)

センダン写真
センダン(6月)

ビワ写真
ビワ(7月)

ユスラウメの色見本
赤肌色・黄樺色・藤色煤竹色
8・9月頃の枝葉を煮だして染める。

センダンの色見本
菜花色・鶯色・若葉色
9月頃の緑葉を煮出して染める。

ビワの色見本
緋色・柿色・紫鳶色
11月頃の樹皮を用いると赤色に染まる。