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庭園歳時記
みんなが見た紅葉 2024年12月
季節は進み、年末を迎えている旧井上邸です。
12月の庭園には落ち葉に擬態した蝶々の姿が…
クロコノマチョウというそうです。
今年も11月の終りから12月初めにかけて庭園では美しい紅葉が見られました。
ちょうどその頃、地元の中高生の皆さんが職場体験で旧井上邸を訪れました。
好きな場所で写真を撮ってもらったところ、見事にもみじづくしになりました!
特別な季節の旧井上邸を中高生の皆さんの写真と文章でご覧ください。
まずは、木々が赤く色づき始めた11月最後の週に来館した皆さんからです。
Aさん
タイトル:ラウンジを出て見えるもみじ
「私がこれをきれいだと思ったのは、赤にとてもよく染まっていて、とてもきれいだと思ったからです。もみじの周りには赤い花がさいていて統一感があり、良いと思いました。上はあざやかな赤でだんだん下に行くほど落ちついた赤になるのもグラデーションになっていてきれいでした。このもみじを見ていたときに鳥の鳴き声がきこえてきました。風景にあっていてとても良いと思いました。とてもきれいなので来てみてください。」
Bさん
タイトル:和室から見える庭
「私が写真をとったのは旧井上邸の和室から見えたもみじです。なぜ私がもみじをとったのかというと、一つ目は紅葉していてとても美しかったからです。二つ目はこのもみじを井上房一郎さん自身が選んでうえたということを知ったからです。私はそれを聞いた時、井上さんがうえたもみじが今も残っているのかとおどろくと同時にとても感激しました。なぜなら井上さんはどのような心情でうえたのかという想像がなんとなくできたからです。」
Cさん
タイトル:和室正面の庭
「障子をあけると、木の板が額縁のように見え、一つの絵画としてながめることができるところがお気に入りです。見る角度によって紅葉の見え方が違ったり、風にあたって揺れているのがとても綺麗です。この写真では、3つに分けられていて、いろんな景色を楽しむことができました。季節や天気によって、たくさんの風景をみられるので、冬や春にも行ってみたいです!」
つづいて、12月初めに来館したお2人のリポートです。
Dさん
タイトル:秋を感じる一枚
「私が、何故この場所を取らせていただいた理由は、旧井上房一郎邸から見て、庭のキレイな紅葉や竹、和を感じさせるとうろうなどの風景が秋を感じる一枚だと思いこの場所を撮りました。まだ赤に染まっていないもみじや染まりきったもみじのグラデーションはとてもキレイで、ぜひみなさんも今しか撮れないこの一枚を撮りにきてはいかがでしょうか。」
Eさん
タイトル:こんなにきれいなもみじはもうみんし
「とてもきれいな紅葉があり、その色は赤色というより紅色と思えてしまう色をしていました。緑色の葉と紅色の紅葉が一つの写真に収まることで、夏の暑さが残りつつ、秋の寒さが刻一刻とせまりつつあるという日本の四季を鮮やかに表していると思います。」
以上、中高生の皆さんによる旧井上房一郎邸の紹介でした。
同じ紅葉でも切り取り方や感じた事がそれぞれ違って素敵ですね。
中高生の皆さん、ありがとうございました!
旧井上房一郎邸は、次回は2025年1月18日(土曜日)から3月20日(木曜日・祝日)まで高崎市美術館の開館日に合わせて公開となります。
博物館実習と夏の旧井上房一郎邸
夏の旧井上房一郎邸は、井上氏作庭の鬱蒼とした樹木に囲まれた庭園が緑の色を一段と深め、独特の景観をさらに際立たせています。そんな8月下旬の旧井上邸を、博物館実習の一環で大学生5名が訪れ、それぞれの目線で素敵だと感じたポイントをリポートしてくれました。
こだわりの構図で撮られた写真にも注目してお楽しみください。
Aさん
場所:パティオ
私の旧井上房一郎邸のお気に入りスポットは「パティオ」です。現在は旧井上房一郎邸の入口となっているこの空間ですが、元々は玄関ではなくパティオと呼ばれる憩いの場でした。ここだけ屋根がガラスになっており、陽の光が差し込むようになっています。また、庭を一望することができるため、井上房一郎さんは庭を眺めながら休憩や食事をすることもあったそうです。旧井上房一郎邸に訪れた際にはパティオの椅子に座って井上房一郎さんの見ていた景色を楽しんでみてはいかがでしょうか?
Bさん
場所:居間
夏の暑い日に訪れた旧井上邸。冷房のきいた居間と庭の涼しげな雰囲気が素敵だなと思い、ここを選びました。少し疲れた方には特におすすめしたく、実際に座ることができる椅子も置かれているため素敵なお庭を見ながらの小休憩にぴったりです。この写真も、実際に座ってみて撮影を行いました。井上夫婦やレーモンド夫婦も座って同じ景色を見たかもしれないと考えると、タイムスリップした気がします。みなさんもぜひ、体験してみて下さい。
(スタッフ註:居間南東の角に置いてある4脚の『Yチェア』には座っていただくことができます。)
Cさん
場所:居間 (丸太)
私が思う旧井上房一郎邸の見どころの一つは、建物に使われている丸太です。建物内で見られる赤っぽくつややかな丸太は、屋敷を支える役割を果たす一方で、内装に彩りを加えています。旧井上邸はアントニン・レーモンド邸を写すように設計されましたが、レーモンド邸が丸太をそのまま使っているのに対し、旧井上邸の丸太は、表面に工夫が見られます。職員の方にお話をうかがったところ、水沢山で切り出された杉を、京都・北山から取り寄せた磨き砂で磨き、オイルステインでコーティングしてあるとのことでした。すべらかでつやのある丸太は、建物内にあるレーモンドの妻・ノエミによるモダンな家具とも調和しています。また、この丸太を組み合わせて用いる「鋏状トラス」の構造も見ごたえがあります。皆さんもぜひ、旧井上邸の細部に目を向けてみてください!
(スタッフ註:旧井上邸のモデルであるレーモンドの『笄町の自邸』では建設現場の足場丸太が使用されていました。)
Dさん
場所:和室
私が気に入った場所は、和室です。大きな窓から見える庭園は、とても落ち着く空間になっています。特に楓の木が印象的で秋になると赤く色付き、今とは違う風景を見ることができると思います。また、9月1日まで開催の「渡辺おさむ お菓子の王国2」の作品も展示されており、障子の開き方や、床の間の普段と異なる雰囲気を楽しむことができます。ぜひこの機会に旧井上邸に遊びに来てください。
(スタッフ註:『渡辺おさむ お菓子の王国2』は令和6年6月29日から9月1日まで高崎市美術館で開催され、会期中には旧井上邸でも渡辺おさむさんの作品が展示されました。)
Eさん
場所:庭園南側の竹林
庭園南側の仏間から続く一本道の両脇に、モウソウチクとよばれる竹の一種が連なっています。見上げると一面に緑が広がり、葉の隙間から入る日差しがとてもきれいです。旧井上邸の塀はやや低めに設計されているため、風が通りやすく、涼しさを感じます。さらに、その風に揺れる竹を見ることに心地良さを感じます。また、母屋のガラス窓から外を見ても、竹の存在感を大いに感じることができます。
(スタッフ註:現在の旧井上邸の塀は、高崎市景観重要建造物指定の必須基準である『道路その他の公共の場所から公衆によって容易に望見されるものであること』という基準に則して、オリジナルの塀よりも低く、スリットが入った造りになっています。)
以上、大学生の皆さんによる旧井上房一郎邸の見どころ紹介でした。
この時期ならではの旧井上邸の様子や興味を持った点を、瑞々しい視点から写真と文章で表現してくれました。
素敵なリポートをありがとうございました!
高崎市美術館にお越しの際は、季節ごとに様々な顔を見せる旧井上房一郎邸もぜひ楽しんでくださいね!
次回は9月21日(土曜日)からご見学いただけます。
中学生による旧井上邸の魅力紹介 2024年5月30日
新緑の爽やかな季節を経て、暑い日が増えてきましたがお元気でしょうか。
旧井上房一郎邸ではアジサイが見頃を迎えています。
庭園北側では梅の実が大きくなり、南側では楓の翼果(よくか)が風に揺れています。
さて5月中旬、地元の中学生3名が高崎市美術館に職場体験に訪れました。
旧井上房一郎邸の実習では、それぞれが気に入った場所を撮影してもらい、その場所を紹介する文章を考えてもらいました。
旧井上邸に来たことがある生徒さんも初めての生徒さんも、井上房一郎さんの住んでいた様子を想像したり、建物や庭園のどんなところに魅力を感じるか考えながら取り組んでくれました。
中学生の皆さんによる写真と文章をご紹介します。
Aさん
場所:和室
「私は、旧井上房一郎邸を見て、すべて美しく、細かく、すてきな所だと思いました。そして、一番気に入ったところが和室です。和室は質素なつくりで、外から見える風景で華やかさを出している感じがし、とてもひきこまれました。そして、旧井上邸の説明をしてくださった際に、井上房一郎さんが奥さんの為に和室をつくったという話を聞き、井上房一郎さんの人がらも伺え、とてもすてきな所だと思いました。みなさんもぜひ、旧井上邸に来て、和室をご覧ください。」
Bさん
場所:居間のガラス戸
「自分がこの場所を気にいった理由はガラス戸が大きく、太陽の光が入ってきて明るいのがいいなと思ったからです。他にも大きなガラス戸から外の景色を見ることができ、美しい自然を感じることができるのもいいなと思いました。また、柱がガラス戸などより内側にあるのはめずらしいそうです。ぜひ高崎に来たときはおとずれてみてください。」
Cさん
場所:庭園東側の景色
「この写真を気に入った理由は、奥に茶室が見え、植木の手前のじゃりの部分は烏川をイメージして作られたそうで奥の植木がより良くしていると思いました。手前の岩の所は和風の感じを引き出しており昔どのように井上さんが散歩していたかがイメージできます。なお木がおいしげる中に茶室がありそこでお茶をしていると思うととても落ちつきながらおいしいお茶を飲むとなるとさぞかしおいしいと思いました。高崎に来た際はぜひおこしください。」
以上、3人の中学生による旧井上邸の見どころ紹介でした。
素敵なリポートありがとうございました!
3月の庭園とインターンシップ
3月の庭園ではアセビの花が咲いています。
小さな花が集まって可愛らしい見た目ですが、馬が酔う木と書くとおり、毒性があるので注意が必要です。
今月下旬には、中低木の剪定が行われました。
熟練の職人さんたちに手入れしていただき、庭木も美容院に行ったように綺麗になりました。
さて、先日は県内の高校生の皆さん4名がインターンシップで旧井上邸を訪れ、邸内の見学と庭園清掃、そして庭園歳時記のための写真撮影と記事作成を体験しました。前日には雪予報も出ていましたが、当日は天気が崩れることなく、やわらかい陽光の中で実習に取り組んでもらうことができました。
それでは、高校生の皆さんによる旧井上房一郎邸の見どころ紹介をご覧ください。
Aさん
場所:居間
「私は旧井上房一郎邸の中でも居間に魅力を感じました。レーモンドの建築はとてもシンプルで美しく、妻ノエミのテーブルや椅子の雰囲気とマッチしていました。部屋を照らすライトはとてもあたたかみのある色で、井上房一郎はここでリラックスしていたのだろうなと思いました。井上房一郎が設計した庭とのつながりもレーモンド・スタイルの様々な工夫によって表現されていて感心しました。建物の床が低くなっていたり、芯外しの手法を採用していたりしたので庭が近く、そのままつながっているような感覚になりました。静寂で素敵な雰囲気がつまっていて、とても良い空間でした。」
Bさん
場所:廊下
「旧井上房一郎邸はとても面白くオシャレなつくりをしています。私はその中でも廊下に魅力を感じました。居間とつながっている部分はとても広いつくりになっており、窓際には大きな机があります。また、天井には古民家などでまれに見ることのできる昔の配線を見ることができます。窓からの光や照明などにより、程よい明るさでとても落ちつく美しい空間に感じました。」
Cさん
場所:茶の間(和室)
「旧井上邸は、全体的に日本と西洋建築の両面の顔を持っている。しかし、中には西洋とは完全独立した、和の茶の間が存在する。一般に、和の空間には厳格さがあるが、茶の間ではその情趣が感じ取れる。まず、壁には丸太があったのだが、畳の空間に馴染むようこの湾曲は面取りされた。そして、この茶の間と西洋の境界には、異質な、入口に沿った円柱が存在する。否、この円柱が境界をつくり、空間を隔てているのだ。しかし、境界はあるものの、この西洋と和の空間の間には、妙な親和性がある。これはきっと、井上房一郎と、建築家アントニン・レーモンドの戦前・戦後にて変わりない、確固たる友情の証明なのだろう。」
Dさん
場所:茶室
「私が一番魅力的に感じた場所は、旧井上房一郎邸の庭にある茶室です。普段見ることができないような、昔の茶室が見学できました。とても小さな部屋ですが、周りの植物や花と一体化していて、自然を楽しむことが出来ます。とても静かな場所だったので、落ち着ける空間になっていました。周りにある低木は観音山を表わしていて、白い砂利道は烏川を表わしているという工夫が、とても美しい景色になるように考えられているのだと感心しました。この昔ながらの、自然を楽しめ、落ち着ける茶室が、私はとても素敵だと感じました。」
以上、それぞれが旧井上邸の中で特に魅力的に感じた場所の、写真と文章によるご紹介でした。
来館前に井上房一郎さんについて調べてきてくれた皆さんでしたが、実際に旧井上邸の中に入り、臨場感のあるリポートをしてくれました。
高校生の皆さん、ありがとうございました!
旧井上房一郎邸にも春の便り 2024年2月8日
立春を過ぎた2月5日、群馬県内のほぼ全域に大雪警報が出る中、旧井上房一郎邸にも雪が降りました。
翌日には溶け始め、屋根からしたたる雪解け水が軒下に敷かれた那智黒石を叩き、ぽちょん、ぴちゃんと楽しそうな音を奏でていました。
春のさきがけといえば梅の花ですね。
蕾がふっくらしたところで雪に降られた庭園の梅でしたが、寒さにめげず咲き始めました。
辺りにほのかに良い香りが漂うようです。
さて、昨年の暮れのことになりますが、旧井上房一郎邸に、建築家アントニン・レーモンドにゆかりの深いお客様がいらっしゃいました。
レーモンドのお孫さんで写真家のシャーロット・レーモンドさん、レーモンドの秘書を務めてらっしゃった五代美子さん、株式会社レーモンド設計事務所顧問の土屋重文さん、同事務所元所員で現在は独立されている高村隆徳さんです!
