ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

本文

続・ポリバケツでできる藍建て2015年の記録

ページID:0002844 更新日:2024年2月15日更新 印刷ページ表示

「公開実験! ポリバケツの藍建」 ポリ藍の復活 2015年4月~

昨年(2014年)7月、染料植物園は「公開実験!ポリバケツの藍建」を公開し、藍の管理状況等の経過についてホームページで紹介してきました。昨年秋、ポリバケツの藍は、外気温が下がったために藍の活性が落ち、藍染ができなくなり、そのままの状態で保管してきました。

今年(2015年)4月、保管していたポリバケツの藍を復活するため、新たに藍の管理をはじめました。

「ポリバケツの藍建」2014年

2014年にポリバケツの藍建の仕込み方や藍の管理について、紹介してきましたが、その経過については、次の「2014年7月~11月:ポリバケツの藍建から」をご覧ください。

2014年7月~11月:ポリバケツの藍建から

2015年(平成27年)

4月3日(金曜日) くもり 午後3時30分 気温16.5℃

4月になったので、ポリバケツの藍を久しぶりに見てみました。フタを開けたら、白とベージュのカビがあり、少しカビ臭い匂いもしますが、紫色の膜も張っているので、カビを取り、1分染めてみることにしました。
1分染 すごく薄い水色に染まりました。

攪拌(かくはん)すると、カビの臭みが消えて藍の良い匂いがしました。
小さいグレー色の華ができました。
pH9.4 液温12.5℃

4月21日(火曜日) くもりのち晴れ

午後4時 気温20.2℃

今日から最低気温が10℃以上、暖かい日が続くと天気予報が出たので「藍・復活」です。朝、日の当たらない場所に置いてあった藍を、午前中だけ陽の当たる場所に移動する。
フタを開けると、またカビがあり、カビ臭い。でも、まわりに紫色の膜がある。カビを取る。

カビが繁殖しているポリバケツの藍の写真

カビが繁殖しているポリバケツの藍

繁殖したカビを取って復活処理を行っている写真

繁殖したカビを取って復活処理を行う

1分染 青に近い水色

1分染の写真

4月3日よりもすごく濃く染まった。

攪拌しているポリバケツの写真

かくはんしている時は、カビ臭かったけど、時間がたったら、藍のよい匂い。華も青みの紫色でまわりに紫色の膜ができました。

pH9.5 液温18.2℃
※消石灰1カップ(200cc)入れて、pHを上げます。消石灰を入れた後に攪拌(かくはん)してpHを計ったら pH11.4に上がりました。

4月22日(水曜日) 晴れ

午前8時30分 気温19℃

フタを開けると藍の良い匂い。昨日の華が紫色にこんもり残っているし、まわりに紫色の膜があって、良い状態。

1分染 染めているとき、少しカビ臭いけど、昨日より濃く染まった。

午後4時 気温20.3℃

フタを開けると、一日中暖かかったので、朝より華が赤紫色になっているし、紫色の膜もあり、匂いもよい。

pH12.1? 液温19.8℃
※ pHメーターがpH12以上だと計れないので、点滅して正しいpHが分からない。思っていたよりもpHが上がってしまいました。
かくはん後、液の色、匂い、華もとてもよい状態なので少し早いですが、なおしをすることにします。日本酒 100ccを入れて軽く攪拌(かくはん)します。

