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自然を染める クチナシ

ページID:0004125 更新日:2024年2月15日更新 印刷ページ表示

クチナシの写真

クチナシ

アカネ科の常緑低木で、高さ2mほどになる。葉は対生し、長だ円形で光沢があり、初夏にとてもよい香りの白い花を咲かせる。果実は約2cmの倒卵形で、表面には5~7つの稜(りょう)があり、熟すと黄赤色になる。果実の中には、小さな種子が多数ある。

説明

クチナシの実は、栗きんとんを作るときに色付けとして使われます。この実で着色することによって、きれいでおいしそうに見える栗きんとんが出来上がります。そのほか、たくあん漬けやご飯の色付けに使われることもあります。

クチナシの実は、古くから黄色や山吹色を染める染料として使われてきました。平安時代に編さんされ、宮中の年中行事や制度などが記されている文献「延喜式(えんぎしき)」には、クチナシの実を使って染められた「深支子(ふかきくちなし)」「浅支子(あさきくちなし)」「黄支子(きくちなし)」という色名や、使用したクチナシの分量などが記されています。黄支子はクチナシだけで染め、深支子・浅支子はクチナシで染めた後にベニバナで染め重ねられた色です。

皇太子だけが着ることを許された礼服の色「黄丹(おうたん・おうに)」も、クチナシで染めた後にベニバナで染め重ねた色です。この黄丹のように、天皇や皇太子のほか、公卿(くぎょう)など位階(いかい)の高い人以外は着ることのできない色を「禁色(きんじき)」といいました。当時の衣服は、美しさや華やかさだけでなく、地位や身分を表す役目もあったのです。

黄丹の画像
黄丹

黄支子の画像
黄支子