居間を背景にスペシャルな4ショットを撮影させていただきました。
旧井上邸は、レーモンドの友人でもあった井上房一郎さんがレーモンドの快諾を得て、麻布笄町のレーモンド邸を実測し建てた住宅建築です。
レーモンド邸の面影を残す旧井上邸を眺めながら、レーモンド夫妻をよく知る皆さんから、夫妻の暮らしぶりやレーモンド邸での思い出など、貴重なお話を聴かせていただきました。
かつてレーモンド邸のお庭には桜が咲いていたそうです。戦時中を除く40年あまりを日本で過ごしたレーモンド夫妻は日本を象徴する花にもまた愛着があったのでしょうか。プール付きのお庭に桜の木があったというのも素敵な組み合わせです。
旧井上邸に桜はありませんが、街に野山に花が咲く季節が待ち遠しく思えるこの頃です。
旧井上邸の紅葉をご紹介 2023年12月14日
始まりがやや遅かった今年の紅葉ですが、11月25日頃から色づき始め、12月初旬まで見頃が続きました。
そんな紅葉と旧井上邸の取り合わせをご紹介します。
庭園には葉の大きさや色づき方の異なるモミジの木が9本ほど点在しています。また、植えこみの低木の中にも葉が赤くなるものがあり、紅葉の盛りには錦のような庭紅葉を見ることができました。
和室前のモミジは見事な深い赤に染まりました。
和室以外の各部屋からも大きなガラス戸越しに紅葉を楽しむことができました。
以上、2023年の紅葉の模様をお届けしました。
紅葉はそろそろ終わりとなりますが、これからの季節に咲く花や膨らむ蕾などからも季節を感じていただけますので、今後も温かい服装で庭園散策をお楽しみください。
秋の旧井上邸で職場体験 2023年11月25日
秋も深まり、庭園では寒椿や山茶花が咲いています。
今年は紅葉が遅かった印象のモミジも、緑に赤い色素が沈み込んだような黒ずんだ色になった後、数日かけて橙色から赤に染まりました。
さて、先日は地元の高校生2名と中学生3名の皆さんが同じ日に旧井上邸で職場体験に臨みました。
午前は旧井上邸の見学の後に庭園清掃を手伝ってもらい、午後は旧井上邸で気に入った場所の写真を撮って紹介文を考えてもらう実習を行いました。
それでは、中高生の皆さんによる旧井上邸の見どころ紹介をご覧ください。
旧井上房一郎邸の見どころ紹介
Aさん
撮影場所:寝室
「私がオススメしたい場所は寝室です。理由は最初に寝室と言われたときは驚きました。でも、私は寝室なのにいすや家具が置いてあって寝室なのに寝室じゃないところがとても好きで魅了されました。寝室の雰囲気がとても好みでした。写真で撮ってみても、寝室の雰囲気がとてもお洒落なので写真映えをします。寝室も今の時代の寝室と違ってお洒落でした。」
Bさん
撮影場所:庭園東側
「この写真は旧井上邸の魅力が詰まった1枚の写真です。写真から読み取れることは、井上ご夫妻が平和に生活していたことが感じさせられます。レーモンドによる工夫を見ることができます。旧井上邸は戦前・戦後を通じて交流した、井上とレーモンドの友情の証であり、友情が途絶えることがないように、大切に保管して、多くの人にその歴史を知ってもらいたいです。」
Cさん
撮影場所:和室
「井上房一郎さんの奥さんのために造られたといわれている和室です。素朴な雰囲気で庭の方から差し込む光と木漏れ日がとても心地よく落ち着く空間となっています。また、奥さんは和室でお茶を嗜んでいたそうです。各時期に色づく花々や高く大きくそびえる木々を眺めてみて下さい。また、スギの木や畳などの暖かさを感じてみるとより和室の魅力がわかると思います。」
Dさん
撮影場所:パティオ
「机も椅子もあって、一見屋内のように感じさせるパティオ。しかし、庭への道をさえぎるものはありません。この家に住んでいた井上房一郎さんは、お天気が良い時にはこのパティオで食事をとることもあったそうです。美しい庭を見ながら家族や友人ととる食事、なんだかとても風情があるように感じませんか?また、屋根のガラスを通して入る光はとても気持ちがよく心が落ちつきます。旧井上房一郎邸を訪れる際には必ず通る場所です。せひじっくり見てみてください。」
Eさん
撮影場所:仏間北側
「この一枚の魅力は日本の和というものをこの一枚で表わしていて、木の歴史を感じさせるわかれかたや、屋根のこけと光の加減による調和、仏間の外壁から分かる、考えられた設計など考えられる一枚です。たとえさらに年代を感じさせるようなものとなってきたとしてもそれもまた日本の和というものを感じさせて、美をさらに追求できるものになっていくのがこの一枚の魅力です。」
以上、中高生の皆さんによる旧井上房一郎邸見どころ紹介でした。
かつての暮らしの様子を想像したり、建物や庭を自分の視点で見てみることで色々な発見がありますね。
生徒の皆さん、ありがとうございました!
秋の庭園散歩 2023年10月29日
朝晩が冷える日も多くなり、本格的な秋の風情をそこかしこに感じるようになりました。
旧井上邸の庭園北側では、高い位置に実をつけた柿が陽光を浴びて輝いています。
同じく庭園北側のススキも涼しげに穂をゆらして目を楽しませてくれます。
さて、先日は地元の高校生4名が旧井上邸でインターンシップの実習を行いました。
午前中は邸内を見学した後に庭園清掃をしてもらい、午後は庭園歳時記のための写真撮影と記事作成に挑戦してもらいました。
それでは、高校生の皆さんによる旧井上邸の見どころ紹介をご覧ください。
旧井上房一郎邸の見どころ紹介
A.S.さん
撮影場所:茶室前の植えこみ
「時間帯や天気にもよるが、木々のすき間から差し込む日の光を浴びた植え込みの様子が特に美しく感じられる。烏川を模した砂利道の『白』、木々の生き生きとした『緑』。それらが暖かな日光に照らされ、独特な優しい雰囲気を醸し出している。植え込みは、観音山を意識してこの形になっているというところも、ストーリーを感じられてとても良い。邸宅自体も、和洋折衷な(和の要素が強い)スタイルが魅力的だが、庭園の『わびさび』な感じも、注目するポイントの1つだろう。」
M.I.さん
撮影場所:庭園の小道
「パティオから邸宅を出て南側に位置するこの道。高崎を流れる烏川を模している。竹がしなやかで美しい。葉から漏れ差す日光が、おだやかで、雄大な時の流れを演出する。秋頃には金木犀の柔和で優しい香りが辺りを包み、安らかな時を過ごすことができる。季節毎に色の違いを楽しめる場所になっていて、風情を感じる庭園だ。」
N.S.さん
撮影場所:犬走りから
「旧井上邸を見学する際、まず目にするのがこの景色ではないでしょうか。井上房一郎がデザインした庭、そしてアントニン・レーモンドの家を写した旧井上邸。この景色ではどちらの情景も楽しむことができます。旧井上邸の屋根の軒の出は通常より長く作られており、犬走りの部分は雨の日でも濡れることなく歩けるそうです。そんな犬走りから見られる情景はまるで旧井上邸の中の世界に入ったような気持ちにさせてくれます。もし機会がありましたら、ぜひ実際に訪れてみてはいかがでしょうか?」
K.M.さん
撮影場所:台所
「旧井上房一郎邸の庭園から見ることのできる台所の1枚です。椅子やカップが置いてあり、まるで今もそこで生活をしているかのように感じられます。この写真はちょうど光が当たっているところを撮りましたが、来る季節や天候によって違う雰囲気を味わうことができると思います。皆さんも一度訪れてみてはいかがでしょうか。」
以上、高校生の皆さんによる旧井上房一郎邸の見どころ紹介でした。
今回は偶然にも4名全員が庭園南側で建物の外から捉えた旧井上邸の見どころを紹介してくれました。
ご来館の際には、その季節ならではの表情をみせる庭園の景色も是非お楽しみください。
高校生の皆さん、ありがとうございました!
博物館実習生による旧井上邸見どころ紹介 2023年9月1日
暑い日が続きますが、暦の上では二十四節気で暑さがおさまる頃という「処暑」を迎えました。
昼間は強い日差しが降り注ぎますが、夕方には虫の声が聞こえ、わずかに秋の気配が感じられる旧井上房一郎邸です。
さて、先日は博物館実習の一環で大学生5名が旧井上房一郎邸を訪れました。
それぞれが魅力を感じた場所を撮影してもらい、庭園歳時記のための記事を作成してもらいました。
実習生の皆さんによる旧井上邸レポートをどうぞご覧ください。
旧井上房一郎邸の見どころ紹介
K.A.さん
撮影場所:パティオ(北側から撮影)
「旧井上房一郎邸の正面玄関に入ると、まず視界に広がるのが、このパティオである。居間と寝室の間に設けられているこのパティオは、入ってきた人に、庭園の趣と差し込んでくる豊かな光を印象づけるのではないだろうか。私自身この光景を目にした時、井上房一郎がこのパティオで過ごす優雅なひとときを想見せずにはいられなかった。パティオという洋風な空間を介して、竹林や白砂利が織りなす日本庭園を眺望すると、この旧井上邸が奥ゆかしくも、見事な和洋折衷を体現していることを存分に享受することが出来るのではないだろうか。」
R.S.さん
撮影場所:居間(南側)
「居間とそこから見える庭園を紹介したい。南側の開口部は『芯外し』が用いられており、庭園をより開放的に見せている。アントニン・レーモンドの自然性を求める姿勢がこの部分に表れており、居間と自然の一体感が強調されている。さらに居間の南東側に配置されたハンス・J・ウェグナーのYチェアは座ることもでき、ゆったりと居間から見える庭園の景色を楽しむことができる。外の光が優しくさしこむ居間は、自然も相まって涼しげで夏の暑さを忘れさせてくれるだろう。」
Y.M.さん
撮影場所:居間(北側)
「旧井上房一郎邸の居間の上部を見上げると、ハイサイドライトから光が差し込む幻想的な空間が広がっています。ハイサイドライトの、光が透ける障子の表情は、北側から差し込む光が室内を照らし、心地よい居心地を感じさせます。障子の高い窓は、部屋の空間が広がり、開放感を感じることができ、穏やかで暖かい空間を生み出しています。居間には、伝統的な日本の美意識を感じさせる独自のデザインと機能性、鋏状トラスや芯外しなどの手法を用いた『レーモンド・スタイル』が融合した美しい空間が広がっています。」
Y.O.さん
撮影場所:居間(西側)
「旧井上房一郎邸の居間西側には、アントニン・レーモンドの妻であるノエミ・レーモンドがデザインした円形のテーブルが置かれています。その周りには4脚の椅子があり、その1つの座面には井上房一郎が使用していた帽子が置いてあります。窓の外に目をやると、竹林や楓の木が見えます。楓は毎年秋になると紅葉するので、これからの季節は特におすすめです!ベニヤでできた壁は、現在では飴色に変色していますが、建築当時は白い無垢の色をしており、そこに打たれた真ちゅうの釘が金色に輝いていたのでしょう。」
M.S.さん
撮影場所:庭園(南東側)
「アントニン・レーモンドの自邸にはなかった、旧井上邸オリジナルの庭園。この庭園の東西にわたる白砂利の小路は、高崎を流れる烏川を模している。庭園の南東にある茶室周辺の木々を観音山に見たてたとされ、観音山のふもとを流れる烏川の様子が再現され、庭の中で高崎の風土を感じることができる、趣きのある庭園になっている。」
以上、博物館実習の大学生による旧井上房一郎邸見どころ紹介でした。
実習生の皆さんありがとうございました!
クチナシの開花 2023年6月24日
夏至の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。
高崎市美術館では6月24日(土曜)から企画展「宮崎学 イマドキの野生動物」を開催しております。
展覧会に合わせるように旧井上房一郎邸ではクチナシの花が咲き始めました。
「喜びを運ぶ」という花言葉のとおり、周囲に甘い香りを漂わせて幸せを振りまいているようです。
庭園の東西で2種類のクチナシを見ることができます。
近々旧井上房一郎邸にいらっしゃる方は、白い花を目印にクチナシを探してみてくださいね。
中学生目線で旧井上房一郎邸の魅力をご紹介 第2弾 2023年6月16日
お天気が不安定な日が続きますが、今日の旧井上房一郎邸では梅雨の晴れ間の綺麗な青空を見ることができました。
さて、今回は前回に続いて中学生によるレポートをお届けします。
この度の職場体験で高崎市美術館に来館したのは、市内の中学生2名です。
旧井上房一郎邸では庭園の落ち葉掃除も手伝ってもらい、おかげさまで茶室の周りがすっきりしました。
それでは、中学生目線の見どころ紹介をご覧ください。
旧井上房一郎邸の見どころ
K.T.さん
撮影場所:寝室
「私が『旧井上房一郎邸』で選ばせてもらったお気に入りスポットは寝室です。この寝室の特徴は、大きく取り付けられた窓と、それにより感じられる広々とした間取りです。この寝室は昼では日常の部屋として使われているため、窓が大きく、ソファや、テーブルがあります。では寝室としてのベッドはどこにあるのでしょうか。私も初めは不思議でしたが説明を聞きおどろきました。実はこのソファとして置かれている家具!これが脚の先についているキャスターで動き、ベッドになるのです!このように普段私たちの生活にはないようなアイディアがつまった寝室の魅力に私は強く惹かれました。みなさまもぜひ訪れてみてください。きっと新しい発見がたくさんでき楽しめるはずです!」
R.H.さん
撮影場所:居間
「私の旧井上房一郎邸お気に入りポイントは、レーモンド・スタイルの光った特徴的な居間です。まず私が目をひかれたのは、中央に設けられた暖炉でした。私の思うこの暖炉の最大のポイントは、表面の温度上昇を防ぐ工夫です。具体的には表面の鉄板が二重になっているため、空気の層ができそれが断熱の役割をしているのです。次に私が気になったのは、北側の最上部にある障子です。この障子はハイサイドライトという名前らしいです。これは明かりを取り入れるためのもので、ここからはやさしい光がさしこんできます。以上が私のお気に入りポイントなのですが、こんな家一度でいいから住んでみたいものです。」
以上、中学生による旧井上房一郎邸の見どころ紹介でした。
お二人ともありがとうございました。
高崎市美術館では、6月24日(土曜)から企画展「宮崎学 イマドキの野生動物」を開催いたします。
会期中は旧井上房一郎邸にもぜひお立ち寄りください。
中学生目線で旧井上房一郎邸の魅力をご紹介 2023年6月4日
入梅の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。
旧井上房一郎邸の庭園では、5月末に咲き始めた紫陽花が毎日少しずつ色を変えながらお客様をお迎えしています。
さて、先日は高崎市美術館に職場体験で地元の中学生4名が来館しました。
生徒の皆さんがそれぞれに思う旧井上房一郎邸の見どころをレポートしてくれましたのでご紹介します。
旧井上房一郎邸の見どころ
M.K.さん
撮影場所:居間
「私がオススメしたい場所は旧井上房一郎邸の居間です。この写真のイス4脚は居間の中で唯一座れる場所となっています。座った場所からは広い庭園もながめることができます。イスはあまりみないY字型の背もたれが特徴で、高さもちょうど良くゆっくりとくつろぐことができると思います。また、ライトも少しレトロなかんじです。行ってみると色々特徴的な物が多く楽しめますので、ぜひ、行ってみてください。」
K.S.さん
撮影場所:居間
「居間の床は、外の地面と高さがほとんど変わらず、15cmほどしか変わらないそうです。ですがそのおかげで居間と外の世界がつながっているように見え、とてもすてきです。お庭も緑がたくさんあって良いアクセントになっているなと感じます。ぼんやりとした暗い居間に外の明るく、きれいな景色と、居間の中の小さな明かりが暗い居間を照らし、ほんのりあたたかいような世界が見え、とてもすてきだなと感じました。」
E.Y.さん
撮影場所:和室
「私が旧井上房一郎邸でおすすめしたい所は和室です。和室は実際に立ち入ることができます。ガラス戸の前で座って外を見ると、鴨居と障子と敷居で四角く区切られて一枚の絵のように見え、とてもキレイです。昔は、井上房一郎さんの奥さんがお茶をたしなむために使っていたお部屋なんだそうです。旧井上邸では飲食が禁止されていますが、入ってキレイな景色を楽しむことができます。旧井上邸に来たらぜひ、和室に行ってみてください。」
K.M.さん
撮影場所:パティオ
「青々しい竹が何本も空にむかってのびている様子は迫力とさわやかさを感じます。また、パティオからは石のとうろうと竹の和の雰囲気ただよう、落ち着いた景色がのぞめます。写真に写っているかえでの木は秋になると紅葉しますが、今の青々とした葉は見られませんし、梅の木も10月ごろに葉を落としてしまうみたいなので青々しい葉がついている今の時期はとてもおすすめです。みなさんも是非おとずれてみてください。」
以上、中学生による旧井上房一郎邸の見どころ紹介でした。
生徒の皆さん、ありがとうございました。
日差しの眩しい季節になりました。 2023年5月18日
初夏の光の中、庭園の木々が日に日に緑の色を濃くしています。
こちらは開館前に撮影した寝室の様子です。