4月23日(木曜日)晴れ 暑い日

午前8時30分 気温23℃

フタを開けると、少し藍建している時にみたいにツーンとした匂いが強く感じる。昨日より華が赤紫色になって、良い状態。

1分染 染めていると、昨日入れたせいか酒の匂いがする。

4月21日より薄くくすんだ水色に染まった。

午後4時 気温24.1℃

フタを開けた時は良い匂いだけど、かくはんをはじめると少しカビ臭い。かくはん後は、華も赤紫色で、匂いも良い状態。

pH12.2? 液温22.1℃

※pHメーターが点滅していて、正しいpHが分からない。

4月24日(金曜日) くもり時々晴れ

午前8時30分 気温19.5℃

フタを開けた時、藍の良い匂い、華も紫色。

1分染 染はじめは少し臭いけど、染め終わりのほうは藍の良い匂い。

昨日よりわずかに濃いきれいな水色に染まった。

午後4時 気温23.3℃

フタを開けた時は良い匂いだけど、かくはんすると少し臭い。華は紫色というより紺色になってしまった。

4月25日(日曜日) 晴れ

午前8時30分 気温21.3℃

フタを開けた時、少し臭い。華も紺色。

1分染 染めているとカビ臭い。昨日より薄い水色。

午後4時 気温21.5℃

フタを開けた時も、攪拌(かくはん)した後も少し臭い。華も紺色で元気がない。

pH12.1? 液温21.9℃

4月26日(日曜日) 晴れ

午前8時30分 気温19.1℃

フタを明けると、華は黒味の紫色だけれど良い匂い。

1分染 薄いくすんだ水色

午後4時 気温22.5℃

かくはんすると、華は紫色で良い匂い。でも液は黒味がある。

pH12.1 液温20.8℃

※なおしの日本酒を入れてから4日目なのに、ぜんぜん良くなりません。

1分染した色は、日増しに、薄いくすんだ色で、ぜんせん濃く染まりません。

晴れて暖かい日が続いているけれど、液温が低いし、pHも高いままです。

※4月21日の1分染であまりにも青く染まったので、なおしをしたけれど早すぎたみたいです。pHも12.1で点滅して正しい数値が測れない。1分染もどんどん色が薄くなり、くすんだ色になっている。次回、復活させる時は、石灰を入れて、pHがいつもの状態(pH11.2くらい)におちついていから、酒を入れてなおしたほうが良いと思いました。

5月28日(火曜日) 晴れ

午前8時30分 気温24.1℃

フタを開けたとき、黒味の紫の華が小さくこんもりして、まわりにグレー味の青い泡があるけれど匂いは良い。

1分染 26日よりくすみがなく、少し濃い水色

※今日から晴れて暖かい日が続くようなので、液温を高くするために、朝軽くかくはんしてから一日中陽のあたる場所に出して置くことにします。

午後4時 気温28.6℃

フタを開けると藍のあまい匂い。

かくはんしているとき、少し嫌な匂いを感じたけれど、かくはん後は華も紫色で良い匂い。かくはん棒に蒅(すくも)がからむ。

pH12.0 液温29.5℃

※今日は、一日中暑かったので、液温が高くなりpHもやっと計れるようになったので、もう一度、なおしをすることにします。日本酒100ccを入れてかくはんします。
※夕方は、雨が降ると困るので屋根の下に移動します。

