本文
高崎市男女共同参画推進条例(全文)
目次
- 前文
- 第1章 総則(第1条~第7条)
- 第2章 基本的施策(第8条~第11条)
- 第3章 性別による権利侵害の禁止等(第12条・第13条)
- 第4章 男女共同参画審議会(第14条)
- 第5章 雑則(第15条)
- 附則
我が国においては、個人の尊重と法の下の平等、さらに両性の本質的平等が日本国憲法でうたわれ、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約を批准し、男女共同参画社会基本法を制定するなど、国際的な協調の下に男女平等の実現に向けた取組が行われてきた。高崎市においても、男女が平等な社会を目指して様々な施策を策定し、平成13年には男女共同参画計画を定め、その実現に取り組んできた。
しかしながら、今日においても、性別による固定的な役割分担意識やそれに基づく社会慣行など、男女が共に協力して、調和の取れた社会を実現するためには、取り組むべき多くの課題がある。さらに、少子高齢化の進展や人それぞれが多様な生き方を選択する時代の到来など、急速な社会情勢の変化に伴い、男女が性別にかかわらず主体的に行動することが、ますます求められるようになっている。
そのため、男女がこれまでの性別による固定的な役割分担意識にとらわれず、人として対等に向かい合い、個人としての能力を十分発揮して、社会のあらゆる分野に共に参画する男女共同参画をより積極的に推進することが必要となっている。
ここに、私たちは、男女共同参画の推進について、市、教育関係者、市民及び事業者等が協働し、男女が共にいきいきと活動する社会の構築に積極的に取り組むことを決意し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、市及び教育関係者の責務並びに市民及び事業者等(以下「市民等」という。)の役割を明らかにするとともに、市の施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、豊かで活力ある男女共同参画社会を実現することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1)男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、共に責任を担うことをいう。
(2)市民 市内に居住し、通勤し、又は通学する者をいう。
(3)事業者等 市内において営利の事業活動を行う個人及び法人その他の団体並びに市内において非営利の活動を行う法人その他の団体をいう。
(4)教育関係者 市内において、学校教育、社会教育その他の教育を行う者をいう。
(5)積極的改善措置 第1号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(6)セクシュアル・ハラスメント 相手方の尊厳を傷つけ、又は相手方に不利益を与える性的な言動をいう。
(7)ドメスティック・バイオレンス 配偶者その他親密な関係にある者(過去において配偶者であった者その他親密な関係にあった者を含む。)による身体的暴力、精神的若しくは性的な苦痛を与える言動又は経済的な優位性に基づいて苦痛を与える言動をいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画の推進は、男女の個人としての尊厳が重んじられ、直接的であるか間接的であるかを問わず性別による差別的取扱いを受けず、個人としての能力を発揮する機会が確保されることを旨として、行われなければならない。
2 男女共同参画の推進に当たっては、男女が、社会における性別による固定的な役割分担意識に基づく制度又は慣行にとらわれず、それぞれ個人として多様な生き方を選択できるよう配慮されなければならない。
3 男女共同参画の推進は、男女が、社会の対等な構成員として、市における政策の立案及び決定又は事業者等における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることを旨として、行われなければならない。
4 男女共同参画の推進は、男女が、相互の協力及び社会の支援の下に、育児、介護等の家庭生活における活動及び地域、職場その他の社会生活における活動を両立して行うことができることを旨として、行われなければならない。
5 男女共同参画の推進は、男女が、互いの性について理解し、妊娠、出産その他の性と生殖に関する事項について、生涯にわたって健康な生活を営めるよう自らの意思が尊重されることを旨として、行われなければならない。
6 男女共同参画の推進は、国際社会における取組と連動し、国際的な協調の下に行われなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に規定する男女共同参画の推進についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、実施しなければならない。
2 市は、男女共同参画の推進に関する施策について、市民等及び教育関係者と協働で実施するよう努めなければならない。
(教育関係者の責務)
第5条 教育関係者は、男女共同参画を推進する上での教育の果たす役割の重要性を認識し、それぞれの教育を行う過程において、基本理念に配慮した教育を行うよう努めなければならない。
(市民の役割)
第6条 市民は、基本理念にのっとり、社会のあらゆる分野において、男女共同参画を推進する主体としての役割を担うものとする。
(事業者等の役割)
第7条 事業者等は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、男女が共同して参画することができる職場環境の整備に積極的に取り組むよう努めるものとする。