朝日を浴びたパティオ(中庭)のガラス屋根の格子の影が、寝室の障子に大きな模様を描き出していました。
そしてこちらは開館後の様子です。
邸内公開時間には、障子を開けた状態で窓からの庭園の景色もご覧いただけます。
現在、旧井上房一郎邸の邸内は高崎市美術館開館日の午前10時~11時と午後2時~4時に公開しています。
庭園の散策と合わせてぜひお楽しみください。
夜の旧井上房一郎邸をご紹介 2023年1月14日
11~2月の冬季期間は庭園の公開時間が午前10時~午後5時までとなっています。(11~2月以外は午後6時まで、いずれも最終入園時間は閉園の30分前)
今回は冬季期間の公開時間終了後の旧井上邸の様子をご紹介します。
いつもとは違うライトアップされた旧井上邸です。
暗くなった庭園で写真撮影の際は、安定しない場所も多いので足元にお気をつけくださいね。
こちらは閉館作業時、邸内の灯りを消している途中の様子です。
外灯により、庭の樹木が影絵のように浮かんでいました。
旧井上邸をご見学の際は、庭園、邸内ともにとても冷えますので暖かい格好でお越しくださいね。
美術館スタッフエリアから見た旧井上邸をご紹介 2022年12月24日
朝からひと際冷え込みを感じた12月24日(土曜)、高崎の空には雪が。
積もるほどではなく旧井上邸の雪景色は見られませんでしたが、美術館スタッフエリアから庭園に雪が降る様子を撮影してみました。雪がほとんど写っていないのですが、普段なかなか見られない視点での旧井上邸の写真となりました。
年内の旧井上邸見学は2022年12月27日(水曜)までとなります。
次回は令和5年1月5日(木曜)から引き続き開催中の「特集展示 Love Pop」と併せてご覧くださいね。
高校生目線で旧井上邸の魅力をご紹介 2022年11月17日
朝晩の冷え込みが厳しくなりはじめ、庭園では楓など、木々が色付きはじめました。
主屋からお茶室方面を見ますと、緑色、黄色、オレンジ色、赤色…様々な色のグラデーションが美しく、この時季ならではの景観を作り出しています。
寒くなると、庭園内のあちこちで、山茶花、椿の仲間が次々に花を咲かせます。
こちらは庭園南で咲く花。白い花びらの先端がピンク色で、可憐な印象です。
一方、こちらは庭園の北側に咲いている、濃いピンクが特徴の花。
山茶花、椿は種類が多く、よく似ているので、見分けるのが難しいです。
見分け方としては
開花時期:山茶花は秋から冬、椿は冬から春
花の落ち方:山茶花は花びらが一枚一枚落ちる、椿は花がまるごと落ちる
というのが一般的によく言われています(いずれも例外もあります)。
これから庭園の山茶花、椿が開花シーズンを迎えますので、見比べながら庭園散策をお楽しみ下さいね。
さて、本日は、職場体験のため来訪した吉井高校の生徒2名に、職員と一緒に旧井上邸の仕事に取り組んでもらいました。
その中で、まだご来館いただいた事の無い方に向けて、旧井上邸の魅力を探してもらい、撮影と紹介文を作成してもらいました。
これからご来館の際、ぜひ参考にしてみてくださいね。
旧井上邸のおすすめ紹介
Aさん
撮影場所:茶室
「美術館から庭園への入り口から、すぐ左手に草木が生い茂った細道があり、そこを入ると、なんだか森の細道を歩いているかのような、不思議な気持ちになりました。その細道の先には、小さいがとても存在感のある、まるで旅人が疲れた身体を休めるために建てられたような、茶室がありました。茶室の中をのぞいてみると、自分が思っていた以上に中は広く、人が座ったり寝そべりながら、茶を飲んでいる様子がはっきりと浮かんできます。夏は虫たちの声が聞こえ、秋には美しく染まった落葉を見ながら静かにゆっくりと時間が過ぎてゆく様を想像すると、自分も茶室の中に入って自分だけの時間を過ごしたいという、そんな気持ちになりました。」
Tさん
撮影場所:パティオ
「旧井上邸のパティオからは旧井上邸の素晴らしい特徴的な建築や庭園を見ることが出来ます。目の前の柱は、アントニン・レーモンドが生み出した「鋏状トラス」構造が用いられ、強い存在感が感じられます。外から見える居間の南側の開口部は「芯外し(しんはずし)」を用いており、窓を開けると庭園の景色を楽しめます。その庭園は紅葉の季節を迎えると木々が赤く染まり居間と、パティオを挟んで反対にある和室からも楽しむことができ、それはとても美しいです。」
夏の庭園で見られる虫たちと旧井上邸の見どころをご紹介 2022年8月24日
今年の夏は例年より梅雨明けが早く、高崎市は猛暑日も多かったですが、お盆が過ぎてやや落ちついた気候になり、風の中に秋の気配を感じるようになりました。
最近はセミの鳴き声が響くなか、庭園内を蝶やトンボが飛び回ったりと、庭園散策を楽しむのにちょうど良い時季になりました。
今年の夏も、様々な虫が見られましたので、いくつかご紹介します。
こちらはラミーカミキリ。
輸入の際にラミーという繊維作物にくっついてきて、中国大陸から日本に持ち込まれたそうです。
日本では西日本を中心に見られていたようですが、現在は関東でも見られ、徐々に分布が北上しているそうです。
背中の模様がパンダに見える、と言われていますが、確かに、燕尾服を着たパンダのようにも見えますね。
そして、こちらはシロテンハナムグリ。北側の正門近くを元気よく歩いていました。
このほかにもバッタが芝生の中を飛び回ったり、これからは羽を震わせて音を出す虫たちの音色も聞こえてきます。美術館にご来館の際は、庭園にも足をのばしてみてくださいね。
さて、本日は博物館実習で来館された大学生の皆さんに、清掃など旧井上邸の日常業務を体験してもらいました。
また、「これから旧井上邸を訪れる方におすすめしたいスポット」を探していただき、写真撮影と、選んだ理由を文章にしてもらいました。ご来館の際の参考にしてみてくださいね。
旧井上邸のおすすめ紹介
T.Aさん
撮影場所:浴室
私が旧井上邸で選んだ場所は浴室です。この浴室はトイレもお風呂場もあるユニットバスですが、私たちが思い浮かべているものよりも広い場所です。また、井上房一郎氏が生きていた時代は、現在浴室から見える庭園よりも木々が生い茂っており、塀も高かったため、より心が安まる場所であったはずです。秋には紅葉を見ながら入浴を楽しんでいたかもしれません。浴室は庭園からご覧いただけますので、ぜひ一度見学にお越し下さい。
(スタッフ註:浴室の湯船は、庭園に面したガラス戸に接近した位置にあります。浴室内部はガラス戸越しにご見学いただけます。)
S.Nさん
撮影場所:仏間から茶室までの小道
緑が生い茂る仏間から茶室までの小道の光景は、ターミナル駅が近いこの辺ではなかなか見ることが出来ない光景だと思いました。小道の両側に生える小さな竹林は、特に見られないものでしょう。そんな緑の間から見た、旧井上房一郎邸は、よりきれいなものに見えます。また、茶室入口の石も、そのまま残されています。自然あふれる庭園を視覚でめいっぱい感じることが出来ます。主屋の方は、入った瞬間のにおいが独特だなと思います。嫌なものではなく、祖父母の家のような、もっと古い歴史を感じられるにおいだと思いました。
H.Fさん
撮影場所:玄関
旧井上邸の玄関から建物の様子を見てみると、窓が多く、外観から開放的な空間であることがわかる。庭園の樹木が建物の後ろから見えることによって、庭全体を結び、自然の中に溶け込むような風景を感じられる場所である。建築と庭を調合した雰囲気を味わえると、玄関からの眺めを通して実感した。また、シンプルな建築様式でありつつ、日本の風情を体験できるような視点であると考えられた。
(スタッフ註:現在、ご観覧の際には「パティオ」から邸内にお入りいただきますが、井上氏が生活していた当時は、来客は北側の正門から敷地に入り、写真手前から建物に続く石畳を進み、邸内へと入っていました。)
M.Mさん
撮影場所:和室
私が旧井上邸で一番魅力に感じたのは和室です。照明と、大きな窓から見える庭園、畳が一体となって、とても落ちつく場所に感じられるはずです。この和室は、旧井上邸の元となったレーモンド自邸にはない、旧井上邸オリジナルの部屋で、主に奥さんが茶室として利用していたそうです。そのため普段あまり見る機会のない、小さな囲炉裏の「炉(ろ)」のための「炉畳(ろだたみ)」を見ることができます。ぜひ一度訪れてゆったりとした時間を過ごしてみて下さい。
高校生と庭園の紅葉 2021年11月18日
旧井上邸の庭園には数種類の楓の木があり、樹高や葉の大きさ、色づきのタイミングなど様々です。
こちらは主屋和室前の大きな楓の木。
大きな葉が真っ赤に染まるこちらの木は、だんだんと赤くなってきています。
お茶室付近の楓は、背の低い楓は黄色くなり始めましたが、左隣の背の高い楓はまだ緑の葉が多い様子。
北側の物置近くの楓も、まだ紅葉は部分的のようです。
庭園全体が見頃になるのはもう少し先のようですが、着実に季節が進んでいることを感じられます。
ケヤキ近くの椿が咲き始めました。
庭園ではサザンカもあちこちに咲き、これから冬時期の花々を楽しめそうです。
さて、本日は吉井高校の生徒3名が職場体験に来て、旧井上邸のお仕事を体験しました。落葉清掃や室内清掃のほか、広報として、「これから旧井上邸にいらっしゃる方へ向けた旧井上邸のおすすめポイント」の写真撮影と文章作成にも取り組みました。ぜひ、ご一読くださいね。
旧井上邸のおすすめ紹介
Aさん
撮影場所:庭園(お茶室を臨む)
茶室周りには様々な種類の植物があり、秋には紅葉が色づき、カラフルでとても自然豊かな庭園になっています。たくさんの植物を見ることができるため、より一層楽しめると思います。
Tさん
撮影場所:庭園(竹林付近)
色々な植物が育っている旧井上邸の庭ですが、時間が空いたら気軽に立ち寄ることができる駅周辺の美術館で豊かな自然を感じられる場所はここしか無いと思うので、是非一度来てみることをおすすめします。
Mさん
撮影場所:寝室
旧井上邸の中はとてもシンプルでおちついています。とくに私は寝室が印象にのこりました。理由は、窓が大きく開放的で窓から見える景色がきれいだったからです。旧井上邸は開放的で色々な所から外が見えますが、私は寝室から見える景色が一番好きでした。みなさんもぜひ旧井上邸に来た時には景色を見ていってください。
庭園の来訪者 2021年11月14日
朝晩涼しくなってきましたが、庭園では元気な生き物の姿が見られます。
こちらはエサキモンキツノカメムシ。北側の窓にくっついていました。
赤茶色の背中にハートのマークで知られる1cm程のカメムシです。
写真を回転させると、ハートのマークがわかりやすいですね。
カメラを向けると、元気に動き出しました。
さて、こちらはメジロ。
大きな楓の木の中にひっそりと隠れていましたが、首を左右に振り、周りを警戒している様子。
木陰の暗がりの中で、目の周りの白い模様がより一層目立っていました。
旧井上邸は間もなく紅葉シーズンを迎えます。また、様々な小鳥も増える時季になります。
暖かい格好で、是非庭園散策をお楽しみください。
実がなる季節の旧井上邸 2021年11月10日
すっかり秋の庭園では、楓の紅葉にはまだ早いのですが、至るところで季節の移り変わりを感じられます。
庭園を歩いてみますと、さまざまな種類の赤い実がなっていました。
こちらは北側のモチノキ。あまりたくさん実がつかないのですが、1~1.5cmくらいの大きさの朱赤の実が目を引きます。
モチノキの近くには、低木のマンリョウの実。
まだ完全には真っ赤になっていないようです。
そして、こちらは柿。だいぶ落ちてしまいましたが、橙色の艶やかな実が枝先についていました。
画像中央辺りに、ぽつんと、柿の実。
そのほかにも、ソヨゴや、茶色いドングリなど、秋の庭園では様々な実が見られます。
美術館にお越しの際は、美術館で小さな丸い秋を見つけてみてくださいね。
旧井上邸で見られる虫たちと、博物館実習 2021年8月19日
例年春~夏は虫たちの季節。今年も庭園では、様々な虫たちを見かけました。
7月下旬、木陰の楓の葉の上で、アオスジアゲハが休んでいました。
普段は飛翔スピードが速く、なかなか写真に収められないのですが、この日は木陰でじっと涼んでいるようでした。
翅の青白い模様が、清涼感があり、夏の暑さを忘れさせてくれるようです。
足元に目を向けると、アカスジキンカメムシの姿が。
残念ながら、死んでしまっているようでしたが、緑色に赤い模様が目立ち、約2cmほどの小さい体ながら目を引きつけます。
別の日に見かけたこちらは、さらに小さな、約1cmほどのセマダラコガネ。
つやつやとした丸い茶色の体がかわいらしいです。
8月中旬、庭園で風に揺られている草に、なにやら真っ白い物がくっついていました。
よく見ると、ショウリョウバッタの抜け殻でした。とても軽く、すぐに風に飛ばされてしまいましたが、拾って観察してみると、脱皮の際に出来た背中の割れた箇所や、脚の毛のような部分など、しっかり確認することが出来ました。
7~8月はショウリョウバッタが特に多く見られるのですが、大きさは様々。
写真左は傘の柄に乗っかるほどの小ささ。一方写真右は10cmくらいの、とても大きなものでした。
庭園では芝生などで見つけることができます。
さて、本日は博物館実習で来館された大学生の皆さんに、「これから旧井上邸を訪れる方におすすめしたいスポット」を探していただき、写真撮影と文章作成に取り組んでもらいました。ご来館の際の参考にしてみてくださいね。
旧井上邸のおすすめ紹介
H.Kさん
撮影場所:居間
開放感がありつつも、あたたかみのある居間の雰囲気がお気に入りです。アントニン・レーモンドの妻である、ノエミ・レーモンドのデザインした、モダンでありながらもくつろげるデザインの家具が、この空間の魅力を一層引き立てているように感じました。また、井上房一郎氏が生前、この居間を客室として主に使用されていたというお話を聞き、お客さんを交えて談笑しているような風景を思い起こされました。私の家にもこんな雰囲気の空間があったらなぁと羨ましく思います。
(スタッフ註:現在「居間」と呼んでいる部屋は、企業の社長であった井上房一郎さんは来客を迎える応接間として、またプライベート空間として、様々に使用していたようです。)
N.Kさん
撮影場所:和室
他の部屋とは様相の異なる独特な照明が印象に残ったため、この和室を撮影しました。イサム・ノグチがデザインしたライトが照らす、この一室は、レーモンドの自邸兼事務所には見られなかったものであり、井上房一郎氏のこだわりが特に強く表れている場所と言えます。障子を開くと庭園の風景を額に入れられた絵画のように見ることができるのも魅力の一つです。四季の移ろいとともに変化していく景色が旧井上邸を一層美しいものにしています。
N.Sさん
撮影場所:居間
椅子に座り、外に目を向けると、夏の青々とした木々を眺めることの出来る、素敵な場所です。窓を開けると涼しい風が入り、地面まで見えるため、庭園の中にいるような感覚になります。リラックスして本を読んだり、お茶を飲みながら井上さんがゆったりとした時間を過ごしていたのではないかと感じられるような空間です。
S.Nさん
撮影場所:木材同士の接合部、金具
木材の接合部に着目しました。伝統的な日本建築では釘やボルトなどを使わず木材同士を組み合わせて接合する方法が多く見られますが、旧井上邸では金具が使われていました。当時の日本ではなかなかボルトなど金具を手に入れることは難しかったそうですが、井上さんは地元の鉄工所にオーダーメイドで作ってもらったそうです。細部までこだわり抜いた住宅ということで、そういった細かい部分にも注目してみると面白いなと思いました。
A.Hさん
撮影場所:居間
居間の一角の写真です。居間の南側にある開口部から、自然豊かで美しい庭園を眺めることができます。そして、旧井上邸の元となる、「笄町の自邸」を建築したアントニン・レーモンドのスタイル空間にレーモンドの妻、ノエミ・レーモンドのデザインした家具が配置されています。客間として使われた部屋でもあり、井上房一郎氏をはじめ多くの人が邸宅と庭園を楽しんだ場所ではないかと考えます。障子を開け放ち、椅子に座ってみえる景色を想像しながら撮影しました。ぜひ一度ご覧ください。
(スタッフ註:旧井上邸では、井上房一郎さんや井上家が所有していた家具を展示しており、なかにはノエミ・レーモンドの家具もあります。上の写真では、丸テーブルと帽子を置いている椅子がノエミデザインです。)
R.Hさん
撮影場所:寝室
東京麻布笄町の、レーモンド事務所兼自宅を写した部屋です。寝室として使われていた場所で、ソファーベッドが2つ縦に並び、窓際は西洋の出窓のようなカウンター状になっています。居間の広々とした開放感のあるつくりとは対照的に、寝室は落ちつきのあるスペースになっています。窓の面積は大きくとられ、美しい庭園がよく見えます。和洋が入り混じった内装や、自然との調和など、旧井上房一郎邸の魅力がよく分かる部屋となっています。
花々と虫たちで賑わう庭園 2021年6月13日
間もなく梅雨に突入しそうな時季になりました。
旧井上邸庭園では、今年も椿・梅に続き、花々が庭園を彩りました。
