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染料植物園歳時記(平成28年度)
子どもワークショップ「草木染で給食袋を染めよう」 2017年3月26日
3月26日(日曜日)、子どもたちが小学校で使う給食袋を草木染で染める染色講習会を開催しました。
染料はアカネ。アルミ媒染と鉄媒染の2つを用意して、子どもたちの好みの色に仕上げてもらいました。大変よい色に染まっていました。
それぞれ自分で染めた給食袋ですので大切に使ってくれると思います。
藍染体験 ストールを染める 2017年3月25日
藍染でストールを染める染色講習会が3月25日(土曜日)の午前と午後の2回開催しました。
初心者向けの講習会で、シルクコットンのストールを藍の段染めで染めるものです。
染めないところはビニール袋で覆ってから、藍で染めて、流水で酸化を繰り返しました。
できあがりは写真のとおり。藍と白のコントラストが映えるストールに染まりました。
藍がめで染色
流水で酸化
みどりのともだちを作ろう 苔玉づくり 2017年3月18日
3月18日の土曜日、「みどりのともだちを作ろう」をテーマに苔玉づくりの講習会が、午前と午後の2回開かれました。
用意した材料は、土や砂、肥料などと苔。最初に泥だんごを作って、その中に植物の根を包み、その上に苔をつけて糸で巻いて仕上げました。
用意した植物はすべて染料植物園内で採取したもの。センダンやミツマタ、カエデ、チャノキ、サンショウ、クスノキ、ヤブコウジなどの小さな実生の苗を昨年の秋に用意したものです。
最後に目玉などをデコレーションをして、植物の名札を付けて、とてもかわいい苔玉ができあがりました。短い時間でしたが、子どもから大人まで苔玉づくりを楽しんでいただけたようです。
イモリとアカガエルを確保 2017年2月3日
アカガエル
イモリ
染料植物園では、環境の保全ため排出する水をろ過する沈殿槽があり、定期的に清掃をしていまます。この沈殿槽は屋外にあるためカエルなどが侵入しているので、必ず捕まえてから清掃を始めることになります。
今回も、アカガエルとイモリの侵入があり捕まえました。カエルとイモリは別に用意した大きな水がめに移ってもらました。カエルはヤマアカガエルと思います。
福寿草が咲きはじめました、見ごろは2月になってから 2017年1月22日
この時期の植物園に咲く花はフクジュソウ(福寿草)です。今年は1月中旬から少しずつ咲き始めました。見ごろは2月になってからでしょうか。
フクジュソウの特徴としては、太陽の光が当たると花が開いて、陰ると閉じる性質があります。植物園の東斜面に花があるので、晴れた日の午前中から昼ごろにご来園いただくと、鮮やかに開いた黄色い花を見ることができます。
園内には約1,000株があります。花は3月中まで楽しめますので、晴れた静かな日にご来園いただき散策していただくのがよいでしょう。
また、ロウバイやカンツバキ、サザンカなどもありますので、お楽しみください。
雪景色 2017年1月20日
最も寒い時期といわれる大寒の1月20日、植物園に雪が降りました。降雪の時間は短かったので積もるまではいきませんでしたが、雪景色が楽しめる植物園になりました。
植物園は標高約200mで、高崎市街地より100mほど高いため、市街地がみぞれのときは、植物園は雪になることが多いようです。
子どもワークショップ「門松を作ろう」 2016年12月24日
12月24日(土曜日)、今年最後の講習会、子どもワークショップ「門松を作ろう」を行いました。
子ども達は、竹を切るのに少し苦労したようですが、写真のように、大変素晴らしい門松ができあがりました。
全体の色合いも竹や松の緑、ナンテンの赤、ロウバイの黄でお正月を彩る華やかさとともに、手作りの雰囲気も感じられて、それが良いアクセントとなっています。
今回行った「門松作り」は、植物園ではじめての試み。竹や松、ナンテンやロウバイなどの材料は、園内で採取したものもありますが、職員の持つネットワークで用意しました。
参加された皆さんには楽しんでいただけたようです。きっと良いお正月を迎えられるのではないでしょうか。
大きな竹を切るのは大人でも大変です
門松を飾るナンテンやロウバイ
技法講習会「菊池周子の草木による和紙夾纈染」 2016年12月18日
年の瀬となった12月18日日曜日、技法講習会「菊池周子(かねこ)の草木による和紙夾纈染(きょうけつぞめ)」を開きました。
今回の講習会は、和紙を三角に小さくたたんで角々を染めて広げると万華鏡のように花柄がならび、和紙の毛細管現象によって美しさを創り出します。そんな和紙による草木染です。
夾纈染について簡単に説明すると、むかし三纈(蝋纈:ろうけつ、纐纈:こうけつ、夾纈:きょうけつ)の一つとしてあった染物でしたが、技法が途絶えてしまい、大正の頃から、和紙を板では挟んで染めることに、この夾纈の名を使ったようです。古くは正倉院の染物にも夾纈染の技法を使った染物があるようです。
今回用意した草木染料は、シブキ(ヤマモモの木の皮)、スオウ、蘇芳、ログウッド、アカネ、キハダ、クリの6種。だいぶ濃く煮詰めてあります。そして、媒染はアルミと銅、鉄の3種を用意しました。
小さく三角にたたんだ和紙を草木染料で染めて、その和紙を広げて媒染剤を刷毛で塗りました。アルミ媒染は明るい色合いに。鉄媒染は少し暗い感じの落ち着いた色合いに。銅媒染は、アルミと鉄の媒染の中間的な色合いです。そして、和紙を布のように使える方法も学びました。
