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自然を染める ウコン
ウコン(ショウガ科)
熱帯アジアやインド原産の多年草で、草丈40~50センチほどになり、夏から秋にかけて大きな花序を直立に出す。花序は多数の淡い緑色の包葉が積み重なり、頂部の包葉は白色で、先端は薄紅色をしていて美しい。これが花のように見えるが、その下の黄色が本当の花。
説明
各家庭の「おふくろの味」の定番になっているカレーライス。このカレーの黄色い色は、主にターメリックという香辛料の色で、ウコンの根茎から作ります。ウコンは、カレー粉だけでなく、たくあんやその他食材の色付けにも使われています。
沖縄では、ウコンは昔から肝臓の妙薬として知られ、根茎の粉末を発酵、焙煎(ばいせん)して飲む「うっちん茶(ウコン茶)」は、体に良い飲み物として親しまれてきました。
古くから薬用として使われていたウコンですが、次第に染料としても用いられるようになり、江戸時代には、黄色に染める染料として普及し、その色は「鬱金(うこん)色」と呼ばれていました。また、ウコンで下染めした後に、紅花で染め重ねる「紅鬱金」という色もあります。
ウコンは木綿に良く染まり、殺菌・防虫効果に優れていることから、ウコンで染めた「鬱金木綿」は、産着や肌着、手拭いとして、また、掛け軸や茶道具、反物などを包む布として広く使われました。今でも陶器や着物を黄色い布で包んでいるのを目にしますが、これは、鬱金木綿の名残でしょう。
ウコンで染めた絹糸