こちらは、美術館展示室から庭園へ出てすぐの生け垣のツツジ。
5月中旬に見頃を迎えました。
濃いピンク色が鮮やかです。
例年6月に咲くツツジも。庭園芝生の石の上に咲くツツジです。
こちらはややオレンジがかった優しい色味。
6月に入り、紫陽花が色付いてきました。紫陽花はこれからどんどん色が変化し、長く楽しめます。
5月下旬、ツツジが満開の頃、黒いアゲハチョウが飛んできました。
優雅にふわりと飛んできて、熱心にツツジの蜜を吸っている様子。
カラスアゲハのようです。翅の青色の部分がメタリックに輝いてとても美しい蝶です。
一方のこちらは、カギバアオシャクという蛾。
若葉のような、エメラルドグリーンのようでもある、鮮やかな緑色が特徴です。
旧井上邸のパティオのガラスに留まっていました。薄暗い中でひときわ目立ちます。
蛾は、苦手な方もいるかと思いますので、最後に可愛らしいテントウムシをご紹介。
黄色とオレンジ色がまざったような色味の、ナミテントウのようです。
旧井上邸の大きな門のふちを、小さな体で一生懸命のぼっていました。
これから梅雨に入ると、虫たちは息を潜めてしまうかもしれません。
夏にはきっと、セミたちの鳴き声が響き、賑やかさが戻るでしょう。
美術館にお越しの際は旧井上邸庭園散策もぜひお楽しみください。
※6月14日(月曜)~25日(金曜)まで展示替えのため、美術館・旧井上邸ともに休館となります。
6月26日(土曜)からの企画展「メモリーズ」にあわせてぜひお越しください。
2月の庭園の様子、そして春へ 2021年3月12日
2月2日に梅の開花が始まり、2月中旬頃から3月上旬まで、梅の花が見頃を迎えていました。
2月2日 庭園南側の梅
2月10日 庭園南側の梅
2月19日 庭園南側の梅
2月20日 庭園北側の梅
3月上旬に満開となり、室内から眺める景色も風情を感じます。
3月7日 寝室からの庭園風景
3月7日 庭園南側の梅
3月7日 庭園南側の梅
同じ頃、アセビも可憐な花をつけはじめ、庭園は花の季節となりました。
時にはシジュウカラなどの小鳥やヒヨドリなども遊びに来ています。
こちらはシジュウカラ。二羽、楓の枝に留まっています。
3月上旬に、中低木の剪定を行いました。
お茶室方面の植栽や椿の生け垣など、形が整い、緑の葉がいきいきと見えます。
また、庭園の様々な種類の椿が順々に咲き誇り、春の到来を知らせてくれています。
美術館にお越しの際は庭園の花々もぜひお楽しみください。
赤色があふれる庭園 2021年1月23日
大寒の時季を迎え寒さが厳しい日々ですが、旧井上邸庭園では、サザンカなど赤色の花々があちこちで咲いています。
朝晩は氷点下になることもありますが、赤色の花々を見ますと、心が温まるような気がします。
こちらはアオキの実。つややかで目を引きます。
和室前の大きな楓は、すっかり紅葉の見頃を過ぎた今も、まだ赤い縮こまった葉がたくさんついています。
本日は久しぶりの雨模様。和室の室内から外の楓を見ますと、濡れた楓の葉と周辺の緑の葉の色が濃く見え、季節外れの紅葉狩りのような気分を味わえます。
さて、そろそろ気になるのが、梅の花。
1月中旬頃には小さなつぼみがだんだんと膨らみ、20日を過ぎると白い花弁が見え始めたつぼみもありました。
梅の花は、例年2月中~下旬頃見頃を迎えます。
美術館にお越しの際は、春が近づく庭園にも、足をお運びくださいね。
旧井上邸へは以下をご確認の上ご来館ください。
旧井上房一郎邸開館に関するお知らせ
紅葉の様子と高校生目線の旧井上邸の魅力 2020年11月18日
朝晩の寒さが厳しくなると、紅葉シーズンの到来です。
高崎市街地の中では紅葉の見頃が遅めな旧井上邸庭園ですが、だんだんと色づき始めました。
主屋和室前の大きな楓の木は、例年11月下旬~12月上旬が見頃。
もう少しで真っ赤になりそうです。
カンツバキは見頃を迎え、寒さの中に生命力を感じ元気をもらえそうです。
日中は庭園散策にぴったりな気候が続いています。
展覧会とあわせて庭園にもぜひおでかけくださいね。
さて、本日は県立吉井高校の生徒2名が職場体験にいらっしゃいました。
庭園の落葉清掃のほか、広報として、「これから旧井上邸にいらっしゃる方へ向けた旧井上邸のおすすめポイント」を見つけて、写真撮影と文章作成にチャレンジしました。
これからお越しくださる方も、ご来館いただいたことのある方も、参考にご一読くださいね。
旧井上邸のおすすめ紹介
Kさん
撮影場所:居間(照明)
「旧井上邸の居間は、暖かい色の照明で照らされ、誰もが心を落ちつかせることのできる空間になっています。優しい色の光をはなつ照明は、下から見てもまぶしくない作りになっており、建築家の心づかいがうかがえます。
また、居間から見ることのできる庭園の四季折々の風景も、旧井上邸の魅力の一つです。旧井上邸の自然豊かな庭園と、工夫の凝らされた邸内は、実際に足を運ぶことで分かる発見がたくさんあります。」
(スタッフ註:旧井上邸の居間・寝室では、アントニン・レーモンド夫人のノエミ・レーモンドデザインの照明が吊されています。現在、電球はシルバーが下半分を覆うデザインのものを使用していますが、元々は、下部のシルバーはなく、ベルトのようにシルバーが巻かれているデザインのものが使用され、直接電球を見てもあまりまぶしくなく、それでいて優しく部屋全体を照らしていたようです。レーモンド夫妻のこだわりが伝わってきますね。)
Sさん
撮影場所:寝室
「私は旧井上邸の寝室を撮りました。理由は、イスやテーブル、ベッドから、井上房一郎氏が生活していた時の情景が想像できたからです。窓が大きく、庭園に植えてある植物をしっかりみることができます。季節によって葉の色が変わったり、雪が積もったりと、そのような変化を存分に味わうことができ、良いなと思いました。自然光もたくさんはいってくるので、そこも魅力だと思っています。」
旧井上房一郎邸は現在、新型コロナウイルス感染防止対策のため、美術館開館日に事前予約制での邸内観覧を行っています。
庭園内は予約なしでご覧いただけます。
旧井上房一郎邸開館に関するお知らせ
秋の気配を感じる旧井上邸 2020年10月16日
10月に入り雨天・曇天が続くと、すっかり気温も下がってきました。
夏に鳴り響いていたセミの声が落ち着いて、地面の辺りから秋の虫の音色が聴こえてきます。
10月上旬、金木犀の花が優しい香りを漂わせていました。
ちょうど開花の頃に雨天が続き、あっという間に見頃が終わってしまったのが残念です。
空を見上げると、柿の木の葉が色づき始め、よく見ると柿の実も橙色になってきました。
写真の左のほう、丸々と育った柿の実が見えます。
軒下で上を見上げると・・・
カマキリです。ハラビロカマキリのようです。
すっかり虫の数は減りましたが、季節の移ろいの中、柿の実の成長やカマキリから生命力を感じます。
足元を見ると、楓の葉とどんぐりが。
黄色い葉の中に、緑や橙、赤色が見えます。
これから寒くなるにつれ、屋外に出るのに身構えてしまいそうですが、赤や橙に染まった木々を見る楽しみもありますね。
最近は日の入りが早くなりました。
旧井上邸は夕方、薄暗い時間にご覧いただくのもおすすめです。
室内の照明の明かりが外にまで漏れてきて、冷えてくる時間帯に心を暖めてくれるようです。
旧井上邸は10月19日~27日まで、美術館の展示替えとあわせて休館になります。
次回展「高崎市美術館コレクション 追悼特集 時代(とき)への花束 1917→2020」会期中には、紅葉が見頃を迎えますので、展覧会と共にぜひ旧井上邸もお楽しみください。
旧井上房一郎邸開館に関するお知らせ
県立ぐんま昆虫の森昆虫専門員金杉さんに教えていただきました! 2020年8月21日
先日、旧井上邸庭園内で見られる虫について、県立ぐんま昆虫の森の昆虫専門員、金杉隆雄さんにお話しを伺う機会をいただきました。
まずは8月15日付けの「歳時記」でご紹介したシロテンハナムグリについて。
シロテンハナムグリは緑~銅色の金属色の体表面に、白~クリーム色の斑点があるのが特徴。
そして、とてもそっくりな「シラホシハナムグリ」というハナムグリもいるのです。
群馬県では、シラホシハナムグリは絶滅危惧種に指定されています。
金杉さんによれば、個体差があるため、ぱっと見ただけでは判断が難しいそう。
今年はこれまでに、庭園内で3匹見かけているのですが、いずれもシロテンハナムグリのようです。
いつかシラホシハナムグリに出会えるよう、引き続きハナムグリたちを見守っていきたいと思います。
次に、こちらはクマゼミ。寿命を迎えた個体が庭園内の仏間近くの苔の上に落ちていました。
翅のフチはきれいな黄緑色。
そして、お腹には鮮やかなオレンジ色が見えます。
クマゼミの腹部の写真
庭園内ではミンミンゼミやツクツクボウシなど様々なセミの鳴き声が響いていますが、クマゼミは「ワシャワシャワシャ・・・」と鳴くのが特徴です。
金杉さんによると、クマゼミの生息地は元々日本の南のほうでしたが、だんだんと北上してきており、群馬県内でも散発的に見られるとのこと。ただ、定着が確認されているのは現在館林市だけということでした。
旧井上邸では、ここ数年、毎年鳴き声が聞こえているような・・・。
セミの季節はそろそろ終盤、また来年も色々なセミの鳴き声が響きますように。
庭園では、秋にも蝶やカマキリが見られることがあります。
展覧会とあわせて庭園もぜひお越し下さいね。
大学生目線の旧井上邸 2020年8月20日
本日は、博物館実習で美術館に来て下さっている大学生のみなさんに、旧井上邸のお仕事を体験していただきました。
まずは庭園内の清掃、掃き掃除を行いました。
残暑が厳しいなかでの掃き掃除は、若い大学生のみなさんにも大変な作業となりましたが、旧井上邸の保存のために必要な作業と実感して頂けたようでした。
つづいて、広報活動の体験として、この「庭園歳時記」に掲載するための写真撮影と原稿文の作成に挑戦していただきました。
テーマは「これから旧井上邸にいらっしゃる方におすすめしたいポイント」です。
邸内や庭園を散策しながら、ご自身が気に入った部分を切り取り文章にしていただきました。
写真撮影の際明るさや角度にこだわりをみせる方、ご自身の思い出と重ねながら文章をまとめる方など、それぞれの目線で作って下さった原稿は、どれも作り手の熱量や温かみを感じるものに仕上がりました。
以下にご紹介させて頂きます。
旧井上邸のおすすめ紹介
Aさん
撮影場所:ブドウの実(ブドウ棚)
「裏庭のブドウ棚。そこには、暑い夏の日差しに照らされながら、いくつものブドウが実っていました。40度近い気温が連日続く厳しい日々ですが、秋の足音が確かに聞こえるよう感じました。当時のまま残されている旧井上邸ですが、巡る季節のなかで、今でも我々と共に生き続けていることを実感しました。」
Kさん
撮影場所:居間の窓から見える外の風景
「私は、居間の窓から見える、美しく手入れされた庭園と、近隣に建設されたビルの風景を選びました。旧井上房一郎邸について知っていく中で、井上房一郎の死後、高崎市の管理になるまで、一般の有志の方々が協力し合い邸宅を保存していたということに強く心を動かされました。人々の、井上邸を後世に受け継ぎたいという気持ちが今日まで続き、この風景を見ることができました。現在、旧井上邸の周辺はコンクリートの建造物が建ち並んでいます。昔と今、どちらが良かったか、ということではなく、進んでいく時代の中で、自分が大切にしたいものを信じて行動していきたいと感じました。」
Kさん
撮影場所:居間の家具
「私事ですが、自分の部屋の電気に不満があるんです。自分で選んだものではなく、母か妹が選び取り付けてくれたのですが、LEDライトむき出しで非常にまぶしいのです。朝の陽差しも負ける程なので、朝も夜も同じ風景に見えちゃいます。そんな訳で、この旧井上邸にある照明にすごく惹かれました。直接電球の光を浴びるのではなく、板に反射させて部屋を照らす・・・。家具も素敵なデザインのものばかりで、全体的に柔らかい雰囲気だなと思いました。こんな部屋でアイスコーヒーなど飲んでくつろげたら最高ですね。」
Tさん
撮影場所:廊下と窓
「印象に残ったのは、外から見える景色と光のやわらかさでした。障子が張られた窓が続く、一本の廊下の端から見えるのは、玄関から外に向かう景色です。庭とは正反対ですが、当時この場所から来訪者を見かけることもあったかもしれません。ノエミ夫人がデザインを手がけた照明や棚に囲まれた、この家での生活が思い起こされるような情景を感じて頂けたらと思います。」
(スタッフ註:ノエミ夫人はアントニン・レーモンドの奥様で、イラストやインテリアの仕事に携われ、レーモンドの建築にはノエミ夫人のデザインの家具や照明、テキスタイルなどが多く使われています。)
Fさん
撮影場所:旧井上邸からお茶室に向かう道
「美術館、あるいは旧井上邸から出て飛び石を伝っていくと、お茶室に近づくにしたがって緑が生い茂っています。その道の脇にはいくつかの灯籠や小さな井戸、ししおどしなどが点々とおかれ、私たちをお茶室の入り口へ導いてくれます。お茶室に入る前の心を静めてくれるような静かな雰囲気に心が穏やかになりました。昔の人は、お茶室に入る前の道を、お客さんに”見てもらうための道”としてつくって、そこにどんな物があったかや、道の趣がどうだったかということを、話の種にしていたらしいです。このお茶室では一体どんなことがお話しされていたのでしょうか・・・。」
生き物が遊びに来ています 2020年8月15日
8月に入ってようやく梅雨明けとなり、旧井上邸の庭園では、セミの声が鳴り響いています。
夏にはさまざまな虫たちが集まる旧井上邸、今回は7〜8月に見られた虫をご紹介致します。
こちらはツマグロヒョウモンという蝶です。旧井上邸の開館準備中に、入り口であるパティオに現れました。開館を今か今かと心待ちに、中を覗き込んでいるようです。
続いては、こちらもパティオに舞い込んだトンボ。
逆光でわかりにくいですが、緑みを帯びた複眼から、おそらくシオカラトンボと思われます。
シオカラトンボと似ていますが、下の写真はオオシオカラトンボ、黒っぽい複眼、翅の付け根、翅先が特徴です。
梅雨明け後の連日の猛暑の中、キラキラと輝く甲虫も訪れています。
こちらは緑みを帯びた銅のような輝きのある体に白い斑点の虫、シロテンハナムグリのようです。
体長は25mm近くありましたが、石の上でじっとしていたため、体に周囲の樹木などが映り込んで風景に溶け込み、注意しないと見逃してしまいそうです。
涼しい木陰へ運ぼうと触れたら元気よくじたばたと脚を動かしていました。
一方、12~3mmの可愛らしいハナムグリも。
コアオハナムグリのようです。濃い緑色の体が、小さい体ながら目を引きつけます。
よく観察すると、おしりの方に細かい毛が生えています。
こちらは、青蜂の仲間、オオセイボウ。(室内で撮影しています)
「オオ」と言っても、体長は16mmほど。青い色が光の加減で紫にも緑にも輝きます。
土の上に仰向けに転がっていて、残念ながら顔がなくなっていたのですが、体の内側や足までキラキラとメタリックカラーで目を引きました。
自然界の生き物には、まるで作り物のようにも見える不思議な色・特徴を持つものがいることを改めて実感します。
まだまだ暑い日が続き、庭園散策も日差しが気になりますが、美術館にお越しの際は庭園にも足を伸ばしてみて下さいね。
※庭園には蚊や毛虫などもいますので、虫除け対策など十分お気をつけて散策してください。
事前予約制で邸内観覧できます 2020年7月4日
旧井上房一郎邸は、新型コロナウイルス感染防止対策のため、美術館開館日に事前予約制での邸内観覧を行っています。
庭園内は予約なしでご覧いただけます。
旧井上房一郎邸開館に関するお知らせ
さて、美術館では本日より企画展「FLOWER」が始まり、旧井上邸も皆様にご観覧いただいております。
7月3日までの展示替え期間中は、旧井上邸では庭園のメンテナンスを行なっていました。
中低木の剪定や、高木の剪定、樹木の消毒作業など。
高木の剪定は、作業員の方がかご付きのクレーンに乗ったり、脚立でしか作業できない場所は脚立や木に登ったり・・・見守る側がハラハラしてしまいますが、いつも安全に気を配り作業してくださいます。
樹木が整った庭園では、くちなしが見頃を迎えました。
紫陽花も、落ち着いた雰囲気の旧井上邸に彩りをそえています。
これから夏に向けて、庭園は花が少なくなりますが、ラウンジでは「FLOWER」展に合わせ「旧井上房一郎邸のFLOWER展」と題し、庭園で四季折々に見られる花々をご紹介しています。
水分補給の休憩がてら、ご覧になってくださいね。
椿、そしてもうこの季節 2020年4月3日
展示替え休館中の旧井上邸ですが、庭園では目を見張るものが続々と現れています。
まずは、椿。
庭園の南側、主屋と並ぶ椿の生け垣には何種類かの椿が植えてあり、時期をずらしながら開花していくのですが、今日目に飛び込んできたのは、
離れた場所からでも、葉っぱに隠れていても、存在感のアピールがすごい花。
そっと、花を出してみると、なんとも大きな椿です!