6種の草木染料と3種の媒染の組み合わせで、万華鏡のような模様や色合いはさまざま。下の写真のように講習生が初めて作った作品も深い味わいがあります。
来年4月にも和紙の夾纈染の講習会を予定していますので、興味のある方はぜひご参加ください。
アルミ媒染では明るい雰囲気に
鉄媒染は落ち着いた感じに
小さな三角形に和紙を折り、それを指で押さえて染色液に付けます。それぞれ三角形の角に染色液を付けて広げると万華鏡のような模様が広がります。使う染色液や液の付け方で模様はさまざまに変わります。
和紙夾纈染の工芸品。
左の写真は、講師に用意いただいた和紙夾纈染で制作した作品の数々。
和紙にこんにゃく糊を塗り、そして揉んで強くして、接着芯を付けることで布のように扱えるようになります。
落ち着いた色合いの作品ですね。草木染の優しい雰囲気もありますね。
技法講習会「草木染 ウールの絣糸を染める」 2016年12月10日
植物園で行っている糸染めの講習会は、ウールのほか絹や綿の糸を使って草木染や藍染を行っています。素材となる糸によって取り扱いや染色の仕方もさまざま。媒染でも色合いが違ってくるので、それが講習会の魅力になっているようです。
今回は、ウールの紡毛糸を使って、染料はガンビアカテキュー。媒染は鉄媒染で染めました。
ガンビアカテキューは、マレーシアで栽培されるアカネ科の小木で、枝葉や果実を煎じて固めたもののようです。
講習では、はじめにウール紡毛糸を精練しました。その後スズランテープで絣のくくりをしてから染色。仕上げで鉄の後媒染を行って淡い黒褐色に染めました。
下の写真でも染色した糸の媒染前と後で色が違っているのがよく分かります。絣のくくりをした部分も白く抜けています。できあがった糸を乾かすと見本のような少し明るい色合いになります。
落ち着いた淡い色合いが草木染らしくていいですね。
染色後の染め糸(媒染前)
鉄媒染で黒褐色になった染め糸
ガンビアカテキューでの染色中の糸
講師が用意した染め糸とマフラーの見本
収蔵品展「草木染の美・冬」がはじまりました 2016年12月6日
11月末に企画展「殿の身なり 江戸の男子のファッション事情」が終了し、12月1日から収蔵品展「草木染の美・冬」がはじまりました。
古くからの草木染の歴史がわかる収蔵品展で、冠位制度の服色や延喜式などの歴史や資料を見られますが、そのほかにも冬にちなんだ草木染の資料などを展示しています。
主な展示は下記のとおりですが、詳しくは展示情報「現在の展示」のコーナーをご覧ください。
これから寒くなる季節ですが、植物園では収蔵品展のほかにも、温かく休める休憩室や温室などもありますので、風の少ない小春日和には、豊かな自然を感じられる観音山丘陵をぜひ見ていただきたいと思います。春や秋とはまた違った自然を感じることができるでしょう。
筒描壁掛け「桐に鳳凰」 浜完治 藍染
型染着物 「雪椿」(左)と「つらつら椿」(右) 山崎青樹
草木和紙夾纈染「あじさい」 菊池周子
子どもワークショップ「藍染で干支の絵馬ハンカチを作ろう」 2016年12月4日
年末恒例の植物園の講習会「藍染めで干支の絵馬ハンカチを作ろう」が、12月4日に開かれ、型染のかわいい絵馬ができました。
参加した皆さんは、図案化された6種類から好みの型紙を選んでいただき、その型紙を使って白いハンカチに糊置きしてから、藍で染めました。
染めたハンカチを水洗いして糊を落として乾かしているのが右の写真です。乾いたハンカチにアイロンをかけて、袋にいれて鈴の付いた草木染の糸をつけて出来上がりました。
出来上がった絵馬ハンカチは、ご家庭の正月飾りとして、新春の雰囲気を一層高めてくれるのではないでしょうか。
毎年行っている講習のため、もうすぐ十二支がそろいますという参加者もいました。
木綿のハンカチに糊置きをしています。
糊置きしたハンカチを乾かします。
(左写真)ハンカチに伸子を付けて、藍で染めます。
温室のリュウキュウアイが咲きました 2016年12月1日
植物園の温室のリュウキュウアイに淡い紅紫色の花が咲きはじめました。
沖縄地域では、夏に開花するようですが、植物園の温室ではこの時期のようで、昨年も11月末に開花しました。夏の温室は凄く暑くなりますが、今は夜ボイラーを炊いて室温が15度以下にならないようにしています。昼は太陽により暖かくなります。今の温室の雰囲気が沖縄地域のリュウキュウアイの咲く時期に似ているのかもしれませんね。
植物園の温室は、沖縄や石垣島などの亜熱帯地域の染料植物があります。今年沖縄からのお客さんが自宅の庭や近所に生えている植物が多くあると話していました。
ご来園の際にはぜひ温室もご覧ください。
技法講習会「紫根染」 2016年11月27日
草木染を趣味にしている人が一度はしてみたい草木染に「紫根染」があります。11月27日(日曜日)に紫根染で袱紗(ふくさ)を染める講習会を行いました。
染料植物園でもムラサキを育てていますが、花は見られますが、染色に使えるような根にはなりません。絶滅危惧種であり自生したところをほとんど見ることができないなど、育てるのも難しいといえます。
今回使うムラサキの根は、本当に大きな根です。このムラサキの根に酢とお湯を入れて手でもみだして染料液を取り出しました。大変な力仕事です。同様に何回かもみ出して染料を抽出しました。そして、媒染はアルミナ成分の多い椿灰汁を用意しました。
染色は染料液で浸し染めをして、椿灰汁で媒染をして、さらに染料液で浸し染め、媒染を繰り返して染めます。そして、最初に染料液から媒染の灰汁に入れると、色が変わるのは少し驚きます。
