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第4回たかさき都市景観賞
高崎市都市景観条例に基づき、第4回たかさき都市景観賞の募集をしておりましたが、8作品が受賞となりました。
「高崎のまち、歩いて楽しいまち、心に残るところ」として、隣接地やまちなみとの連続性に配慮しているもの、道路等の公共空間と調和するように配慮しているもの、自然風景に調和しているもの、地域のシンボルとなっているものなどを募集しました。
応募期間は平成10年8月25日から10月20日まででしたが、市民の皆さんのご協力により124件と、多数の応募をいただきました。
応募作品を高崎市都市景観表彰選考委員会(座長 山田富二氏)で選考し、これを高崎市都市景観審議会に諮り、8点の作品を決定しました。受賞作品は次のとおりです。
- 刀屋:宮元町36
- 学校法人高井学園 みどり幼稚園:下佐野町735
- さやもーる:鞘町
- 上毛新聞社 高崎支社:問屋町2-3-6
- 高崎市美術館 南公民館:八島町110-27
- 萩原団地:萩原町
- 山田商店(旧漆工所):本町58
- ラジオ高崎:八島町3-3
刀屋
所在地
宮元町36
所有者
塚越 旭
設計者
(株)石井デザイン事務所
施工者
信沢工業(株)
選考理由
瓦屋根と軒天まで塗り込めた白漆喰の外壁が特徴的で、こぢんまりとしたなかに、職人町として栄えた江戸時代をよみがえらせる空間である。
下屋にかかげられている「刀屋」の篆刻調の看板やのれんが、当時の面影を演出し、地域の個性を引き出している。隣には風格のある蔵があり、建物の建設に当たって地域の雰囲気づくりに貢献しようとする心意気が伝わってくる。
学校法人高井学園 みどり幼稚園
所在地
下佐野町735
所有者
学校法人高井学園
設計者
(有)創設計
施工者
昭和建業(株)藤田エンジニアリング(株)
選考理由
田園の中に美しさを求めたこの建物は、穏やかなシルエットを感じさせ、自然風景と調和している。
広々とした園庭にはシンボルとなる楠を中心に、外周に植えられたハナミズキが、春になると紅白はなやかに咲き乱れている。
細かな部分について気遣いがなされ、環境など、周囲に対する思いやりが感じられる。
緑の多い環境の中で、自然と周囲に溶け込むような開放感を与え、道行く人々にも園児の楽しそうな姿が心を和ませてくれる。
さやもーる
所在地
鞘町地内
所有者
(振)高崎中部名店街
設計・施行者
前田道路(株)井上工業(株)共同企業体+(株)石匠苑 サッソ事業部
選考理由
高崎の代表的な商店街であり、人間の大きさに合うスケールで、人々を暖かく包み込む空間である。
全体には河の流れをイメージし、車道はゆるやかなウェーブをもたせた青海波模様の石畳で、両側に植えられたハナミズキや街路灯にさげられた花々、ベンチなどが調和している。
特に高崎祭りやえびす講には多くの人々でにぎわい、また年末年始のイルミネーションは一層はなやかさを増し、人と人とのふれあいの場を提供している。
商店街として街を美しくしていこうという心意気が感じられ、六方石の車止めに刻まれた村上鬼城の句を読みながらのんびり散策したくなる通りである。
上毛新聞社 高崎支社
所在地
問屋町2-3-6
所有者
(株)上毛新聞TRサービス
設計者
SKM設計計画事務所
施工者
井上工業(株)
選考理由
全国初めての卸団地として30年ほど前にできた問屋町、その一角にあるこの建物は、西と北の2面の道路に面して豊かな表情を持つ建物である。
木造の温もりを生かした下見板張りの外壁が、昔懐かしい風情を演出しており、暖かな雰囲気と心地よさを感じさせる。
道行く人々は、緑化された小広場や街路樹と調和した事務所風景、アトリエなどを楽しめるようになっていて、人々の目線をやさしく包む街角を提供している。
高崎市美術館 南公民館
所在地
八島町110-27
所有者
高崎市
設計者
高崎市建築住宅課+(協)群馬県建築設計センター
施工者
井上工業神宮工業 建設共同企業体
選考理由
コンクリート打ち放しの建物に、アルミパンチングメタルのパネルや正方形の窓などの多様な形態を使用し、街角を大きく演出している。
美術館の入口には原色の垂れ幕がコンクリートに見事にマッチし、様々な表情を見せてくれる。
歩道からも美術館の中をみることができ、建物内外を一体化してできた広場的空間と、吹き抜けの大きなガラス面から漏れる光が、夜の街角にうるおいを与えている。
高崎駅西口のランドマークとしての役割を担っている。
萩原団地
所在地
萩原町地内
所有者
萩原団地町内会
設計者
群馬県住宅供給公社
選考理由
この団地はゆったりとした敷地をもつ住宅団地で、すべての住宅がベニカナメモチの生垣で統一されており、深紅の美しさは、住宅地としての心地良さが伝わってくる。
建物や垣、門などのつくり方にルールを決めており、団地住民がまとまって大きなまちづくりを行っている様子が感じられ、緑とうるおいのある良好な住環境を創り出している。
休日にはそれぞれの庭先で庭木の手入れや家庭菜園などを楽しむ姿が見られ、心温まる団地である。
山田商店(旧漆工所)
所在地
本町58
所有者
山田泰市
選考理由
この建物は明治時代に欅、檜材を使用し、拭き漆塗りにより造られた平入りの店蔵で、歴史的にも貴重な建物である。周囲に残る当時の建物の中では、最も手入れの行き届いたもので、当主の愛着が感じられる。
19世紀末から20世紀を経て風雪に耐えてきたその佇まいは、高崎の昔日の繁栄と、当時の商人の心意気を伝えてくれる。
ふと足を止めてこの建物の前に立ってみると、力強さと暖かさを感じ、思わず写真を撮りたくなる風情が感じられる。
ラジオ高崎
所在地
八島町3-3
所有者
井上工業(株)
設計者
(株)CAD計画研究所
施工者
井上工業(株)
選考理由
建物は前面道路よりセットバックしており、その部分と歩道とが一体となって広場をつくっている。
この広場は待合いの場やイベントに使われ、街角の憩いのスポットとして親しまれている。
クリスマスの時期にはトナカイのオブジェがライトアップされ、一層にぎわいを演出している。
また、建物の外観はモダンな素材の組み合わせが印象的で、スタジオは額縁のある大きなガラス窓の中にあり、夜はライトで浮き上がった動画をみているようで楽しい。
情報発信基地として、人々の交流の拠点、にぎわいの中心として育っていくことが期待される。