近くにあったつぼみは、鶏のたまごくらいの大きさ。
旧井上邸庭園の椿は、ほとんどが女性の握りこぶしにすっぽりおさまるほどの大きさ。
(旧井上邸でよく見られるサイズ)
今回の花のサイズはかなり目立ち、見る人を引きつけます。休館中なのがなんとも残念・・・。
そしてもう一つ、本日ついに、この子が現れました!
竹林の土の中からツノが出ています。
いよいよ、たけのこの季節です!
例年4月10日頃から見られるようになるので、今年はたけのこの成長も早いようです。
つい先日雪が降ったのに、すっかり春が近くに来ていました。
美術館開館の折には、ぜひ季節を感じに、旧井上邸へもお越しくださいね。
雪化粧の旧井上邸 2020年3月29日
3月下旬に入り、高崎市内でも桜の開花が進む中、本日は冬に逆戻りのような寒い一日となりました。
開館前、雪が降りしきる旧井上邸。
景観の変化に見とれつつ邸内に入ると、窓の向こうに美しい景色が。
庭園では、見頃の椿が凍えているようにも見えます。
撮影を楽しんでいるうちに、降雪が進み、幻想的な風景になりました。
季節の移り変わりをを惜しむ「なごり雪」でしょうか。
「シャガール展」最終日にふさわしい、雪化粧の旧井上邸を楽しむことができました。
満開の梅と旧井上邸で見られる鳥たち 2020年2月28日
例年より早く開花した旧井上邸の梅は、2月下旬に差し掛かり、見頃を迎えました。
こちらは2月19日、北側の梅の木の花。
こちらは、2月21日の南側の梅の花の様子です。
このときはまだ満開には早かったですが、2月24日には、
すっかり見頃を迎えました。
そんな梅の木には、かわいいお客様が。
2羽のメジロが梅の花をついばんでいるのですが、見えますでしょうか。
旧井上邸庭園で見られるメジロは、つがいなのか、2羽で行動していることが多く、見ていると温かい気持ちになります。
今月は色々な小鳥たちが遊びに来ています。
シジュウカラ
ジョウビタキ
ヒヨドリ
シメ
こちらのヒヨドリは下から撮影した影響もありますが、ずんぐりと丸いフォルムが愛らしいです。
シメは庭園で見かける機会が少ないので、旧井上邸のレアキャラです!
庭園散策の際は、小鳥たちにも目を留めてみてくださいね!
梅が咲き始めました!学生目線の旧井上邸の魅力もご紹介 2020年2月14日
2月6日に、庭園北側の梅の木の花が開花し始めました。
例年より10日前後早い開花となりました。
そして開花より8日ほど経った本日14日には、かなり開花が進んできました。
庭園北側の梅
庭園南側の梅
庭園北側の梅は開花が早く、やや大きめの花が重なり合うように咲いていきます。
南側の梅は開花がゆっくりですが、小ぶりの愛らしいお花が咲きます。
いずれも見頃は1~2週間後頃でしょうか。
庭園には他にもサザンカや椿などが咲き、お客様をお待ちしています。
また、冬の間は静かな庭園でしたが、小鳥のさえずりがさあちこちで聞こえてくるようになりました。
次回、梅の開花状況と共に、庭園で見られる小鳥たちをご紹介します。
さて、本日は、県内の大学生がインターンシップで美術館・旧井上邸の職場体験をしてくださいました。作業中に、旧井上邸の魅力について探して頂きました。
これから旧井上邸にお越しになる方は、見学の参考にしてみてくださいね。
旧井上邸のおすすめポイントの紹介
Y.Mさん
撮影場所:居間
「中に入ってみると、外見から想像していたよりも和風と洋風が混ざっていて「昔の家」という感じではありませんでした。どの部屋も大きな窓がついており、木の柱が窓枠の内側に立っているので障子をすべて開けて庭の植物を楽しめるというのが工夫されているなと感じました。廊下側にも大きな窓が続いており、建物のどこにいても外の景色や太陽光が入ってくるため、とても開放感のあるつくりになっています。
また、国語の授業で井上さんの「間の思想」を勉強したことがあったのはおどろきでした。」
(スタッフ注釈:邸内で井上房一郎著『井上房一郎 私の美と哲学』(あさを社、1985年)より、「間(ま)の思想」の一文をパネルでご紹介しています。本日ご来館の学生さんは県外出身の方でしたが、小中学生時代、先生から井上房一郎氏のこの思想について紹介されたそうで、記憶が甦ったとのことでした。)
展示替え中の旧井上邸庭園 2019年12月7日
11月24日まで開催していた「詩をかたどる、詩をきざむ―祈りの庭へ。」展では、旧井上邸での作品展示もあり、多くの方に旧井上邸へお越し頂きました。
最終日には、紅葉もだいぶ色付き、深井先生の作品とともに庭園の景色もお楽しみ頂けたようです。
詩をかたどる展最終日の庭園の様子
和室の様子
さて、11月25日~12月6日は展示替えのため、旧井上邸も休館となっていました。
その間の紅葉の様子をご紹介いたします。
11月26日、更に楓の葉が色付き、和室前の大きな楓が真っ赤になりました。
11月26日の庭園の様子
和室の様子
11月29日、落ち着いた色の主屋に赤い葉が映えます。12月3日は作業のためライトアップ。
11月29日、楓と主屋
12月3日のライトアップの様子
12月6日、お茶室近くの楓が朱色がかった赤色になり、見頃を迎えていました。
同じくお茶室近くの大きな楓の木を見上げると、小さな葉が緑~橙色と、様々な色で楽しませてくれます。
12月6日、お茶室近くの楓
お茶室近くの大きな楓
そして12月7日、展覧会「60s→80s」初日には、竹林の間の通路で、真っ赤な楓と黄色・橙色の楓の共演が楽しめました。
12月7日、竹林付近の楓の様子
旧井上邸の紅葉はそろそろ見頃を過ぎますが、今年も木々が期間限定の美しい紅葉風景で楽しませてくれました。
庭園南側の、お茶室近くには、ヤツデの木があります。
放射状に咲く白い小さな花が愛らしいです。
ヤツデや、前回ご紹介のサザンカなど、秋冬に咲く花々を見にぜひ庭園へいらしてくださいね。
今週も中学生が見どころをご紹介 2019年11月14日
秋の庭園では紅葉した木の葉が風に舞い、もの悲しさを感じる季節でもありますが、庭園内の自然は癒やしの時間を与えてくれます。
庭園内に多く植えてあるサザンカが咲き始めました。
花の明るい色がまわりの空気まで温かくしてくれるようです。
お茶室へのアプローチ途中の楓の木は、少し色付き始めました。
今年は、北側の柿の木に、数年ぶりに実が付きました。
写真ほぼ中央に1つと、左側に2つ、実が付いています。
見上げていると小鳥が遊びに来ました。
シジュウカラのようです。
枝から枝へと元気に飛ぶ姿に心が和みます。
さて、今週も「高崎市やるベンチャーウィーク」の一環として市内の中学生2名が職場体験に来訪されました。
庭園清掃体験や看視体験のあと、「旧井上邸のおすすめポイント」を選んで、写真撮影と文章を考えていただきました。
これからご来館の方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
旧井上邸のおすすめ紹介
Iさん
撮影場所:リビング(居間)
見る前にまずはYチェアに座ってもらいたい。座った後、ゆっくり目を閉じてほしい。理由は、初めに聴覚で楽しんでもらいたいからだ。鳥の鳴き声、葉がすれる音が聴こえてくる。そしてゆっくり目を開ける。見えてくるのは日光に照らされた木々とすばらしい庭。こう今、自分しかいないように思える。いるだけで落ち着けるのが旧井上邸の良い所だと思う。個人的に正午前頃の時間が鳥達が鳴き始めるし、風もでてくる良いタイミングだと思う。
(スタッフ註:写真のテーブルセットの椅子がYチェア(ワイチェア)です。こちらの椅子は鑑賞時にお掛けいただけますので、その日その時の鳥や風の音をぜひゆっくりお楽しみください。)
Oさん
撮影場所:和室
旧井上邸は庭園も含め全体的に落ち着いたしずかな雰囲気をただよわせています。その中でも寝室のとなりにある和室は特にそのような雰囲気をかもしだしています。その和室の中から見える外の庭園のけしきはなんともいえない良い気持ちにさせてくれます。
秋にも昆虫がいます&中高生目線の旧井上房一郎邸 2019年11月7日
朝晩冷え込むようになり、そろそろ虫の音も静かになる時期ですが、10月、11月も昆虫たちが姿を見せてくれています。
10月下旬にさしかかった頃、ハラビロカマキリが遊びに来ました。
その名の通り、お腹部分の幅が広いカマキリです。
昨年現れたカマキリと比較してみると
2018年カマキリ
2019年ハラビロカマキリ
角度がやや違う画像ではありますが、ハラビロカマキリの方が全体的にずんぐりとしています。
後ろ姿も、お腹がたっぷりとして、体が重そうに見えますね。
また、本日はキイロテントウも現れました。
よく見られる赤いテントウムシより一回り小さなキイロテントウ。
鮮やかな黄色が目を引きます。
そろそろ楽しみなのが、庭園の紅葉。
まだ、赤くなる準備中です。
これから12月にかけて、紅葉が見頃を迎えますので、庭園散策もぜひ楽しんでくださいね。
さて、本日は吉井高校の学生2名が、また「高崎市やるベンチャーウィーク」の一環として市内の中学生2名が職場体験に来訪されました。
美術館・旧井上邸の仕事の体験のあと、「旧井上邸のおすすめ場所」を選んで、写真撮影と文章を考えていただきました。
中高生目線の旧井上邸、なぜか4名中3名がほとんど同じ場所を選んでいました。
それぞれに工夫した文章と写真をお楽しみください。
旧井上邸のおすすめ紹介
吉井高校 Kさん
撮影場所:竹の道
私がこの場所を選んだ理由は、都会にはない感じの道で「和」を感じれる場所だと思います。一瞬、京都の嵐山の竹林のところに来ている感覚になります。その奥にあるのが仏間で、その仏間は旧井上邸が火事で全焼したときに、建て替えるまでその仏間に井上房一郎さんが住んでいたそうです。とても「和」が感じられて気持ちが穏やかになることができると思うのでぜひ来てみてください。
吉井高校 Sさん
撮影場所:北側玄関
私がこの場所を選んだ理由は、初めて見てすごく日本文化らしさが感じられたからです。この写真は旧井上房一郎邸の玄関を正面として周りの木々を写した写真です。この旧井上邸はアントニン・レーモンドというチェコ生まれの近代建築家の人の家を基に建てられた木造建築で外国の技術やこだわりがある中で日本文化が強く感じられる建築物になっています。戦後すぐに建てられた貴重な木造建築だと思うので、日本の「和」を感じにぜひきてみてください。
中学生 Aさん
撮影場所:旧井上邸北側
草木がつくる自然の芸術を楽しむことができる場所です。旧井上邸の落ち着いた温かみのある雰囲気や植物の緑、風で植物が揺れる音に心がいやされます。外が道路や建物に囲まれていることを忘れてしまう程落ち着きのある場所なので、小鳥のさえずりに耳を澄ませて石畳の上を歩くのも良いです。写真の奥にある建物は高崎市美術館です。ぜひ実際に一度来てみてください。
中学生 Hさん
撮影場所:旧井上邸北側
北側では、あまり人もいないので、すごく落ちつくし、静かで皆さんが必ず「ここすごく良いな。」って思うはずです。自分にいやしをあたえてくれます。もし、来る機会があればぜひ来てみてください。自分の好きな場所も見つけると、とても楽しくなると思います。
「詩をかたどる、詩をきざむ―祈りの庭へ。」開催中の旧井上邸室内・庭園 2019年11月1日
美術館では企画展「詩をかたどる、詩をきざむ―祈りの庭へ。」を開催しており、旧井上邸も展示室の一つとして、木彫作家深井隆さんの作品を展示しています。
邸内全室、軒下、庭園に作品を展示しています。
無機質な美術館展示室とは趣の異なる生活空間での作品展示ということで、展示位置など深井先生こだわりの展示となっています。
庭園の芝生に展示中の最新作《山の上に立つ人と橋》は、高崎の観音様をモチーフにした作品。
自然の中での展示ですので、時には可愛らしい虫が遊びに来ることも。
ショウリョウバッタが観音様を見上げています。
そろそろ秋の気配の庭園内では、ひっそりとカンツバキの花が咲き始めています。
作品鑑賞とともに、旧井上邸庭園もぜひお楽しみくださいね。
今年は生き物がが少ない?!旧井上邸庭園と、学生から見たおすすめポイントご紹介 2019年8月22日
今年は全国的に梅雨が長く、その後は毎日がうだるような暑さでしたね。
気候の影響か、虫たちも例年よりは数が少ないようで、蝶やトンボなどどこに隠れてしまったのだろうと、なんだか寂しい気持ちになります。
そんな中、元気にセミの鳴き声が響くと、夏の暑さを実感しながらも生き物の息づかいに安心させられます。
暑い毎日でも、姿をみせてくれる生き物がいました。
こちらはカナブン。コガネムシと似ていますが、顔が四角いのが特徴です。
一方こちらは、青い模様が美しいアオスジアゲハ。
開館時に、蜘蛛の巣に引っかかっているところを発見しました。
まだ元気に翅を動かしていたので、このあとスタッフが巣から助けたところ、元気に羽ばたいてくれました。
さて、今週は美術館に博物館実習の大学生が来館しています。
本日はお越しいただいている学生に、旧井上邸のお仕事を手伝っていただきました。
雨が降ったり止んだりでしたが、清掃作業等、熱心に取り組んでくださいました。
