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自然を染める ヌルデ

ページID:0004130 更新日:2024年2月15日更新 印刷ページ表示

ヌルデ

ヌルデ(ウルシ科)

山野に普通に見られる落葉小高木で高さ5~10メートルになる。葉は互生し長さ30~60センチの奇数羽状複葉で葉軸の小葉の間に翼があるのが特徴。雌雄異株で、8~9月に白色の小さな花を円錐状に多数つける。果実は直径4ミリの扁球形で、熟すと白い物質を分泌する。

説明

ヌルデは観音山でよく見かける木です。秋になるとヌルデの葉に、一見、実のように見える耳状に膨らんだ葉がついていることがあります。これは、ヌルデシロアブラムシが寄生してできた虫こぶで「五倍子(ごばいし)」と呼ばれています。

五倍子は、苦みの成分として知られるタンニンを多く含み、昔から薬用や革のなめし、染料などに利用されてきました。「お歯黒」を施すのに使われたのは有名です。

平安時代に貴族の間の風習だったお歯黒は、近世には身分を問わずに行われるようになり、江戸時代には既婚女性の証として広く普及しました。お歯黒はまず、米のとぎ汁や粥、酒などを発酵させ、その中に赤く熱した古釘などを入れます。そのまま成熟させると、黒褐色の鉄漿(かね)と呼ばれる液ができます。この鉄漿と五倍子の粉を交互に塗って歯を黒く染めていました。

五倍子を使って染色するときは、主に鉄媒染で発色させます。これは、お歯黒と全く同じ原理です。

五倍子で染めた色には、空五倍子(うつぶし)色、藤鼠(ねずみ)などの色名があります。

五倍子で染めた生糸
五倍子で染めた絹糸