上の写真を見ると二種類の紫色に染まりましたが、Ph(ペーハー)を少し変えるとことで紫色の色味が変わりました。
本当に濃い紫色に染めるには、何度も繰り返して染める必要がありますが、限られた時間の講習会ではここまでの紫色に染まりました。
10月には、蘇芳を使って似紫(にせむらさき)の講習会も行いましたが、染料液の染色の仕方もまったく違っているので、両方の講習を体験した人もいて興味深い講習会となったのではないでしょうか。
ムラサキの根(紫根)
大変太いムラサキの根です。植物園のムラサキと比べるとどれだけ大きなムラサキだろうと思ってしまいます。
ムラサキの染料液のもみ出し
ムラサキに酢とお湯を入れて紫根をもみ出して、染料液とします。力を入れてもみ出すのは大変な作業です。
浸し染め
紫根からとった染料液で袱紗を浸し染めします。
椿灰汁の媒染
椿灰からとった灰汁で媒染をしました。
浸し染めをした袱紗を媒染すると、色が変わりました。少し驚きますね。
藍の刈り取り 2016年11月2日
11月2日、花壇や畑にある藍の種の収穫をしました。
今年の藍は、よく育ち夏休みの「藍の生葉染体験」の講習会でも多くの人が参加しても十分に足りていました。
そんな藍が8月末から9月にかけて花が咲き、たくさんの種ができました。収穫した種はよく乾燥させて来年3月の種まきまで保管します。
2月には、染料植物園へ来園いただいた方に無料で配布します。お楽しみに。
蝶を見ました「ルリタテハ」 2016年11月1日
11月1日(火曜日)の昼ごろ、ルリタテハを発見。私ははじめてみましたが、職員の中にはときどき見かけている人もいるようです。成虫で冬越えするので、寒くなっても見る機会がありそうです。園内で蝶を見ることがはよくあります。オオムラサキも今年は2回ほど見ることができました。アサギマダラも園内で確認しています。
しかし、いつも撮影の準備をしているわけではないので、写真撮影はなかなか難しいのが現状です。飛んでいる虫たちは特に難しいですね。
「行こう 里山たんけん 紅葉の観音山を歩く」 2016年10月30日
秋晴れに恵まれた10月30日の日曜日、里山たんけんが行われました。里山たんけんは、観音山丘陵を歩いて、秋の丘陵にある木や実などを見て、葉っぱのこと、虫のことなど、普段気付かない里山の姿や植物の姿を観察して、自然の中で興味深い木々や虫などの話しを聞く観察会です。
今回は、シロダモやガマズミ、ムクノキ、エノキの実を食べたり、葉っぱの匂いを感じたりと、秋の自然を満喫しました。
子どもたちには、棒の先に毛糸が付いた「ひっつき棒」を持ってもらい、この棒で草むらの付きやすい種を採取してもらい、最後に色々な種類の付きやすい種を観察しました。また、オオナモミの種子をルーペで見て、かぎ爪型の種子の触覚を観察しました。
参加者は、普段は気付かない植物の多くのことを知ることができたようです。
道路沿いの植物を観察する
ひっつき棒の種を確認
技法講習会「藍染・ろう染 土曜コース」 2016年10月29日
藍のろう染の3回コースが終了し、作品の講評が行われました。
今回は小さな布は木綿、大きなものは麻リンネの布です。布の性質の違いで染め上がりの感じが違うようです。布の性質やろうの状態や、使い方によって技術的な難しさもあるようです。
しかし、初めて参加した人や何度か経験している人もいましたが、難しいけれども面白いという意見もあり、どの作品も個性的なよい作品に仕上がっていました。
「藍の印染」 2016年10月23日
10月23日の日曜日、「藍の印染」の講習会を開催しました。
印染は、お店の暖簾(のれん)やお祭りの半纏(はんてん)、旗、幟(のぼり)などで使われている技法です。講師は市内で染物店を営む現役の職人さん。江戸時代から続く染物店の6代目です。今回初めて講習会の講師をお願いして開催することができました。
講習では、布を伸子(しんし)を付けて強く引き、下図を描いてから糊で筒引きをしました。細かな砂を載せて裏面に霧を噴いてから屋外で干して乾かしました。当日は秋晴れに恵まれ、お昼休みにしっかり乾かせたのでよかったです。
午後は藍染を行い、水洗いをして糊を落とすと、出来上がりは写真のとおりです。額に入れればお正月の飾りになるような作品もありました。
講習会には、染物店に昔から伝わる古い本や道具などもお持ちいただきました。大正時代の祭り半纏や文字が載る見本帳の資料などは大変興味深いものでした。
伸子の付いた布に下図を描く
糊の筒引き作業
4回行った藍がめでの染色
水洗いで糊を落とす
企画展関連講習会「似紫を染める」 2016年10月16日
今行っている企画展は「殿の身なり 江戸の男子のファッション事情」。そして、そんな江戸時代に行われていた「似紫(にせむらさき)」の染色を行いました。
江戸時代になるとムラサキの根で染めた紫根染の「本紫」は上層社会の人のもので、庶民はもっぱら蘇芳染の紫、または藍下で蘇芳染の紫が使われるようになったようです。
そして、今回の講習会では「蘇芳染の紫」で袱紗(ふくさ)を染めました。
まず、蘇芳を煮出して染料を抽出します。抽出した染料液で浸し染めをして、おはぐろ媒染をします。加熱した染料液で浸し染めをして、アルカリ媒染をして紫に染めました。水洗いをして天日干しをして、きれいな紫色に染まりました。