また、広報活動の体験として、これから来館されるお客様へ「旧井上邸のおすすめしたいところ」を選んで、写真撮影と原稿作成もチャレンジしていただきました。
カメラの設定やアングルにこだわりながら撮影したり、情景が目に浮かぶような文章になるよう推敲を重ねてくださったり、力作揃いとなりました。
ぜひ、旧井上邸見学の参考にしてみてくださいね。
旧井上邸のおすすめ紹介
R.Aさん
撮影場所:玄関のライト
「今日は朝から雨が降り続いていた。美術館の展示を見終え、旧井上邸に足を運ぶ。軒下の砂利に雨水が当たる音に耳を傾けながら玄関に向かう。私は差していた傘を閉じ、顔を上げる。あたたかく光るライトが目に入る。そのライトの形は丸く、まるで太陽のようであった。その光に吸いこまれるように私は旧井上邸に入る。しばらくライトを眺めていると、解説の方がアントニン・レーモンドの妻のノエミがデザインしたものだと教えてくれた。旧井上邸を回り終わる頃には雨が止み、セミが鳴き始めていた。玄関から出ると空には日が差していた。」
(スタッフ注釈:現存のレーモンド建築で、レーモンドの事務所や別荘として建てられた建築物には、旧井上邸のこちらの照明と同じように丸い照明が使用され、ノエミによるデザインと考えられています。)
T.Eさん
撮影場所:パティオ
「現在旧井上邸の玄関口となっているパティオでは、実際に使用されていた当初、天気の良い日にはここで食事をとることもあったといいます。パティオからは庭園をを眺めることができるため、井上房一郎氏も今と同じような景色を見ながら食事をとっていたことと思われます。この空間は左右に部屋があり、広さも決して広いとは言えないスペースではありながらも、庭と地続きになっていることで、圧迫感はなく落ちついた時間が流れているのを感じることができます。パティオからの景色はまるで額に入った絵画のようで、旧井上邸を鮮やかに飾っています。画面は四季によって変化し、それもまた楽しみの一つと言えます。8月も終わりに近づき、長雨の時期に入ろうとしていますが、雨に濡れた木々の葉は青々として美しく、旧井上邸の魅力の一つとなっています。」
(スタッフ注釈:母校高崎高校の学生など、若者への文化・芸術の指導・支援に熱心であった井上氏は、彼らを自宅に招いてパティオで食事を振る舞うこともあったそうです。)
M.Hさん
撮影場所:寝室のソファーベッド
「私がみなさんに見ていただきたいと思った作品は、居間と寝室にあるソファーベッドです。このソファーベッドはレーモンドの妻であるノエミ・レーモンドが手掛けたものです。足元にキャスターが付いているため、手前へ引き出すとベッドとして、押し入れるとソファとして使用することができます。周辺に備え付けられている棚や引き出しとも見事に調和しており、そのデザイン性と実用性から、思わず私も同じ物を部屋に置きたいと考えてしまいました。作品の都合上、ソファーベッドを動かしたり腰掛けたりすることはできませんが、当時の生活に想いを馳せながら鑑賞していただけたらと思います。」
R.Hさん
撮影場所:台所(屋外より撮影)
「私がおすすめしたい場所は台所です。この空間は実際に中に入ることはできませんが、外側から窓ガラス越しに室内の様子を見学することができます。手前に見える飴色の食器や、長い柄の蛇口、収納扉のデザインなど、祖父母の家で見たような空間に懐かしさを感じたため、こちらの場所を撮影しました。食器やシステムキッチンなど、建築当時のものではないそうですが、昭和の時代のものもあり、昔の暮らしぶりがうかがえます。また、窓ガラスに反射する庭園の樹木も緑色のグラデーションが鮮やかで、散策するのとはまた違った景色が季節ごとに味わえるのではないかと思います。旧井上邸を訪れた際には、窓ガラス越しに室内を鑑賞してみるのも新たな魅力が発見できて良いかもしれません。」
樹木剪定と、見頃を迎えた紫陽花 2019年6月12日
5月・6月に、庭園内の高木剪定・中低木剪定を行いました。
まずは高木の剪定作業の様子です。
大きく育ったケヤキなどは、大型の作業車両を車道に横付けにして作業していただきました。
来館されたお客様にはご迷惑をおかけしましたが、これほど大規模な作業は数年毎にしか行わないので、貴重な様子をご覧いただきました。
旧井上邸をぐるりと取り囲む樹木も、すっきりと剪定していただきます。
6月中旬には、中低木の剪定を行いました。
庭園の梅の木にはたくさんの実ができていました。
色付いてくると香りが楽しめます。
庭園では、紫陽花が見頃を迎えています。
晴天でも雨天でも楽しめる紫陽花、すっきりと整えられた庭園と共に、是非ご覧になってくださいね。
生命力あふれる旧井上邸庭園 2019年5月26日
5月中旬頃から、旧井上邸庭園ではいろいろな虫たちを目にする機会が増えてきました。
まずは小さなテントウムシ。
アジサイや楓の葉の上を懸命に動き回る姿はとても愛らしく、また鮮やかな体色は緑の葉の上で存在感を放ち、写真撮影にもおススメです。
写真撮影には、もちろん蝶もおススメです。
左はナミアゲハ、右はナガサキアゲハ(オス)のようです。
アゲハチョウは優雅にゆっくりと飛び、葉の上でも静かに羽を動かすので、比較的写真に収めやすいです。
こちらは大きなアゲハチョウに負けない迫力のショウリョウバッタ。
主屋のガラス窓に止まったショウリョウバッタは7~8cmほどの大きさで、外からも室内からも、誰もが目を奪われるような存在感でした。
一方、庭園の樹木は、冬場に葉が落ちた木々に新しい葉が芽吹き、常緑樹も新しい葉へと世代交代しています。
ツツジが見頃を迎え、庭園全体が生き生きと見えます。
庭園北側の物置前のぶどう棚では、ぶどうが元気に成長しています。
右は、ぶどうの房になる部分。突起物のようなものが出ていますが、これはぶどうの花です。
ぜひ、お近くでご覧になってみてくださいね。
季節によって様々な表情を見せる庭園ですが、この時季は特に、生命力を感じられると思います。
展覧会をご覧になったあとは、ぜひ旧井上邸へ足をお運びくださいね。
「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」展終了、行楽シーズンの旧井上邸 2019年4月26日
3月31日まで開催していた展覧会「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」が終わり、通常展示となった旧井上邸。
「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」はこのあと、東北歴史博物館(宮城県)およびパナソニック汐留美術館(東京)へと巡回します。
当館所蔵のノエミ・レーモンドの照明と椅子が、巡回先へと旅をしています。
ノエミ・レーモンド 照明
ノエミ・レーモンド 椅子
椅子は、背もたれの木材が座面を突き抜けている、面白いデザインです。
開催館で是非ご覧になってくださいね。
さて、旅といえば、すっかり行楽シーズンになりました。今年のゴールデンウィークは10連休、多くの方が旅行を楽しまれるでしょう。
旅といえば写真、写真といえばSNS投稿!
旧井上邸は写真撮影可能施設です。旧井上邸で旅の思い出を撮影してSNS発信してみてはいかがでしょうか。
和室では、鮮やかな新緑の楓を楽しむことができ、趣のある写真を撮影できます。
庭園ではタケノコが成長中!ぐんぐん伸びると、表面の皮が自然にはがれていきます。
あいにくのお天気でも、撮影ポイントはたくさんあります!
軒下の雨落ち部分の黒石は、雨に濡れると色が濃く、しっとりとした雰囲気に。
楓の葉やタケノコも、雨の水滴で、より生き生きと元気に見えます。
梅の実も成長中!
本日の写真は、最初の家具の写真以外、すべてスマートフォンで撮影したものです。
皆さんもせひ、スマートフォンなどで気軽に撮影してみてくださいね!
「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」展開催中の旧井上邸の様子 2019年2月26日
2月2日より、当館では「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」を開催しており、旧井上房一郎邸も展示室の一つとなっています。
今回は、旧井上邸の展示の様子をご紹介いたします。
居間は、アントニン・レーモンドの東京・麻布笄町の自邸居間を再現した展示。
レーモンドの絵画などの作品や、インテリアデザイナーの妻ノエミデザインの家具、照明をご覧いただけます。
居間には、仲睦まじいレーモンド夫妻の写真パネルがあり、二人が公私にわたって良きパートナーであったことを想像させます。
和室では、タウト作成の日本家屋の模型を再現した、「タウトのおうち」を展示しています。
当館が用意した模型のほか、2月17日開催のワークショップ参加者の作品も並ぶ展示空間となっています。
今までに旧井上邸内をご覧いただいた方にも、新鮮な気持ちでご覧いただけるかもしれません。
ぜひ美術館展示室とあわせてご覧ください。
展示室では、竹を使った工芸品、家具などの展示があります。
旧井上邸敷地内にも、様々な場所で竹が使われています。
こちらはお茶室近く、美術館と旧井上邸敷地の間の塀。
竹が内側に施されたこちらの塀は、井上房一郎氏が生前の頃からのものです。
美術館管理の今は、塀の大部分を替えてしまっていますが、実際にはこのような塀が取り囲んでいたそうです。
また、こちら、仏間の入り口部分の天井です。
なかなか気付きにくいこのような部分にも、竹が使われ、日本家屋の風情を感じられます。
庭園には竹林もあり、近くの梅の木も花がほころび始め、庭園散策に良い時季になってきました。
展示室とあわせて、ぜひ旧井上邸もじっくりご覧になってくださいね。
新しい年、若者を迎えての旧井上邸 2019年1月23日
昨年12月、「山口薫」展から「アナザー・ストーリー」展への展示替え期間に、旧井上房一郎邸内の南側の障子を貼り換えました。
柱を敷居の外(室内側)にずらす、「芯外し」と呼ばれるアントニン・レーモンドの建築の特徴がある旧井上邸。
この「芯外し」の手法により、日頃から障子戸とガラス戸の開放位置を自在に変えるアレンジができるのですが、障子戸を外した室内から視界全体に広がる紅葉の庭園を眺めながら、改めて旧井上邸の開放感など、建築の魅力を実感しました。
房一郎さんも、室内からこんな風に季節の移り変わりを楽しんでいたのかもしれませんね。
2月2日(土曜日)から美術館で始まる次回展覧会「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」では、井上房一郎、アントニン&ノエミ・レーモンド夫妻や同時代に活躍した建築家・デザイナーをご紹介します。
美術館での展示だけでなく、旧井上邸もあわせてじっくりご覧くださいね。
年が明け、高崎市の成人式式典の日。
新成人の女性とそのご家族が、旧井上邸庭園での撮影を楽しんでいらっしゃいました。
庭園がやや寂しいこの時季に、爽やかな色の振袖が映え、庭園を華やかに彩っていました。
本日は、更に若い県立吉井高校の生徒2名が、職場体験として旧井上邸のお仕事を体験しに来てくださいました。
畳のお部屋の清掃作業のお手伝いのほか、広報活動の体験として、これからいらっしゃるお客様に向けたお二人目線の旧井上邸おすすめポイントの写真撮影・文章作成にご協力いただきました。
旧井上邸のおすすめポイントの紹介
Y.Iさん
撮影場所:茶室のある風景(旧井上邸内より撮影)
私の紹介する、旧井上邸を訪れる際に見ていただきたい風景は、居間の東にある窓から見ることができます。なぜこの場所を選ばせていただいたかというと、独立した茶室を初めて目にしたからです。最近では、居間などの生活空間の中でお客をもてなす機会が多いように感じます。そんな中でお客をもてなすための空間があること、目にしたことが衝撃でした。また、茶室の周辺の風景も見どころであると思います。生い茂る緑と奥に見える竹の塀が旧井上邸にある雰囲気をより強く感じさせてくれます。
T.Sさん
撮影場所:茶室と道
洋と和がかけ合わさった旧井上邸で、私は和の部分に着目しました。茶室の周辺は緑豊かで心がとても落ちつきます。そして少し目線を下げると石でできた道があり、きれいに整った道からは、旧井上邸が多くの人々によってきれいに、大切に保管され続けていることがわかります。
また、この茶室や庭園がレーモンドスタイルの洋室の雰囲気を壊すことなく、この洋と和が調和していることにおどろきました。
偶然にも、お二人とも茶室に興味を持ってくださったようです。
旧井上邸にお越しの際は、主屋だけでなくお茶室、仏間にも足をのばして見学してくださいね。
彩り豊かな庭園風景 2018年11月24日
旧井上房一郎邸庭園の紅葉は、ようやく見頃を迎えました。
前回掲載したお茶室周辺では、写真中央やや右の楓の樹がだいぶ赤くなりました。
まだ緑の葉が多い楓の樹もありますので、紅葉風景をしばらくお楽しみいただけそうです。
和室前の大きな楓の樹も全体的に赤くなり、間もなく真っ赤になりそうです。
紅葉に目が奪われてしまいがちですが、山茶花も見頃です!
