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上野国多胡郡正倉跡
高崎市にある指定文化財 国指定
上野国多胡郡正倉跡の航空写真
上野国多胡郡正倉跡
大型礎石建物「法倉」
上野国多胡郡正倉跡は、古代多胡郡の郡役所の遺跡で、郡内で徴収した稲などを収納した倉庫(正倉)群です。
遺跡の北辺・西辺・南辺では、正方位の規格性を持った区画溝が検出されています。この区画溝内では、礎石建物が2棟検出され、その他にも雨落溝のみ検出されたもの、礎石と思われる大型の石や瓦の分布などから、多くの正倉があったことが推定されています。このうち、遺跡の北端で確認された正倉は、梁行3間・桁行7間の大型総柱の東西棟で、8世紀中頃に創建された総瓦葺の屋根構造を持つ「法倉」と考えられています。
この遺跡の真北約350mには、和銅4(711)年に多胡郡を建郡したことが記載されている特別史跡の「多胡碑」があります。多胡郡正倉跡は、多胡碑に記された多胡郡建郡の裏付けとなる遺跡で、法倉の存在は、国家的政策により設置された多胡郡の歴史的特性を反映しています。多胡碑と多胡郡正倉跡を一体として捉えることによって、古代多胡郡の様相をより深く知ることができます。
このように、多胡郡正倉跡は日本の古代史を解き明かす上で欠かせない重要な遺跡です。
文化財情報
- 指定種別:国指定史跡
- 名称:上野国多胡郡正倉跡(こうずけのくにたごぐんしょうそうあと)
- 指定年月日:令和2年3月10日、令和3年10月11日(追加指定)
- 所在地:高崎市吉井町池