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自然を染める キハダ

ページID:0004124 更新日:2024年2月15日更新 印刷ページ表示

キハダの写真

キハダ

高さ20メートルくらいに成長する落葉高木で、雄株と雌株がある。葉は長さ20~40センチの奇数羽状複葉で対生する。山地に自生し、5~7月には枝先に黄緑色の小さな花をたくさん咲かせ、秋には直径1センチほどの実が黒く熟す。幹の内皮は鮮やかな黄色(写真内右下)。

説明

キハダの幹の外皮は厚いコルク質ですが、内皮は鮮やかな黄色をしていて、これが「キハダ=黄膚」の名前の由来です。この内皮をかんでみると少しぬめりがあり、とても苦く感じます。外側のコルク層を除いて内皮を乾燥させた物は、黄柏(おうばく)と呼ばれ、古くから薬として、また黄色を染める重要な染料として使われてきました。

キハダの染め物には防虫効果があるため、長く保存する必要がある大事な文書、例えば経文や戸籍帳、帳簿などに使う紙も染められました。「正倉院文書」などの文献には、正倉院に残されている黄色い染紙の多くは「キハダで染められた」とあります。平安時代に編さんされた「延喜式(えんぎしき)」には、アイにキハダを染め重ねて「中緑(なかのみどり)」「浅緑(あさきみどり)」「青緑」「青浅緑」などの色を染めたことが記されています。

キハダは薬用としても用いられ、奈良県や和歌山県などで作られている健胃整腸薬「陀羅尼助(だらにすけ)」は、キハダをせんじて煮詰めたエキスを主成分としています。苦い薬で、僧侶が陀羅尼経を唱えるときに、眠気覚ましに口に含んだことから陀羅尼助と名付けられました。

浅緑
アイとキハダを重ね染めた浅緑

黄檗
絹をキハダで染めた黄色