庭園内にはたくさんの山茶花の樹がありますので、可愛らしい山茶花もぜひご覧ください。
だんだんと寒くなってきましたが、11月に入っても元気な虫たちがいました。
こちらは11月上旬に見かけた、主屋の壁につかまるカマキリ。
枯葉のような体表とは雰囲気の異なる、前足の内側の模様をチラリと見せてくれています。
中旬には、鮮やかな緑色が目を引くカメムシも。
色彩あふれる旧井上邸で、秋から冬へと変わりゆく季節をゆっくりと味わってくださいね。
美術館で開催中の展覧会「没後50年 山口薫先生からきみたちへ」は12月2日(日曜日)までの開催です。
12月3日(月曜日)~14日(金曜日)までは展示替えのため、美術館・旧井上邸共にご入館いただけませんのでご注意ください。
色付き始めました 2018年11月10日
立冬が過ぎ暦の上では冬に入りましたが、今年は気温が高く風が少ないため、長く秋を楽しむことができています。
例年旧井上邸庭園では、高崎市街地の中ではゆっくりと、11月20日以降頃に紅葉の見頃を迎えますが、今年はさらに、見頃は遅れるかもしれません。
写真の高木、けやきやクスの葉は黄色や赤に色が変わり、穏やかな空気の中ハラハラと舞い落ちて、秋の風情を味わわせてくれます。
今朝の開館前には、仏間の屋根の上に沢山のけやきの葉。
仏間の特徴とも言える苔むした屋根の上に、秋の色をそれぞれに纏った葉が降り積もり、朝日を浴びて幻想的な雰囲気です。
仏間の前の砂利道にも葉が落ちて、秋ならではの姿を見せています。
この時期、気にかけてくださるお客様が多いのは、紅葉の代表ともいえる楓の樹。
先に色が変わっていくお茶室周辺でも、見頃にはまだ早いようです。
主屋和室前の、ひときわ大きな葉の楓の樹もまだまだ青いのですが、赤く色付いた葉もちらほら見え始めました。
開催中の「山口薫展」終了近くには、見頃を迎えるかもしれません。
一方こちらは、カンツバキ。小ぶりの白い花が愛らしいです。
こちらのお花、ほとんどが下向きに咲いています。つぼみを見ると下向きに連なっているのがわかります。
居間の向かい側辺り、比較的お客様にもご覧いただきやすい場所の樹ですが、花の上に葉があり、なかなか気付かれにくいようです。
赤い山茶花も、開花の準備をしています。
これから紅葉、開花と、様々な表情を見せてくれる庭園。展覧会とあわせてぜひお楽しみくださいね。
「山口薫展」会期中は作品を展示しています 2018年9月24日
9月23日(日・祝)から、高崎市箕郷町出身の画家・山口薫を偲ぶ展覧会「没後50年 山口薫先生からきみたちへ」が始まりました。
旧井上邸も展示会場となり、和室にて作品を展示しています。
旧井上邸でご覧いただけるのは、長崎を拠点に精力的に活動されている、井川惺亮(いかわせいりょう)先生の作品です。
井川先生は、藝大山口薫教室で学んだ山口薫の教え子です。
今年はお隣の前橋市でもワークショップを開催するなど、群馬との関係を深めていただいています。
作品を展示している和室からは、庭園の楓の樹をご覧いただけます。
これから紅葉の季節を迎えますので、会期中は窓から臨む景色の変化もお楽しみいただけることと思います。
展覧会にお越しの際は、ぜひ旧井上邸へも足を延ばしてみてくださいね。
生き物と学生で賑わう季節 2018年8月23日
子ども達や学生が夏休みの時季、美術館・旧井上邸は、平日も若く元気な声で賑わいます。
旧井上邸庭園は、セミなどの虫や鳥たちの鳴く声が響き、暑さの中にも活気を感じます。
7月後半から見かけていたトンボたち。
こちらはミヤマアカネです。
7月下旬に見かけた個体と
8月中旬に見かけた個体。
雌雄の違いや個体差などがありますが、赤とんぼの一種ミヤマアカネは成熟とともに体色が変化していきます。
特にオスはこれからどんどん濃い赤色になっていきますので、庭園散策の際はトンボにも注目して見てくださいね。
こちらはショウリョウバッタ。
7~8cmはありそうなので、メスのショウリョウバッタのようです。
(オスは4~5cmほどにしか成長せず、メスより小型です。)
立派な脚と、常にこちらと目が合っているような複眼のせいもあり、人の気配にすぐ逃げていきそうですが、開館時にいたショウリョウバッタが閉館時までほとんど同じ場所にいました。
別の日には、爪の先ほどの小さなバッタの子。
瑞々しさを感じる小さな体で、芝生の中を元気に飛び跳ねていました。
細く小さな脚でしっかりと芝につかまっている様子がなんとも可愛らしいです。
さて、本日は博物館実習でお越しいただいている大学生に、旧井上邸のお仕事を手伝っていただきました。
蒸し暑い陽気でしたが、北側物置の手前にある葡萄の剪定や、畳の部屋の掃除など、熱心に取り組んでくださいました。
また、来館されるお客様へアピールしたい、「旧井上邸の素敵なところ」を選んで、写真撮影と原稿作成もチャレンジしていただきました。
ぜひ、旧井上邸見学の参考にしてみてくださいね。
旧井上邸の素敵なところ紹介
M.Oさん
撮影場所:旧井上邸の塀
「この場所を選んだ理由は、旧井上邸の『塀』にはスリットが入っていて、外から旧井上邸の様子をのぞけるようになっているところが素敵だと思ったためです。この『塀』は、新しく作られたもので、『公共性』を考えて工夫した作りとなっています。皆さんもぜひ旧井上邸の周りを歩かれる際は中の様子をのぞいてみてください。季節ごとに違った表情を見せてくれるでしょう。」
(スタッフ注釈:竹・木の奥に見えるのが塀で、縦に白く線が入って見えるのがスリットです。近くから撮影しますと歩行者が写り込むため、離れたところから撮影してくださいました。また、あえて灯籠も写真に入れて、旧井上邸の雰囲気をお伝えしたかった、との事です。)
M.Kさん
撮影場所:南側正面(竹林と灯籠、旧井上邸主屋)
「庭園から居間への続きが幽玄な雰囲気でステキだったので、この場所を選びました。井上房一郎氏の作庭による鬱蒼とした樹木が一つになっている独特の情景が伝わるような場所にしました。旧井上邸の室内の明かりも入るようにしたことで、温もりのある感じを表現できたら、と思いました。旧井上邸とその前に広がる庭園との一体感が伝われば、と思います。自然と歴史、文化が一体となった旧井上房一郎邸の魅力を発信できればと思います。」
M.Kさん
撮影場所:仏間へと向かう道沿い
「旧井上房一郎邸での一番の見所は、何と言っても、アントニン・レーモンド氏の建築スタイルを取り入れた母屋ですが、母屋を出ると、とても美しい庭園が広がっています。庭園の中でも、私は特に、仏間へと続く道が印象に残ったので、それを写真に収めることにしました。仏間へと向かう途中、まるで空へ届くかのように真っ直ぐと生き生きと育った竹がたくさん生えており、また、その中において幹が太く大きなクスノキが一本堂々とそびえたっており、植物の力強さや生命力を感じることができる景色でした。」
N.Wさん
撮影場所:旧井上房一郎邸 居間
「広々とした室内に円卓とイスが並んでいます。木を基調としたテーブルとイスは、優しい家族団欒の時間を想像させます。どんなお話をしていたのでしょうか。奥には大きな窓があり、室内を照らします。窓からは、外の庭園を見ることができ、季節の移り変わりを感じていたのではないでしょうか。秋の紅葉、冬の椿、これからの季節が楽しみです。」
Y.Wさん
撮影場所:茶室とその前にある植物
「自然豊かな旧井上邸。茶室の前にも、植物が沢山生えています。奥に見える茶室には、中に入ることはできませんが、外から中を見学することはできます。普通、植物の中に建物が一軒でもあると、景観を損ねてしまいがちです。ですが、この茶室は、違和感がなく存在し、むしろ植物になじんで趣のある景色となっている。そう思ったためこの写真を撮りました。普段茶道を習っている方は勿論、茶室とはあまり縁がないという方も、自然を見に来てみてはいかがでしょうか。」
(スタッフ注釈:お茶室は入口を開放しており、入口から室内を見学いただけます。荒天時は入口を閉めている場合もございます。)
猛暑でも爽やかな旧井上邸 2018年7月22日
連日、日本中で猛暑を告げるニュースが流れています。
ここ群馬県も、館林市や伊勢崎市など、最高気温の全国上位に名を連ねる暑い県として知られています。
高崎市でも、35度以上の日が続く中、美術館展示室は比較的快適にお過ごしいただけていると思います。
一方、旧井上邸は、美術館のような万全の空調とはいかないのですが、庭園の緑が、眼に爽やかな景観を作っています。
展示替え中には、中低木の剪定を行いました。
形が整えられ、すっきりとした樹木が、すがすがしい気持ちにさせてくれます。
また、最近では、トンボたちが遊びに来るようになりました。
こちらはオオシオカラトンボのメスです。
同日の夕方には、アキアカネのオスも見られました。
セミが鳴き始め、夏本番を感じる旧井上邸。
美術館へお越しの際はぜひ旧井上邸も散策してみてくださいね。
旧井上邸の魅力を発信 2018年6月14日
梅雨入りした初夏の旧井上邸では、虫も植物も生き生きと元気な姿を見せています。
こちらはビロードハマキという蛾の一種。
黒地に白い斑点と赤黄色の模様が鮮やかです。
生い茂る葉の中に、くちなしがひっそりと咲き始めました。
可憐な白い花が、見た目も香りでも、私たちを楽しませてくれます。
さて、本日旧井上邸に「高崎市やるベンチャーウィーク」の一環として高崎市立高松中学校の生徒2名が来訪されました。
旧井上邸室内の清掃作業などを手伝っていただいた後、二人には、皆さんに伝えたい旧井上邸の魅力を見つけてもらい、写真撮影・原稿作成にチャレンジしていただきました!
撮影場所:旧井上邸主屋外観
杉の木で建てられたこの旧井上邸に夏の光が入ると、一つの絵ができたような写真になり、とても美しいです。真っすぐに並ぶ屋根とその骨組みが魅力的です。旧井上邸には、仏間、茶室といった場所もあり、そこは自然の中にあってとても安らぎを感じさせられます。開放的な窓から入る風はとても気持ちいいです。
撮影場所:旧井上邸庭園
私が気に入った場所は、旧井上邸の芝生の近くの緑です。太陽の光が当たって輝く緑がきれいだと思いました。旧井上邸は自然に囲まれているので、とても落ち着きます。ぜひ、旧井上邸の自然の中を歩いてみてください。
梅雨の合間の晴天の日ということもあり、偶然ですが二人とも屋外での撮影となりました。
自然と調和する旧井上邸に魅力を感じていただけたようですね。
美術館にお越しの際は、ぜひ旧井上邸で豊かな自然を体感してくださいね。
庭園の整備 2018年5月25日
今年の春はたくさんのタケノコが顔を出しました。
基本的にはどんどん抜いてしまうのですが、今年はまっすぐに伸びそうなものを数本残して、竹林を充実させてみました。
ゴールデンウィークの頃は、お客様も「あ、タケノコだ!」と、成長過程を楽しんでくださいました。
20日ほど経ってすっかり青々とした竹になりました。
晴天の日は夏日にもなる高崎ですが、竹林が心地よい風を運んでくれそうです。
5月下旬は、南側道路沿いの剪定を行いました。
梅雨前にすっきりと。
梅雨明け頃にはまた成長した若葉を楽しめるでしょう。
こちらは仏間前の地面。
穴が空いています!
仏間から茶室へ向かう通路に、砂利を敷きました。
水はけを良くするため、掘った穴に管を差し込み、小石を入れて、その上にシートを敷いて、最後に砂利を乗せます。
これから梅雨時期を迎えますが、雨天でも快適に庭園散策できるかと思います。
現在旧井上邸内では、開催中の展覧会「水野 暁-リアリティの在りか」関連事業の公開制作で水野暁さんが制作された油彩ドローイングを展示しています。
雨天の際も旧井上邸へぜひお越しくださいね。
春の気配 2018年2月24日
この冬は非常に寒い冬となり、全国的に雪が多かったですね。
旧井上邸では、春を告げる梅の花が、ようやく開き始めました。
写真は、庭園内に2本ある梅の木のうちの1本、北側にある梅の木です。
例年1ヶ月ほど楽しめますので、開催中の展覧会「生誕110年 人、鶴岡政男」(2月10日~3月25日)会期終了頃までは、ゆっくり楽しめそうです。
旧井上邸は写真撮影可能です!ぜひカメラやスマートフォン片手にいらしてくださいね!
秋から冬へ 2017年12月14日
佐藤晃一展が終了し、12月10日からの展覧会「生誕100年 清宮質文 あの夕日の彼方へ」に合わせ、通常の開館となっている旧井上邸。
佐藤晃一展が終わる頃に、ようやく紅葉が見頃を迎え、私たちを楽しませてくれました。
寒い時期にもかかわらず、生き物たちが遊びに来ています。
こちらはおなかのオレンジ色が鮮やかなジョウビタキ。
展示替え期間中には、こんなに可愛らしい模様のカメムシも、旧井上邸の居間に訪れました。
背中のハートマークが特徴の、エサキモンキツノカメムシです。
室外に出してあげようとしたところ、羽を広げ、赤い体が見えました。
最近は山茶花が見頃を迎えています。
12月に入り、すっかり真冬の寒さの旧井上邸ですが、ぜひ暖かくして庭園もお楽しみください。
さて、先日、県立吉井高校の生徒が体験学習のため美術館に来館され、旧井上邸のお仕事も体験してくださいました。
その中で、「まだ旧井上邸に来たことのない方へおすすめしたいポイント」を探していただき、写真撮影と紹介文作成をお願いしました。
A.Kさん
撮影場所:寝室
「この寝室は井上夫婦が使っていたもので、またベッドはソファーベッドになっており、部屋の中も整理してあり快適です。その他にも、親戚の方が来られた際もこの部屋に集まり会話やお茶などをしてリラックスしていたようです。
最も季節が変化するとともに、外の葉も秋から冬にかけて楓が紅葉する景色はとてもキレイで、自分はこの部屋が一番お気に入りなので選びました。」
K.Kさん
撮影場所:居間
「この部屋の中央には、レーモンドの家の造りと同じ暖炉があり、それをかこむかのようにテーブル・イスがある。この感じがとてもあたたかい印象をあたえている。また、暖炉とともに家の家具はレーモンドの妻・ノエミがデザインしたものもある。
写真中央にある書は、1949年に日本人では初となるノーベル賞を受賞した湯川秀樹が残したものである。(註)
この部屋からは、井上房一郎の人脈の広さやその家の生活スタイルの分かる、内容の濃い部屋であると思う。」
(スタッフ註:井上房一郎が始めた高崎高校講演会及び哲学堂講演会には、多くの著名人を講師として招きました。湯川秀樹もその一人で、講演会のために三度高崎を訪れており、井上房一郎と親交を深めていました。)
旧井上邸へお越しの際は、お二人のおすすめポイントも参考にしながら、ごゆっくり見学してくださいね。
旧井上邸は12~2月の間、午後5時に閉館(入館は午後4時30分まで)となりますのでご注意ください。
佐藤晃一展開催中の旧井上邸展示風景 2017年10月1日
高崎市美術館では9月16日(土曜日)より「グラフィックデザイナー佐藤晃一展」を開催しており、会期中は展示室及び旧井上房一郎邸にて佐藤晃一作品の展示を行っています。
高崎高校OBである井上房一郎は、母校の学生たちに社会・芸術・文化など様々な分野の指導をし、特に美術においては才能ある学生を積極的に支援しました。
佐藤晃一も高崎高校在学中に井上房一郎に見出された一人です。
居間のテーブルには学生時代のスケッチブックなどをエピソードと共に展示しています。
和室では軸装された作品を展示しています。
10月に入り、庭園の楓の木が色付き始めました。
これから紅葉が深まっていきますので、佐藤晃一作品の鑑賞とあわせて、ぜひ旧井上邸もごゆっくりお楽しみください。
処暑の時期に猛暑の旧井上邸 2017年8月24日
8月に入り曇天・雨天が続き、過ごしやすい気温の日が多いように感じていましたが、処暑の時期、待ち望んだ太陽と共に気温が上昇しました。
外にいると話をするだけでも汗ばむような中、博物館実習のため美術館に来訪された学生の皆さんに、旧井上邸での仕事を手伝っていただきました。
和室や仏間の掃除、物置前の葡萄の剪定。
また、カメラを手に旧井上邸内を散策していただき、お気に入りポイント・他の方へオススメしたいポイントを選んで写真撮影と紹介文を作っていただきました!
写真紹介
今日は真夏日でとても暑かったのですが、庭園のドングリにはもう実がなっていました。青く若々しい実が秋の訪れを予感させる写真です。
(Iさん 撮影場所:庭園)
こちらは日本家屋ならではの和室の写真です。上から吊るされている電灯は日本やアメリカで活躍したイサム・ノグチが手掛けたものです。イサム・ノグチのAKARIシリーズにみられる特徴があります。暖かい明かりに心が癒されます。他にもレーモンドの妻であるノエミ・レーモンドデザインの電灯があり、見応え抜群です。
(Uさん 撮影場所:和室)
緑のあふれる庭園をめぐり、すずもうと思い軒先の日陰に入る。そしてふと窓の外からのぞきこんで見た旧井上邸の寝室をおさめた1枚です。家の中から見た雰囲気とはまたちがう表情をみせてくれています。パティオ側のガラス戸に反射してうつる室内の様子がまたすずしげです。夏の風が軒先から家の中をふきぬけると、窓にかかった風鈴が揺れ、チリンチリンと音をたて、なんとも夏らしい風景を味わうことができます。
(Sさん 撮影場所:窓の外から見た寝室)
旧井上邸の居間に置かれたイスの上にある帽子は、生前井上氏が被っていたものです。触れたり動かしたり、イスに座ることはできません。しかし、見ているだけで、井上氏がこの居間でどのように過ごし、どのような想いを抱いていたかがわかるような気がします。
(Hさん 撮影場所:居間(帽子の乗ったイス))
学生の皆さんには、暑い日だからこその感覚で選んで頂いたポイントが見受けられます。
皆様も是非、訪れたその日にしか味わえない魅力を探しに、旧井上邸へお越しくださいね。
旧井上邸の天使と悪魔? 2017年7月22日
本日美術館では、開催中の展覧会に合わせ、「自分だけの天使と悪魔を描こう!」というワークショップを開催したのですが、開館前の旧井上邸には、美しいアゲハチョウが遊びに来ていました。
アゲハチョウの仲間は、飛翔する様子が優雅で、まさに天使や女神のようです。
こちらはコミスジという蝶。
二枚とも同じ個体です。実際は、写真よりも羽に艶を感じる光沢があります。(写真でお伝えきれず恐縮です 汗)
日陰では緑色に見える体が(写真左)、日向では青みがかって見え(写真右)、太陽光に照らされて輝いていました。
石の陰に隠れて止まっていたのは、ヒメジャノメ。
目のような模様が特徴的で、ひっそりじーっと止まる姿が神秘的です。
このヒメジャノメの幼虫はとても愛らしい姿をしているようです。
ぜひ調べて見て下さいね。
一方、こちらは・・・
出た!悪魔?モンスター?怪物?
