道祖神
美しい緑の山河に囲まれた安らぎのふるさと「倉渕町」は、ほほえましい愛の神、「道祖神」のふるさとでもあります。
倉渕町には、77ヵ所、114体の道祖神がありますが、その特色と言えば、その信仰の源流の多さと古さ、また、愛の神々の形式の多様さと双体像の姿の変化のユニークさ、一つの地区としてはその数の多さ、更には、道祖神祭りに伴う民俗の多彩さにあり、一口で特色を述べることは難しいです。
享保(1716年)をピークに、その前後に造立された道祖神には、人間臭さが漂い始め、男神像の伸びた手が、女神像の胸や股間に触れていたり、寛保(1741年)から宝暦(1751年)にかけてのものには、ほほえましい姿のものがあります。このように、双体道祖神が多いのは、この地区の特色の一つかもしれません。
倉渕の里は、遠く鎌倉時代から「街道の村」として栄えてきました。よその人々が多く通過することは、よいことをもたらす反面、また、もろもろの災いが入ってくるという危惧もあったと思われます。そこに、「塞の神」として、村人がくらしの安泰を願うとともに、旅人の行路の安全を願う心が、たくさんの道祖神をもたらしたのではないでしょうか。