また、11月27日(日曜日)、特別講習会で「紫根染」を予定しています。ただいま募集していますので、興味のある人は「講習会情報」をご覧いただき、お申し込みください。
1.蘇芳の染料液で浸し染め。黄色に染まりす
蘇芳を煮出して抽出した染料液で、浸し染めをします。
袱紗はきれいな黄色に染まりました。
2.おはぐろ媒染
1の蘇芳の染料液で染めた袱紗をおはぐろ媒染しました。
袱紗の色は、媒染によって大きく変わりました。
3.もう一度、浸し染め
1で染めた蘇芳の染料液をもう一度温めて、2回目の浸し染めをしました。
4.アルカリ媒染で紫色に
アルカリ媒染液に入れた瞬間です。紫色が出ているのが分かりますか。
媒染をした後で、水洗いをして天日干しをしたものが最初の写真です。
企画展「殿の身なり 江戸の男子のファッション事情」が始まる
10月8日(土曜日)から、秋の企画展「殿の身なり 江戸の男子のファッション事情」がはじまりました。
今回の企画展のテーマは江戸時代の男子ファッション。お殿様や大名などが実際に着用した装束などを展示しました。
主な展示品は「鎧(よろい)」のほか、「直垂(ひたたれ)」「裃(かみしも)」「熨斗目(のしめ)」「陣羽織」「火事装束」などです。
華やかな女性の着物の展示とは少し違い、鎧や陣羽織などの展示からは、江戸時代の染織や服飾文化が感じられる緊張感のある展示になったようです。
ほとんどの衣装には、自己の存在を示す家紋が大きく付けられ、家紋が人々を判別するための存在であったことがよく分かります。
そのほか、当時の生活文化の分かる「印籠」や「煙管と煙草入」などを展示し、江戸の男子のファッション事情を紹介しています。
企画展は、11月27日(日曜日)まで開催しています。
鎧(よろい)と陣羽織
鮮やかな陣羽織
半纏や火事装束
直垂(ひたたれ)など
わたの実が開きました 2016年10月5日
春に花壇に種をまいたわた(和綿)が実を付けました。
白い花が咲いてから、随分時間がかかりましたが、下の方のわたの実がやっと開きはじめました。
わたの実は、なかなか見ることができないので、植物園にお越しの際は、ぜひご覧ください。白い小さな実を見ることができます。染織工芸館前の花壇にあります。
秋も深まれば上の方の実も開いてくると思いますので、しばらく楽しめるのではないでしょうか。
特別講習会「ブルガリアの天然染色」 2016年10月2日
10月2日(日曜日)、「ブルガリアの天然染色」の講習会を行いました。今回はブルガリアの女性をはじめ、羊飼いの男性も好んで用いた肩掛けかばん「トルビチュカ」を作る講習会です。
染色はトチノキを利用し、毛糸の白糸と無媒染染め、鉄媒染染めの3色を使って、小さいトルビチュカができあがります。
先生が持参したトルビチュカの見本は、いろいろな色のものがありますが、今回は無媒染と鉄媒染を組み合わせた赤茶系の落ち着いた色合いに仕上がりました。
袋の脇と口を縫って仕上げて、編み上げた肩掛け用紐を袋の両端に留めればできあがります。
先生が用意したトルビチュカの見本
トチノキ無媒染で染めた毛糸
トチノキの鉄媒染による染色
染めた糸と羊毛布でトルビチュカを仕上げる
高崎観音だるまマーチでたくさんの来園者 2016年10月2日
10月1・2日、高崎観音だるまマーチが市役所を起点に開かれ、2日目のコースに染料植物園があることから、参加した多くの人が来園いただきました。
染料植物園には、参加者を迎えるブースがあり、飲み物や食べ物などが振舞われていました。
そして、参加者は観覧も無料になったため、入館して展示室をご覧なった方も多くいました。
当日は、天気にも恵まれ、秋の感じられる一日となり、屋外イベントには気持ちよい日となりました。
染料植物園のあるコースは、観音山ファミリーパークや染料植物園、白衣大観音などがあり、観音山丘陵の自然を感じられる約14キロのコースで、このコースの一部は「美しい日本の歩きたくなるみち500選」に選ばれているようです。
技法講習会「草木染・絹の絣糸を染める」 2016年9月9日
9月9日、技法講習会「草木染・絹の絣糸を染める」が開かれました。
糸染めの講習会は、6月に草木染でウール、7月には藍染で木綿の絣糸を染める講習会を開いていますが、糸の素材や性質によって染め方や取り扱いが異なることや、染色材や媒染でも違った取り扱いが必要になるところが、面白く奥深いところはないでしょうか。
今回は、五倍子の鉄媒染で紫味の灰色に絹糸を染め、落ち着いた色合いに仕上がりました。
糸染めの講習会は、毎回、染められる量は限られるため、ぜひご家庭で楽しみながら糸染めをしていただき、その糸を使ってオリジナル作品を作っていただければと思っています。ぜひチャレンジしてほしいものです。
五倍子を使い鉄媒染で染めた絹糸とサンプル
雨に誘われてデンデンムシ 2016年9月8日
台風13号が接近した9月8日、園内で大きなカタツムリをみつけました。
久しぶりに見る大きなカタツムリです。雨の中を気持ち良さそうに動いていました。たぶん森の中から雨に誘われて出てきたのではないでしょうか。
これからの染料植物園は、ますます秋を感じられる季節になってきます。秋空の下で観音山丘陵の自然の素晴らしさを体感できるようになります。
暑さの残る今はセミが鳴いていますが、これから涼しくなると虫たちも鳴き始めます。天気のよい日にご来園いただければ、楽しい憩いの時間を過ごすことができると思います。
今年はじめての「藍の生葉染体験」 2016年8月3日
8月3日、今年初めての藍の生葉染体験を午前と午後の2回行いました。
