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自然を染める リュウキュウアイ
リュウキュウアイ
キツネノマゴ科の多年草。沖縄、九州南部、台湾、インドシナ半島などの樹下に生える。高さ50~80センチになり、葉はだ円形で対生する。夏から秋に枝の先に淡い紅紫色の花をつける。葉に青色の色素のインジゴを含む。
説明
日本で染色に使われるアイには、タデアイのほかにリュウキュウアイがあります。沖縄ではリュウキュウアイから青色の泥を作って染色に使っています。葉を水に浸すと、温暖な気候によって数日で発酵して青い色素が水に溶け出します。このとき、何ともいえない臭いにおいがするので、本当にあの鮮やかな青い色ができるのかと思ってしまいます。この水を強くかき混ぜると、色素は沈殿して泥状になるのでこれを集めて使います。この色素は、青黛(せいたい)という漢方薬として消炎、解毒などにも使われています。
沖縄では、王族の着物から発祥した紅型(びんがた)模様の中の青色や、藍の色の濃淡が美しい藍型(えーがた)の着物の染色にも使われてきました。この青色は南国の日差しの中では明るく鮮やかに見えます。また、リュウキュウアイの葉を十分ほど煮て、そこに布を入れると、植物からは珍しいきれいなふじ色も染めることができます。葉の中には青い色のほかに赤紫の色素もあるのです。
リュウキュウアイは、熱帯から亜熱帯にかけて分布する植物ですが、染料植物園の温室では冬でも元気に育ち、時々花もつけています。
葉を煮染めしたふじ色
生の葉で染めた青色