4月29日(水曜日) 曇りのち晴れ

午前8時30分 気温21.7℃

フタを開けたとき、藍の良い匂い。華は紺味の紫色。

1分染 昨日より濃い水色に染まった。

※今日も一日中陽のあたる場所に出します。

午後4時 気温23.5℃

フタを開けると、あまり匂いはしないけれど、かくはんすると華も紫色で良い匂い。

pH11.8 液温28.0℃

※pHも下がってきたし、液の状態も良いのでしばらく昼間は一日中陽のあたる場所に置いて、夕方は定位置の屋根の下に移動することにします。

5月1日(金曜日) 晴れ

午前8時30分 気温24℃

フタを開けると藍のあまい匂い。華は紫味の紺で、ベニもはっていて染めている時も良い匂い。

1分染 一昨日より少し薄い色

※一昨日、良く染まるようになっていたので、今日は定位置のままにする。

午後4時 気温27.5℃

かくはんした後、藍のあまい良い匂い。華も紺色でよい状態。

pH11.8 液温24℃

※1分染の色もうすいし、pHも一昨日と変わらなかったので、今日も陽のあたるところに移動したほうがよかった。

5月2日(土曜日) 晴れ さわやかだけど日差しが強くて暑い

午前8時30分 気温23.9℃

フタを開けると藍の良い匂い。華は紺色で表面にベニがある。

1分染 昨日より少し濃く染まった。

※朝、一日中陽のあたる所に移動する。

午後4時 気温26.5℃

朝と同じ良い状態。

pH11.6 26.7℃

※陽のあたるところに置いたので、液温も上がりpHも下がった。このままポリバケツを置いておくことにする。

5月3日(日曜日) 晴れのちくもり

午前8時30分 気温22.3℃

フタを開けるとあまい匂い。華は紫味の紺色。

1分染 昨日より少しうすい色。

もっと染まると思ったのに、また朝晩の気温差がありすぎるから染まらないのかな。

※昨日から、ずっと陽のあたる場所に出したままにしてある。

午後4時 気温25.5℃

朝と同じ良い状態。

pH11.6 液温27.7℃

※天気があやしいので、念のためポリバケツを定位置に戻す。

5月4日(月曜日) くもり時々晴れ

午前8時30分 気温21.2℃

フタを開けた時、昨日と同じ良い匂い。華も紫味の紺の華がモリモリしている。

1分染 昨日より良い。少し濃く染まった。

※陽のあたる場所に出す。

午後4時 気温?

朝と変わらず良い状態。

pH11.5 27.1℃

※天気があやしいので、定位置に戻す。

5月5日(火曜日) くもりのち晴れ 朝は肌寒かった

午前8時30分 気温17℃

フタを開けると藍の良い匂いだけど、寒かったせいか華の色は紺味の紫色だけど、小さくこんもりしている、

1分染 昨日と同じくらいの色

※2回目のなおしの酒を入れて1週間。藍の状態も良いし、よく染まるようになった。

※陽のあたる所に移動する。

午後4時 気温22.3℃

フタを開けたら、朝よりも華が少し赤紫色で、まわりにベニもあって、かくはん前も後もよい状態。

※これで復活しました。あとは、pH11.1~11.2くらいに落ち着いたら染められます。

5月6日(水曜日) 晴れ

午前8時30分 気温21.1℃

フタを開けると、華も濃い紫色でまわりに紫色の膜があってよい匂い。

1分染 水色よりも青く染まるようになった。

※一日中陽のあたる所に出します。

午後4時 気温24.1℃

フタを開けると、朝と同じ良い状態。攪拌(かくはん)しても良い状態。

pH11.4 液温25.0℃

※連休中、暑いくらいの晴れた日が続いて、昼間、一日中陽のあたる所に出しておいたので、とても良い状態になりました。
なおしをするときは、復活したすぐ後でなく、pH12.0以下、液温25.0℃以上になってからなおしをするほうが良いと思いました。
良い状態になったので、明日から一日中陽のあたる所に出すのはやめて、定位置(朝から半日陽のあたる場所)に置きます。

5月12日(火曜日) 曇り

午前8時30分 気温17.8℃

華も液も匂いも良い状態。

1分染 きれいな濃い青。

午後4時 気温19.0℃

朝からずっとよい状態。

pH11.0 液温18.4℃

※今晩、台風が来るということなので、ポリバケツを実習室に避難することにしました。

5月13日(水曜日) 晴れ 風が強く暑い日

午前8時30分 気温24.8℃

とても良い状態。

1分染 少し昨日よりくすんだ青。

午後4時 気温27.6℃

朝と変わらず良い状態。

pH11.0 液温24.2℃

※pH11.0が2回続いたので、石灰を大さじ1杯入れます。

これでpHも落ち着いて、藍も良い状態なので、いつでも染めることができます。

5月23日(土曜日) 晴れ

午前8時30分 気温21.3℃

良い状態。

1分染 きれいな濃い青。

今年、初めてハンカチ1枚を染めてみました。
2分、2分、1分30秒の3回。とてもよく染まりました。
本当は、5月14日くらいから染めることができたのですが、忙しくて今日になってしましました。