3月中旬に種まきをして、5月に花壇や畑に移植しました。大きく育ったタデアイの葉を使って行う藍の生葉染は、夏のこの時期限定の染色体験です。
藍の葉を採取して、ジュースを作って染められた絹のストールやスカーフは夏空のような鮮やかな水色に染まります。
特に今年の藍はよい状態で育ち、当日の天気もよかったので、いつもよりもよい水色に染まったようです。
藍の生葉染体験は、8月中の水曜日と日曜日に行います。まだ申し込みを受け付けておりますので、夏休みの家族イベントなどで利用してはいかがでしょうか。小さな子どもから大人まで楽しめます。
詳しくは、当ホームページの染色体験のページをご覧ください。(8月末で藍の生葉染体験は終了しました)
特別講習会「草木顔料を作る」 2016年7月17日
7月17日(日曜日)、特別講習会「草木顔料を作る」を開催しました。
草木顔料は、染料植物から草木の顔料を抽出して作るものです。水彩絵の具などとは違った落ち着いた色合いが魅力でしょうか。
今回の講習会では、アカネ、コチニール、エンジュ、阿仙薬、藍の5種の草木顔料を作ったほか、渋紙に型を彫り、和紙と麻に摺り染めを行いました。
講習の最後に、園内で栽培している藍の生葉を使った「タデアイの沈殿藍作り」を行いました。
受講者からは、草木染の染め終わった液を使って顔料作りをやってみたいなどの声がありました。
インドアカネから作った顔料
顔料による和紙に摺り染め
手前から、アカネ、エンジュ、コチニール、阿仙薬、藍の5種類の草木顔料
藍の生葉による沈殿藍作り
自然観察会「葉の形をくらべよう」 2016年7月16日
今年度、3回目の自然観察会が7月16日(土曜日)に開かれ、「葉の形をくらべよう」をテーマに開かれました。
今回の自然観察会は、植物園の周囲に広がる丘陵の林内の遊歩道などを歩いて植物の観察をしました。葉の付き方や形、単葉や復葉、葉縁の形などの話を講師に聞きながら、実際の葉を観察して、手触り、匂いなどの五感を使っての観察会でした。
林の中では、丘陵内に見られる天然林の形成の仕方などの説明もあり、観音山丘陵の豊かな自然や植生を確認することのできた自然観察会となりました。
葉中央に実が付くハナイカダ
エノキの葉の虫こぶ
染色体験 板じめ絞りでバンダナを染める 2016年7月10日
梅雨の晴れ間が広がる7月10日、「染色体験 板じめ絞りでバンダナを染める」の染色講習会が午前と午後の2回開かれました。
板じめ絞りは、輪ゴムや糸による絞り染めとは違って、直線的な模様が魅力な絞りではないでしょうか。
四角や三角にたたんだバンダナを板で挟んで、その板をクランプでしっかり締めて藍で染めました。
バンダナの折り方や板の絞る場所で、出来上がりの模様はさまざま。どのバンダナも藍色に白が際立つ作品にできあがりました。
サンプルと絞りに使う板とクランプ
できあがりが楽しみな時です
技法講習会「草木染・ウールの絣糸を染める」 2016年6月25日
梅雨空の6月25日、「草木染・ウールの絣糸を染める」講習会が開かれました。
今回の講習会では、染料はコガネバナ(黄金花)の根で、アルミ媒染をして、黄色に染めました。
左下の写真は、コガネバナで染めた糸で織ったマフラーのサンプルです。黄色のものがアルミ媒染で染めたもので、今回の講習会と同じ糸染めで制作したものです。オリーブ色のサンプルは、コガネバナの鉄媒染で染めたものです。それぞれ草木染らしい色合いに仕上がっています。
右下の写真は、植物園の花壇のコガネバナです。淡い紫色の花が見ごろを迎えています。
コガネバナで染色したマフラー
花壇に咲くコガネバナ
花壇の染料植物を紹介します 2016年6月23日
染料植物園では、毎年アイやベニバナなどを育てていますが、今年はさらに染料植物などの草本類を花壇に植えました。あまり見ることことができない植物もありますので、ご紹介します。
コウヤカミツレ(キク科) 多年草
英名はダイヤーズカモミールで地中海沿岸などに自生する常緑のハーブ。花から黄色の染料が採れ、草木染とは思えないほど鮮やかな黄色を発色する。
アカネ(アカネ科) 多年草
本州以南の山地や原野に多く見られ、葉は4枚葉で輪生し、茎は四角で細かい逆刺がある。もっとも古い赤色染料である。
ムツバアカネ(アカネ科) 多年草
別名は西洋茜。幼苗時4枚葉でいずれも6枚葉に輪生し、茎は四角で細かい逆刺がある。西アジアやヨーロッパで古くからの赤色染料である。
コガネバナ(シソ科) 多年草
薬用に栽培され、6月から9月に茎の先に唇形で紫色の華が穂状に咲く。薬用部分は根で、消炎、解熱剤、嘔吐、下痢などの諸症状を抑える目的で配合される。
ホソバタイセイ(アブラナ科) 二年草
別名はウォード。ヨーロッパでは古くから藍色の染料として用いられてきた。原料成分のインジカンは抗菌や抗炎症作用があり、薬草として民間薬や伝統医療等に利用されている。
オウレン(キクバオウレン)
(キンポウゲ科) 多年草
古代の記録に黄連で染めていることが記載されている。根茎をきざんで煮出し、鮮やかな黄色などに染める。
和綿(真岡木綿) アオイ科 一年草
江戸時代初期から栽培が定着した。和綿から紡いだ糸や布には独特の弾力と厚みがあり、湿潤な日本の気候にかなって、夏は湿気を吸い冬は空気を含んで暖かい。
アマ(フラックス アニュマル)
(アマ科) 一年草
寒い地方が栽培適地で、茎の繊維はリネン製品となる。通気性、吸湿性に優れて肌触りが良いことから高級な衣類などになる。
ウコン(ショウガ科) 多年草
これから芽がでてきます。
