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自然を染める ムラサキ

ページID:0004133 更新日:2024年2月15日更新 印刷ページ表示

ムラサキの写真

ムラサキ

山地や乾燥した高原に生える多年草。近年ではなかなか見ることができない。茎は高さ30~60センチで直立し、上部で枝分かれする。葉は互生し茎とともに粗い毛が多く、長さ3~7センチの披針形(ひしんけい)をしている。根は赤紫色で太く、シコニンという色素を含む(写真内左下)。

説明

ムラサキは、6月ごろに白くて小さい花を咲かせるムラサキ科の多年草です。平安朝の人々の叙情をかきたてた代表的な野草で、万葉集をはじめ多くの歌集や物語に登場します。

603年に聖徳太子らによって制定された冠位十二階の制度では、衣服の色で役人の位を表していました。最も高い位を紫とし、次いで青、赤、黄、白、黒の順とされていました。ムラサキはとりたてて華やかな草ではありませんが、万葉集にはムラサキを詠んだ歌が数多くあります。当時の人たちがこの草にあこがれたのは、紫が最も高貴な色だったからでしょうか。

ムラサキを使った染色は「紫根染(しこんぞめ)」と呼ばれています。湯をかけた根を手でもんで、染液を抽出します。染める回数や酢、椿灰汁(つばきあく)、みょうばん石などの媒染剤によって色調が変わります。「深紫(ふかきむらさき)」、「濃紫(こきむらさき)」と呼ばれる濃い紫色や「浅紫(あさきむらさき)」、「薄紫」というやや薄い紫色など、多くの色調や色名があります。
江戸時代になると、藍と蘇芳(すおう)という染料を重ねて簡単に染められる技術ができ、似紫(にせむらさき)や江戸紫と呼ばれる紫色が庶民の間でも流行しました。

濃紫
ムラサキで染めた「深紫」