2 事業者等は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に積極的に協力するよう努めるものとする。
(市の施策)
第8条 市は、男女共同参画を推進するため、次に掲げる施策を行うものとする。
(1)男女が、相互の協力及び社会の支援の下に、育児、介護等の家庭生活における活動及び地域、職場その他の社会生活における活動を両立して行うことができるよう必要な支援を行うこと。
(2)市民等の男女共同参画についての理解を促進するため、教育及び学習の場において、必要な措置を講じるとともに、普及広報活動を行うこと。
(3)セクシュアル・ハラスメント及びドメスティック・バイオレンスの防止を図り、これらの被害を受けた者に対し必要な支援を行うこと。
(4)男女共同参画の推進に関する施策を策定し、効果的に実施するため、必要な情報の収集及び分析を行うこと。
(5)男女共同参画の推進に関する施策を実施し、及び市民等の男女共同参画を推進する活動を支援するための拠点機能の整備その他の必要な環境の整備を行うこと。
(6)前各号に掲げるもののほか、男女共同参画の推進のために必要と市長が認めるもの
(男女共同参画計画)
第9条 市長は、前条に規定する男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に実施するため、男女共同参画計画を策定するものとする。
2 市長は、男女共同参画計画を策定するに当たっては、市民等の意見を反映できるよう適切な措置を講じるとともに、第14条に規定する高崎市男女共同参画審議会の意見を聴かなければならない。
3 市長は、男女共同参画計画を策定したときは、これを公表しなければならない。
4 前2項の規定は、男女共同参画計画の変更について準用する。
(積極的改善措置)
第10条 市は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき市が設置する審議会その他の附属機関及びこれに準じる機関において、委員を委嘱し、又は任命する場合においては、積極的改善措置を講じ、男女が均等になるよう努めるものとする。
2 市は、業務を行うに当たっては、男女が共同して参画することができる体制の整備に積極的に取り組むとともに、積極的改善措置を講じ、職員の能力の開発及び発揮について実質的な機会の均等が確保されるよう努めるものとする。
(苦情への対応)
第11条 市長は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策に関し、市民等から苦情の申出を受けた場合には、関係機関と連携し、適切に対応するものとする。
2 市長は、前項の申出に係る対応において必要があると認めるときは、第14条に規定する高崎市男女共同参画審議会に意見を求めるものとする。
(性別による権利侵害の禁止)
第12条 何人も、直接的であると間接的であるとにかかわらず、性別による差別的な取扱いを行ってはならない。
2 何人も、セクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンス等による性別による人権侵害を行ってはならない。
(公衆に表示する情報に関する配慮)
第13条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担及び男女間の暴力等を助長させる表現を行わないよう努めなければならない。
(審議会の設置)
第14条 市長は、男女共同参画の推進に関する重要な事項について調査し、又は審議するため、高崎市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を設置する。
2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査し、又は審議するものとする。
(1)男女共同参画計画の策定及び変更に関する事項
(2)男女共同参画計画の実施状況に関する事項
(3)前2号に掲げるもののほか、男女共同参画の推進に関する重要事項
3 審議会は、前項に規定する調査審議を行うほか、男女共同参画の推進について、市長に意見を述べることができる。
4 審議会は、委員20人以内をもって組織する。
5 審議会の委員のうち、男女のいずれか一方の委員の数は、委員総数の10分の4未満とならないよう努めるものとする。
6 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
7 補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(委任)
第15条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
(施行期日)
1 この条例は、平成21年4月1日から施行する。
(審議会の委員の任期の特例)
2 この条例の施行の日以後最初に委嘱される公募に係る審議会の委員の任期は、第14条第6項本文の規定にかかわらず、当該委嘱の日から平成23年3月31日までの期間とする。
(多野郡吉井町の編入に伴う経過措置)
3 多野郡吉井町を廃し、その区域を高崎市に編入する日以後最初に委嘱される審議会の委員の任期は、第14条第6項本文の規定にかかわらず、当該委嘱の日から平成23年3月31日までの期間とする。
(高崎市非常勤の職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
4 高崎市非常勤の職員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和31年高崎市告示第139号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう 略〕
附則(平成21年5月15日条例第31号)抄
(施行期日)
第1条 この条例は、平成21年6月1日(以下「施行日」という。)から施行する。