夏から秋にかけて花が咲き、秋ウコンとも呼ばれる。ウコンの英名はターメリック。香辛料としてカレーに使われるスパイスで知られている。防虫殺菌作用があることから、ウコンで綿布を染めて産着などとして重用された。
紅花が咲きました「半夏ひとつ咲き」 2016年6月16日
6月16日朝、畑で育てているベニバナが1輪咲きました。昨年の開花も6月16日の同じ日でした。
ベニバナの不思議な現象に、毎年決まった時期のベニバナ畑の一輪が咲き、その後少しずつ開花するといいます。その一輪の花が咲いたのが今朝でした。
夏至から11日目を「半夏生(はんげしょう)」といいます。ベニバナの産地である山形県では、半夏生のころにベニバナが咲き始めることから、ベニバナが一輪咲くこの現象を「半夏(はんげ)ひとつ咲き」といいます。
この時期はベニバナ畑を注意して見ていますが、毎年必ず1輪が咲いてから、他のベニバナが開花しています。
少しずつ花が咲いてきますので、花の見ごろは来週から6月末までの2週間ぐらいでしょうか。山形県のように7月上旬の「半夏生」のころは、見ごろは終わってしまうでしょう。
植物園のベニバナ畑は、園の一番奥にありますので、ご来園の際は、ぜひご覧ください。
子どもワークショップ「お父さんにバンダナを染めよう」 2016年6月5日
今年の父の日は、6月19日の日曜日。そんな父の日のプレゼントを作る「お父さんにバンダナを染めよう」が、6月5日(日曜日)に開かれました。
子どもたちは、簡単な絞りの藍染でお父さんへのメッセージが入ったバンダナ作りに一生懸命。きれいな藍染のバンダナができあがりました。きっとお父さんへのよいプレゼントとなるでしょう。
染料植物園では、「子どもワークショップ」として子ども向けの染色講習会やイベントなどを開催しています。8月の夏休みには、「藍の生葉染体験」を開催します。鮮やかな水色のスカーフなどの染色ができます。4~5歳の子どもたちから参加できますので、夏休みの思い出にいかがでしょうか。開催日時が決まっていますので、詳しくは染料植物園のトップページから「染色体験」のページをご覧ください。
ヒョウモンチョウとナナフシモドキ 2016年6月3日
園内にはいろいろな種類のチョウが飛んでいますが、ヒョウモンチョウを撮影することができました。ヒョウモンチョウは、はねの色と紋様がヒョウに似ているのでこの名が付いたといわれています。幼虫の食草はワレモコウなどです。
園内にある染料植物のワレモコウを食べて羽化したのではないでしょうか。幼虫で冬を越すことから、ワレモコウの枯葉の下で越冬したのかもしれません。
右の写真はのナナフシモドキです。小さいので今年生まれたようです。ナナフシは春から秋にかけて何度も園内で見ますので来園時に見ることができるかもしれませんね。
ナナフシモドキの不思議なところはオスが極めて稀で、ほとんど見ることができないそうです。そのため単為生殖を行うようです。
園内には、数多くの昆虫もいますので、探してみるのも面白いと思います。
技法講習会「草木染・色彩とデザイン」 2016年6月2日
「色彩とデザイン」の講習会名のとおり、植物の葉をデザインして、色彩は秋色のそれぞれ個性的な素晴らしいスカーフができあがりました。受講者には秋になったらぜひ使っていただきたいものです。
染料はヤマモモとログウッド。媒染はアルミと鉄。染料は2つと少ないですが、2つの媒染をうまく組み合わせて、秋を感じる素晴らしい作品となりました。
はじめて草木染を体験した人も何人かいましたが、大変さを感じながらも十分に楽しめた講習会だったようです。
技法講習会「藍染・筒描染5月コース」 2016年5月27日
技法講習会の藍染・筒描染5月コースが最終回を迎えて、花唐草模様のランチョンマットができました。
筒描染は、糊を置いたところが染まらないで白く抜ける技法ですが、糊の調子によって出来上がりが違ってくるといいます。また、講習生は、その日の体調や気分などでも仕上がりが微妙に違ってくるとも話していました。筒から糊を置くのも指の力の加減が難しいなど、技法としても奥が深く経験が必要のようです。
まもなく藍染・筒描染6月コースも始まるので、また講習生の違った作品を楽しむことができると思います。
講演会「時間(とき)と生命(いのち)に寄り添う色」 2016年6月27日
5月22日(日曜日)、現在行われている企画展「日本の伝統の色を訪ねる 色彩の歴史」の関連事業としてカラーイメージコーディネーターの矢内美恵子さんの講演会「時間(とき)と生命(いのち)に寄り添う色」を開催しました。
講演会では、縄文時代から近代までの日本のそれぞれの時代の色の歴史や、色と心身との関わり、色を味方につけたイメージアップなどについて話していただきました。
色の歴史については、古くは中国の陰陽五行と色の関係や、平安時代の華やかな十二単の襲(かさね)の色目、江戸時代の四十八茶百鼠など、それぞれの時代の色についての話しがありました。
その後、人間が形と色で認識するものや、色によって心理や生理へ作用することなど、色が人に影響する事例なども紹介していただきました。
最後には、おしゃれなどでイメージアップの話しや、個人に合うパーソナルカラーの話しなどについて分かりやすくお話しいただきました。
普段の生活の中で、色が人々に大きな影響を与えていることがわかる講演会でした。色彩の奥深さを改めて感じる機会となりました。
多葉のクローバー 2016年5月26日
植物園内の話しではありませんが、少し珍しいので多葉のクローバーを紹介します。