ハンカチの画像
今年はじめて、ポリバケツの藍で染めたハンカチ。よく染まりました。

午後4時 気温27.4℃

朝とかわらず良い状態。

pH11.1 液温23.2℃

※今年の5月は暑い日が多く、2年目の藍を復活させるのには、とても良い気象条件のよい春でした。

昨年7月8日に藍建をして、はじめてハンカチを染めたのは7月30日です。
はじめて藍建をする年は、1ヶ月近く藍が建つまで気が抜けなくて管理が大変です。でも、7月から10月までの3ヶ月間いろいろ染めた後、11月から4月までの冬の間は、攪拌(かくはん)も何もしないで冬眠させて、暖かくなった5月に復活させて、5月中に染めることができるのです。染められる期間も5月中旬から10月中旬までの6ケ月近くも染められます。2年目は藍建もないので、とても楽です。

家庭でもできる、すくも藍と木灰を使ったポリバケツで藍建してみませんか?

5月29日(金曜日) 晴れ

今年はじめてTシャツを染めました。

3分、3分、3分の3回。とてもよく染まりました。

染めたTシャツの写真

7月18日(土曜日) 雨

手ぬぐい(長さ1m)を2枚。菊花絞りで染めました。

  • 1枚目 2分、2分、3分の3回
  • 2枚目 2分、2分、3分の3回

1枚目の手ぬぐいの3回目に染めた水色がすごくきれいな水色だったので、2枚目を染めてしまったら、2枚目の2回目の2分からすごくうすい色になってしまった。1枚にしておけばよかった。

夕方かくはんしたら、華が緑味のくすんだ紺色で、液もくすんで元気がないので、酒100cc入れてなおす。

※今年は忙しくて、ハンカチ1枚、Tシャツ1枚、手ぬぐいしか染めることができなかった。とても良い状態だったので、もったいないことをしてしまった。まだ藍の菌も元気だし、青い色素もいっぱいあるので、もう一年、2回の冬眠をさせることにする。

※注意事項

冬眠前はもったいないからと、ギリギリまでいっぱい染めないで、まだ、液温が23℃くらいある時に藍を良い状態になおしてあげて、冬眠にそなえたほうが、来春、元気に復活すると思います。

12月2日(水曜日) くもり

午前8時30分 気温6℃

華が黒っぽく小さい。液も黒くよどんでいる。匂いはしない。

1分染 染めていて液がすごく冷たい。うすーいかすかに水色。

午後4時 気温11.5℃

かくはんしても華は緑色、液も黒い。攪拌(かくはん)しても匂わない。冬眠させる。

公開実験「ポリバケツの藍建」終了のお知らせ

2014年(平成26年)7月に「ポリバケツの藍建」の公開実験をはじめ、2015年(平成27年)12月まで、その経過をホームページに掲載させていただきました。

すくもを使った本格的な藍染は、各家庭で行うことは難しいといわれていますが、身近にあるポリバケツを利用して行うことで、藍染を親しむ方々が比較的簡単に家庭でも藍染ができるようにと公開実験を行ってきました。

繊細な藍の状況を理解いただくために、その日の天気や液温、匂い、華や液の色、pH値などの藍を維持管理するために必要なデータをできる限り細かに紹介させていただきました。そして、天候や気温によって藍の状況が日ごとに変わることや、藍の管理の仕方なども理解いただけたのではないでしょうか。

また、ポリバケツを使った藍染は、自然の環境を利用していることから、5月中旬から9月ごろの藍の液温が高くなる時期に限られます。しかし、自分で建てた藍を使って藍染ができることは大変興味深いことです。実際に体験することで、古くから行われてきた藍染の本当の素晴らしさや奥深さをさらに理解することができると思います。

公開実験「ポリバケツの藍建」の紹介はこれで終了させていただきますが、掲載した内容のほか、実際にポリバケツの藍建を試みたい方などが疑問と感じたことなどがありましたら、お問い合わせください。

興味のある方は、ぜひチャレンジしていただき、藍染をさらに楽しんでいただければ幸いです。

高崎市染料植物園