まだ羽化してあまり時間が経っていないのか、木から落ちてきたミンミンゼミです。
アップにするとお顔は戦隊ヒーローのヘルメットのようでもありますが、深緑色の目に吸い込まれそうです。
体の緑・黒・白の模様が見事です。
天使・悪魔のように羽を持つ様々な生き物が見られる旧井上邸、ぜひお越しください。
展示替え中に見頃を迎えた花々 2017年7月11日
美術館では企画展「ウィリアム・ブレイクと神の世界」が始まりました。
展示替えの休館中、旧井上房一郎邸庭園では見頃を迎えた花がありました。
真っ白い花と甘い良い香りが魅力的なくちなしの花。
旧井上邸庭園内には、数本くちなしの木があり、甘い香りが風に乗って周辺に漂います。
暑い陽射しの下、紫陽花も目を楽しませてくれます。
これらの花々は、そろそろ見頃を終えそうですが、これからは色々な虫などが遊びに来てくれるかもしれません。
昨年は夏の間、蝶やセミ、トンボが見られました。
今年も早速、大きなトンボ、オニヤンマが遊びに来ました!
まだ羽化して間もないようです。
止まっている時も悠々と飛んでいる時も、見入ってしまうほどに存在感があります。
オニヤンマとそっくりなトンボに、コオニヤンマというトンボがいます。左右の複眼がぴったりくっつき、写真のように木などにぶら下がるように垂直に止まるのがオニヤンマで、複眼が離れ、水平に休むのがコオニヤンマです。
この夏は他にどんな生き物に出会えるでしょうか。
美術館の展示をご覧になった後は、旧井上邸の庭園散策も楽しんでみて下さいね。
この時期の旧井上邸のおすすめポイント 2017年6月22日
梅雨に入り、庭園内の緑がますます濃くなっているように感じる今日この頃。
庭園の芝生には、可愛らしい花が咲いていました。
ネジバナです。他に「ネジレバナ」「ねじれ草」などと呼ばれています。
小さな花が螺旋階段のように並んで咲きます。
この日は、「幸運を呼ぶ」と言われている黄色いテントウムシがパティオに遊びに来ていました!
パティオの屋根のガラスが、テントウムシのつるんとした体に映っているのがわかります。
また、居間のガラス戸には、小さなカマキリがくっついていました。
まだ2cm弱ほどの大きさで、こどものようです。
毎日いろいろな発見のある旧井上邸、お子様連れでも楽しんで頂けるのではないでしょうか。
さて、本日旧井上邸に「高崎市やるベンチャーウィーク」の一環として中学生2名が来訪されました。
旧井上邸に関わる仕事の説明の後、実際に畳の部屋の掃除などを手伝っていただきました。
また、お二人の目線で、「旧井上邸のおすすめポイント」として、来館者に特にご紹介したいところを選んでいただき、写真撮影と文章作成をお願いしました。
Sさん
撮影場所:和室
「私が選んだお気に入りの場所は、主屋にある和室です。この和室は、旧井上邸において、新たに夫人用として作られたそうです(注)。障子を開けると庭が見え、その庭にはたくさんの植物が植えてあります。和室からは楓が見え、秋には紅葉が楽しめます。今の季節は風が吹くと、葉どうしがぶつかり合い、サラサラと音を立てていて、涼しい気分になります。また、畳のにおい、ぬくもりを感じられます。どの季節に行ってもきれいな景色を楽しめると思うので、美術館を訪れた際には、ぜひお越し下さい。」
(注:旧井上邸の元となるアントニン・レーモンド自邸には無かった和室を、井上房一郎氏は茶道を嗜む奥様のために作ったと考えられています)
Nさん
撮影場所:寝室
「私がオススメする場所は「寝室」です。理由は、旧井上邸の中で最も生活感を感じたからです。昔のソファベッドやテーブルなどの家具から時代感、窓からさしてくる光や、木々のぬくもりが入っている所が特に良いなと思いました。写真の右下部分に見える棚にはたくさん戸がついていて、『色々な物をたくさん入れていたのかな?』など色々想像できる所が好きです。皆さんもぜひお越し下さい。」
お二人の写真の構図はどちらも室内から臨める庭園の様子が写し出されていますね。
日毎・時間毎に天候が変わる梅雨の時季、通り抜ける風が心地良い旧井上邸で、青々と茂る木々を眺めながらゆったりと過ごしてみてはいかがでしょうか。
短い期間限定のお楽しみ 2017年6月10日
先日梅雨入りの直前に、歩道沿い・茶室付近の樹木の剪定を行いました。
職人さんが、背の高い樹木をどんどん整えてくださいました。
これからの梅雨時期以降の成長を見越して、すっきりとしました!
日陰になっていた部分にも太陽の光が届くようになり、元気に成長して、夏にはまた心地よい木陰を作ってくれるはず。
生い茂っていた葉で見えなかった幹や枝の様子がよくわかるのは今だけです。
5月後半から6月にかけては、可愛らしい白い花も見られました。
こちらは美術館入口近くのソヨゴの木の花。
歩道沿いのモチノキの花は、陽射しを浴びて気持ち良さそうです。
小さな白い花はその印象通り、可憐な姿を一瞬見せたかと思うと、あっという間に散ってしまうようです。
さて、これからはいよいよ紫陽花の季節。
まだ色付き始めたばかりの紫陽花は、刻々と変わる様子を長く楽しめます。
美術館へお越しの際は、紫陽花を見に、是非旧井上邸へお越しくださいね!
庭園の花々 2017年5月16日
5月も半ば、新緑や花を楽しむ良い季節です。
旧井上邸庭園は、高崎の街中でありながら自然を満喫できます。
高崎市美術館周辺や高崎市役所近くの歩道では、5月に入りツツジが見頃を迎えていましたが、旧井上邸庭園でもゆっくり咲き始めています。
見頃まであと一息!というところです。
庭園内でツツジの撮影をしていますと、ツツジの花の上に小さな王冠が。
付近を見回すと、石の上や葉の上にも!
これはシイノキの花です。
まるで風花のように、風に乗って舞い落ちます。
庭園内には何本もシイノキが植えてあるのですが、旧井上邸のシイノキは背が高いため、庭園からは花の様子がよくわかりません。
そこで、美術館が入っている建物の最上階、6階から見てみました!
(お客様は立ち入ることができませんのでご了承下さい。)
小さな白い花が、びっしりとくっついていました!
鮮やかなツツジだけでなく、小さな可愛らしいシイノキの花にも目を留めてみて下さいね。
ゴールデンウィーク中の旧井上邸 2017年5月9日
ゴールデンウィーク期間には、美術館で開催中の「ルネ・ラリックの香水瓶 アール・デコ─香りと装いの美─」と併せ、旧井上房一郎邸へも多くの方がお越しくださいました。
この時季、風が穏やかな晴天の日は、室内のガラス戸を開けていることが多いので、居間や和室で自然の風を感じながらゆっくり休んでいただけます。
旧井上邸の魅力を体感していただく良い季節かと思います。
天気の良い日に館内ラウンジから旧井上邸への入口に立ちますと、芝生を照らす強い陽射しに、庭園へ立ち入るのをためらう方もいらっしゃるかもしれません。
(特に女性のお客様は紫外線も気になりますよね!)
庭園では茶室や仏間へ向かう通路が気持ちの良い木陰になりますし、室内で風を感じながら青々した木々を眺めるのも気分転換になります。
そろそろ庭園のツツジも見頃を迎えそうです。
お出かけ日和の日には、美術館と旧井上房一郎邸へ是非お越しください。
庭園の春の風物詩 2017年4月23日
旧井上房一郎邸庭園の春の名物が、元気に顔を出し始めました!
タケノコです!
草の陰や、生垣の下からも、にょきっ!っと顔を出しています。
これからしばらくは、抜いても抜いてもどんどん生えてくる逞しいタケノコに元気をもらえそうです。
庭園の樹木には新葉が付き始めました。
こちらは楓の木。
赤いものは楓の花です。小さな虫も早速やってきています。
別の楓の木の葉は、風が吹く度にキラキラと輝いています。
水滴などではなく、キラキラした小片が新葉についていて、太陽の光を反射しているようです。
冬場は葉が落ち寂しかった樹木が、青々と爽やかな風を運んでいます。
今しか見られない春の景色を、旧井上房一郎邸で是非お楽しみくださいね。
春めいてきました 2017年4月3日
3月26日まで開催していた「生誕100年 木村忠太展」の終了に合わせるように、梅の花の見頃も終わりを迎えました。
会期終了の二日後、庭園内ですっかり花が少なくなった梅の木を観察していると、ほとんど白に近い花びらに縁取りのようにピンク色がついた梅の花が咲いていました。
同じ樹の花びらは皆白っぽい色。一輪だけ、ピンクが混ざった花びらでした。
最後に力いっぱい咲いた花が、春がすぐそこに来ていることを教えてくれているかのようです。
庭園内では椿が見頃を迎えています。
赤や白、沢山花が咲いている高い樹や生垣。
生垣にそっと一輪咲く椿も、趣があって良いものです。
主屋の北側には背の高い椿が茂っていますが、椿に囲まれ、ひっそりと可愛らしい桃紫色のツツジが咲いていました。
花が約3~4cmほど。早咲きの種類のツツジのようです。カラムラサキツツジの一種でしょうか。
私たちの目を楽しませ、春を告げるのは、花だけではありません。
6月頃見頃を迎える紫陽花。
冬場は花はもちろん葉も無く、細い木の棒がニョキニョキ生えているだけのようでしたが、新しい黄緑色の葉が、次から次へと、花びらが開いていくかのように葉を開いています。
まるで、梅の花の咲く様子と似ていませんか?
美術館は現在展示替えの為、4月14日(金曜日)まで休館しています。
併せて旧井上房一郎邸も休館していますのでご了承ください。
先日、庭園内ではモンキチョウ・アゲハチョウを見かけました。
次回展「ルネ・ラリックの香水瓶 アール・デコ─香りと装いの美─」の開催期間中は、より自然を満喫して頂けると思います。どうぞお楽しみに。
梅が見頃を迎えています 2017年2月28日
高崎市内で来月、箕郷梅林・榛名梅林が見頃を迎えますが、高崎の街中に位置する旧井上邸では、二本の梅の木がすっかり見頃を迎えています。
まずは主屋南側の木。
秋の紅葉時期は潔いほどに目立たず、楓を引き立てていた木が
可憐な花を咲かせています。
主屋の北側にも梅の木があります。外から写すと主屋の茶色を背景に花が映えますが、
主屋内からですと、北側の趣のある物置や、緑の葉・鮮やかな青空と共に撮影できることもあります。
さて、今はちょうど、バレンタインデーとホワイトデーの間頃。
旧井上邸の梅の幹には、ハートマーク・・・?
街中とは思えない静かな場所ですので、デートにもおすすめです!
旧井上邸敷地内は撮影可能ですので、カメラ片手にお越しくださいね。
展示替え期間の旧井上邸の風景 2017年2月3日
この冬は日本全国が寒波に襲われていますね。各地の例年にない程の大雪の様子をテレビでよく見かけます。
旧井上邸でも「5つの部屋+I(プラスアイ)」が終了する前の1月20日、再び雪景色を見ることができました。
こちらは、普段お客様には建物の外からご覧頂いている、浴室の中から見える雪景色です。
群馬には温泉地が多数ありますが、冬場は美しい雪景色を見ながら温泉で温まりたいと思う方も多いと思います。
房一郎さんは自宅で、雪化粧をした自然を見ながらゆっくり入浴されたのかもしれません。
(上の2枚の写真には石彫作家齋木三男さんの作品がありますが、現在は展示期間を終了しています。)
そんな雪の日、枝に雪が降り積もり寒そうな梅のつぼみ。
1週間ほど経過した1月28日には、つぼみの先の白い部分が大きくなってきていました。
アップにすると、白い花びらがぎゅっと重なっているのがわかります。
例年の見頃は2月上旬頃です。
展示替え中の静かな旧井上邸にお客様が。
ヒヨドリです。
開館前の人が少ない時間帯など、庭園には鳥が遊びに来ることもあります。
美術館では「生誕100年 木村忠太展 光に抱かれ、光を抱いて。」を開催しています。
木村忠太が見つめたフランスの風景とは違うかもしれませんが、旧井上邸の自然に触れると、木村忠太が描こうとしたものが少し感じ取れるのかも・・・?
展示をご覧になった後は、是非旧井上邸まで足を延ばしてみてくださいね。
年末年始の旧井上邸 2017年1月6日
新年を迎えました、旧井上邸。
昨年12月から開催している「5つの部屋+I(プラスアイ)」の展示室として、引き続き、石彫作家・齋木三男さんの作品を展示しています。
「美術館にはこれまでにも来ていたけど、今回の展覧会をきっかけに、初めて旧井上邸を訪れた」と仰る方も少なくありません。
本年も、多くの皆様にごゆっくり楽しんで頂けますよう、ご来館をお待ちしております。
さて、昨年12月に、県立吉井高等学校の生徒お二人が職場体験の為美術館に来館し、旧井上邸でも業務を手伝って下さいました。
その中で、旧井上邸のおすすめポイントをお二人の視点で選んでいただき、撮影していただきましたのでご紹介いたします。
撮影者:Kさん
選んだ箇所:和室の天井
「私が一番印象に残った所は和室の天井です。和室だけではなく、旧井上房一郎邸のほとんどの天井は骨組みが見えている状態になっています。これは『レーモンドスタイル』とよばれ、当時戦後まもない頃、コンクリートや製材が高価で不足していたため、簡易さと経済性が求められ、この作りが誕生したそうです。作りやすさ、見栄えなどを考えて作られていて、とてもすばらしいなと思いました。旧井上房一郎邸を訪れる際は、ぜひ天井にも目を向けてほしいなと思います。」
撮影者:Mさん
選んだ箇所:寝室
「私がこの部屋を撮った理由は、部屋の窓が庭の景色を一望できる程大きくて、開放感があって素敵だなと思ったからです。これなら光もたくさん入ってくるだろうし、いつでもくつろげる様な休憩スペースなんだろうなと感じました。また、寝室であるためベッドも工夫して作られているそうなので、きっと眠りやすいのかなと思いました。一度はこんな感じの部屋で過ごしてみたいなと思いました。」
今回の展覧会中は、旧井上邸で寛いでいかれる方が多く、旧井上邸の魅力をより感じて頂ける機会になっているのではと感じています。
旧井上邸には、お客様にお座り頂けるテーブルセットもございますので、ゆっくり作品鑑賞を楽しみながら、お二人が選んだポイントも体感してみてくださいね。
「5つの部屋+I(プラスアイ)」は1月21日(土曜日)までの開催です。
1月22日(日曜日)~28日の(土曜日)の間は、展示替えの為休館となりますのでご注意ください。