四つ葉のクローバーを見つけると「幸運」や「幸福」があるといわれますが、写真のクローバーは左から三つ葉、四つ葉、五つ……と八つ葉のクローバーまでありました。
下の写真を見ていただけると分かりますが、左の写真の七つ葉のクローバーは葉が特定できます。四つ葉の先に三つ葉が付いています。右の写真は八つ葉クローバーですが写真では六つまでの葉を確認できます。手前の四つ葉の後ろに2つの葉があって重なって見えません。でも多くの葉が付いているのが分かりますね。
ちなみに、四つ葉は「幸福」「幸運」、五つ葉は「経済的繁栄」、六つ葉は「地位と名声」、七つ葉は「無限の幸福」、八つ葉は「縁結び」「無限の発展」などの素晴らしい意味があるようです。
これだけ多葉のクローバーが揃えば、たくさんの幸せが訪れていいと思いますがどうでしょう。そうなれば最高ですが・・・・・・・。
自然と友だちになろう ネイチャーゲーム 2016年5月15日
新緑の映える5月15日、子ども向けの事業「自然と友だちになろう ネイチャーゲーム」が、午前と午後の2回、植物園内で開かれました。
ネイチャーゲームは、自然の中で遊びながらいろいろなことに気付き、気付いたことで自然の素晴らしさを感じられるゲームです。子どもたちはもちろん楽しめますが、大人も十分に楽しめるゲームになっています。
いろいろな葉っぱや木の実を探すゲームや、自然の中からいろいろな形を探すゲームなど、子どもたちは集中してゲームに参加していました。
終了後に子どもたちに聞くと、「楽しかった」という言葉が返ってきました。
藍の移植 2016年5月11日
3月に種まきをして育ててきた藍の苗を、5月11日に花壇と畑に移植しました。8月の夏休み中に行う藍の生葉染で使います。
藍の成長には、多くの水と栄養が必要ですので、肥料をたくさん与えておけば、梅雨の時期には日ごとに大きく育ってくれると思います。
7月末から8月一杯が藍の生葉が成長して染めごろになります。8月の染色体験はすべて藍の生葉染の染色体験になり、絹を染めると爽やかで涼しげな水色に染まります。生葉染の染色体験は夏休み中ですので、たくさんの子どもたちの参加をお待ちしています。
9月から10月に花を付け、11月に種が取れます。来年2月に無料で種を配布しますので、ぜひ育ててみてはどうでしょうか。
ムラサキが開花 2016年5月7日
ムラサキに白い小さな花が咲きました。昨年は5月17日に開花しましたが、今年は5月5日に最初の花が咲きました。
ムラサキは古くから紫色を染める天然染料としてたいへん親しまれてきた植物です。冠位制度では紫色は高貴な色として、位の高い人の服色として使われてきた歴史があります。万葉集や古今集の歌にも登場し、平安時代の王朝文学にも紫の標記があり、古来から親しまれていた色であることが分かります。
染色においては、ムラサキの根を乾燥した紫根を使って染色します。近年は自生のムラサキはほとんど見ることができなくなり、環境省のレッドデータブックでは、絶滅危惧種に指定されています。
実際に栽培してみると、発芽率がよくないこと、水はけがよい環境であること、ウイルスが付きやすいなど、育成に適した環境があるようです。
植物園でも染色のための根の採取まではできない状況で、来園の皆さんにムラサキを見ていただくために栽培しています。実際に染色のための大きな根のムラサキを栽培するには、適した土の準備や水の管理が必要で、施設から見直して栽培する必要があるようです。
また、ムラサキは漢方としても利用され、解熱や解毒薬としての利用のほか、軟膏として腫瘍や火傷、凍傷などにも効果があるようです。
花は、7月まで見ることができると思いますので、ご来園の際にはぜひご覧ください。
春の企画展「日本の伝統の色を訪ねる 色彩の歴史」はじまる 2016年4月29日
染料植物園の春の企画展「日本の伝統の色を訪ねる 色彩の歴史」が4月29日(祝日)から始まりました。
今回の春の企画展は、古くから日本に伝わってきた染色の色の歴史について紹介するものです。高松塚古墳壁画婦人像の服飾の再現品や、正倉院に伝わる幡(ばん)に仕立てた作品などを展示するほか、天然染料で染色した50色の鮮やかな絹のストールなど、約160点を展示しています。
また、展示の構成としては、古くから伝わる色彩のうち、赤、黒、紫、青、緑の6色を中心にそれぞれの時代の染色の魅力をご覧いただくことができます。
日本の伝統の色彩は、自然への想いや信仰、大陸から伝来した仏教や陰陽五行説などの思想などが一体となり時代とともに変化して受け継がれてきました。古くから伝わる日本の色彩文化をご覧いただくことで、現在の生活の中で使われている豊かな色彩が、歴史とともに大切に残され、とり入れられていることが分かります。
古(いにしえ)より受け継がれてきた色彩の魅力を十分にお楽しみいただけますので、ぜひご来園いただきたいと思います。
企画展は6月12日(日曜日)まで開催しています。
タマバチの虫こぶを見つけました 2016年4月27日
園内に発芽したコナラの枝先に虫こぶを見つけました。はじめて見るので調べたところ、ナラメリンゴタマバチによる虫こぶのようです。
名前にリンゴとあるように、小さなリンゴのようで触るとやわらかく弾力があります。大きさは2センチ程度で、虫こぶを切ってみると中もリンゴのようになっています。
ナラメリンゴタマバチは、虫こぶを作るタマバチ類の一種で、コナラの芽に産卵すると芽の組織が膨れて、タマバチの幼虫の住家となって食料も提供することになります。
虫こぶを作る生物は、そのほかにもタマバエ類やアブラムシ類、ダニ類、線虫類などたくさんいるようです。身近なところではヌルデやイスノキなどは、虫こぶの木として有名で園内にもありますが、普段から注意していても虫こぶと出会うことはなかなか難しいようです。
行こう!里山たんけん 新緑の観音山を歩く 2016年4月24日
新緑の映える4月24日(日曜日)、「行こう!里山たんけん 新緑の観音山を歩く」が開かれ、豊かな自然のある春の丘陵を散策して、植物などを観察しました。
里山たんけんは、植物園を出て、自然歩道などを歩きながら植物について学ぶ講習会です。今回は子どもたちの参加も多く、爽やかな春の日差しの中で楽しい観察会を行うことができました。
講師の楽しいお話で、数多くの植物などを観察しましたが、その中からいくつかの植物を紹介します。
アベマキ(幹)(ブナ科の落葉樹)
高さ約20メートルになる。暖温帯から亜熱帯に分布し、日本では近畿地方以西の本州や四国、九州に主に分布する。幹は深く切れ込みコルク層が発達し、大きなドングリができる。観音山丘陵には数多く育成するが植栽されたものが広がったと思われる。
アカメガシワ(ドウダイグサ科の落葉高木)
写真のように若葉が紅色で美しいことでこの名が付いたといわれる。花は6~7月。葉を腫れものの外用薬、樹皮は胃潰瘍などの胃薬として使われる。草木染に使われ鉄煤染でこげ茶系の色に染まる。
チゴユリ(ユリ科の多年草)
高さ15~40センチ。北海道から九州に分布し、丘陵から山地の明るい安定した林内に群落をつくる。名前の「稚児百合」はうつむいて咲く花が小さく可憐なことによる。花が咲いているのが分かりますか。
マルバアオダモ(モクセイ科の落葉低木)
高さ5~12メートル。北海道から九州に分布する。丘陵から低山のやや乾燥した尾根に育成する。花は4月上旬~5月で、写真のように新しい枝の先に灰白色の円錐花序を出し、小さな花を数多くつける。木材は粘りが強いため野球のバッドに使われる。
藍を建てる 2016年4月17日
藍を発酵させて染められる液の状態にすることを「藍建て」といいます。
植物園では、すくも藍と灰汁を使った「灰汁発酵建て」を年に何回か行いますが、4月7日(木曜日)に仕込んだ藍が建ち、15日(金曜日)には仕上げを迎え、藍色に染まる状態になりました。これから始まる講習会に向けて、よい藍染ができると思います。
染色担当の職員は、藍を仕込んだあとには常に注意を払って藍の様子を見て、一度発酵した後、発酵を抑えるための「中石」や「止石」を見極めて処置しますが、その時期が適切でないと発酵具合が悪くなり青く染まりません。そのため、藍建てをしているときには休日もなく、藍に寄り添ってその様子を見ている日が続きます。
写真は仕上げ後の藍甕(あいがめ)ですが、紫色の「藍の華」が大きくとてもよい状態だとわかります。
また、日々の藍の管理もたいへんで手間と時間がかっています。職員は出勤すると、最初にするのが藍の様子を見ることです。そして、試験染をして藍がよい状態であるか見ます。夕方になると、攪拌(かくはん)してから藍のペーハーを測り、状況によって石灰やお酒を入れる作業をします。これをほぼ毎日行っています。
藍は生きているので、よりよい状態を維持していくことが、たいへん難しいことがよくわかります。講習会などでは、藍の管理のことはあまり話すことはありませんが、皆さんによい藍染をしていただくため、職員は藍を育てる日々を送っています。
自然観察会「サクラを観察しよう」 2016年4月9日
4月の観音山丘陵は、年間を通じてもっともよい季節です。そんな4月9日(土曜日)、自然観察会「サクラを観察しよう」が開かれました。
観察会では、サクラの各部位の名称のほか、花序の付き方、ガク筒の形、毛のいろいろなど、サクラの種類とその特徴などについてミニ講座を行い、その後、園内にあるサクラなどの観察を行いました。
園芸種のサクラの数は、数百種といわれていますが、その多くは品種改良で交配され、きれいな花をつけたものが、名称を付けて新しい園芸種として流通しています。園芸種の代表はソメイヨシノが有名ですが、エドヒガンとオオシマザクラの交配によるものといわれています。
そして、数多くの種類のサクラがあることから、サクラの種類を特定するのは、専門的な知識のある人でも難しいといわれています。しかし別の意見として、特定できないほど多くの種類があることが、サクラの面白く魅力的なところという見方もあるようです。
また、日本に昔から自生するサクラは9種類(または10種類)といわれ、自生種が自然交配したサクラも多くあるようです。
現在、観音山丘陵にある自生種系列のサクラは、エドヒガン、ヤマザクラ、ウスゲヤマザクラ、カスミザクラ、ニッコウザクラ(?)といわれています。
そして、植物園内にあるサクラは、ソメイヨシノのほか、シダレソメイヨシノ、カンヒザクラ、トウカイザクラ、サトザクラ、オオヤマザクラ、オオシマザクラがあり、植栽したサクラと植物園開園前から自生していたサクラがあります。
また、植物園外の観音山丘陵に植栽されているサクラは、ソメイヨシノ、オオシマザクラ、マメザクラ、シダレザクラのほか、カンザクラ系のサクラもあるようです。
このように観音山丘陵や植物園には多くの種類のサクラがあります。今年のサクラの花はもうすぐ終わりを迎えますが、来年には、各地のソメイヨシノを楽しんでいただくとともに、丘陵に咲くサクラもぜひ楽しんでいただきたいと思います。